2016.11.19 Sat UPDATE CULTURE

公開まで1カ月!
帰ってきたダース・ベイダー
最新考察論 第4夜

いよいよ公開まで、あと1カ月。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は
エピソードⅢとⅣの時間を埋める物語となる。ということは、
我らがカリスマ、ダース・ベイダーは全盛期。
圧倒的な強さで大暴れすること間違いなしなハズ! と、たっぷりの期待を込めて、
編集部では仮定してみました。
そこで、豊富な知識に裏付けられたユニークな考察・レビューで、
映画ファンから多大な支持を受けている
「ORIVERcinema」編集長のNakatani氏に執筆を依頼。
ベイダーとは? そしてローグ・ワンでの登場は?
まったく新しいベイダー考察論、初出しの原稿をいただきました。
 
今夜はクライマックス!!
 
 
 
 
第4夜
『ローグ・ワン』におけるダース・ベイダー

 
12月16日(金)いよいよ封切られるスター・ウォーズ最新作『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』は、『エピソードⅢ / シスの復讐』と『エピソードⅣ / 新たなる希望』の中間の時代を描く物語だ。『シスの復讐』ラストで、シス側が勝利し、銀河共和国の最高議長パルパティーンは帝政を宣言し、銀河帝国を設立した。スター・ウォーズ・ユニバースには幾つもの星系が存在し、それぞれに異なる政治形態が存在する。それらを「力と恐怖」によって一気に統制することを試みたパルパティーンは、帝国の誇る恐怖の象徴として究極破壊兵器デス・スターの建設を進める。この計画は『エピソードⅡ / クローンの攻撃』でその開戦の様子が描かれた『クローン戦争』以前からあったものだ。
 
パルパティーンは共和国時代から、技術革新に躍起であった。歩兵戦力の一律化と教育・統制の効率化を図り、身体能力と戦闘センスに優れた賞金稼ぎジャンゴ・フェットのDNAを利用したクローン兵を大量生産。遺伝子操作により個体の成長スピードを早め、安定した戦力の供給を可能にしている。
また、スター・デストロイヤーといった宇宙戦艦に、TIEファイターなどの宇宙戦闘機をはじめ、AT-ATウォーカーなどの地上兵器もさかんに開発・生産を進めている。今回の『ローグ・ワン』では、AT-ATウォーカーの前身モデルとなるAT-ACTカーゴ・ウォーカーも登場する。
 
帝国が銀河全体を軍事主義で支配していく中で、そこから逃れるように信仰主義に走る者たちもあった。それが『ジェダイ信仰』である。
『シスの復讐』で描かれたジェダイ抹殺計画『オーダー66』によって、ヨーダやオビ=ワンを除く全てのジェダイは抹殺されてしまった。共和国の守護兵として隆盛を極めたジェダイ騎士団は銀河史から忽然と姿を消し、後には伝説だけが残った。『新たなる希望』で、ハン・ソロが「カビの生えた古臭い宗教」と揶揄していたように、ジェダイやフォースは言い伝えに残る魔術めいた存在になっていた。
神を信じる者が”God Bless You(神のご加護を)”と言うように、フォースを信じるものは”May the Force be with You(フォースと共にあらんことを)”と口にする。『ローグ・ワン』予告編でも、主人公ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)が”May the Force be with Us”と発言しているのが確認できるし、チアルート・イムウェ(ドニー・イェン)はフォースやジェダイの教義を信奉する僧兵だ。
ジェダイ亡き時代、銀河の万物を等しく繋ぐと伝えられるフォースは、軍国主義の世の中で希望のように感じられた。人々が『新たなる希望』の誕生をルーク・スカイウォーカーの登場まで待たなければならなかった頃、これ以上の希望の光が帝国の兵火によって潰えることはあってはならないと立ち上がるのが、反乱同盟軍のローグ・ワン部隊なのだ。
 
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「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」予告映像より
© Disney
TM & © Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved
 
一方で、軍事主義の真っ只中にいるダース・ベイダーその人こそ、実はフォースの伝説の生き証人だ。帝国軍の誇る最新技術の総結集とも言えるデス・スターがテーマとなる物語の中で、テクノロジー推進側の組織で指揮を執るベイダーは、フォース感応者である。『新たなる希望』劇中においても、「技術で築いた恐怖を過信するな。惑星を破壊する力も、フォースには勝てない。」と語り、科学の力で銀河を統治しようとする帝国軍の面々の中でただ一人、フォースの力を誇示している。その彼自身の四肢と臓器が、科学技術によって延命装置的に維持されている、というのもまた皮肉な話である。
『ローグ・ワン』では、ダース・ベイダーが圧倒的な力と共に反乱同盟軍の前に立ちふさがると言われている。伝説となったフォースを信じ、「希望が私たちの切り札」などと綺麗事を言いながら帝国の進んだ兵力に無謀に飛び込んでいく反乱同盟軍の前に、ダース・ベイダーは本物のフォースを、本物の絶望を見せつけるのだ。
 
帝国軍という、技術至上主義の巨大組織を背中に携えながら、己の信じた『フォース』という信念を、時代が変わってもただ一人貫き通す…。悪役ではありながらも、彼こそが我々男たちが憧れるべき真のラスト・サムライなのだ。
 
誰にも理解されない葛藤、惚れ惚れする機械の体、そして時代が変わっても決してブレない信念…。男のロマンを全て携えたダース・ベイダーは、2016年12月16日(金)公開の映画『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』にて、再びスクリーンに帰還する。
 
http://starwars.disney.co.jp/
 
※明日は?
 
 
 
 
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[筆者プロフィール]
Naoto Nakatani
海外ポップカルチャーのファン・メディア ORIVERcinema編集長。
記事執筆やメディア運営、企業のプロモーション企画を手がける。インドカレーとバーガーキングが大好物。
ORIVERcinema
映画を中心とした海外ポップカルチャーのファンによるファンのためのファン・メディア。
最新の海外情報やユニークな考察・レビューが楽しめる場所として急激に人気を集めている。
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