2017.07.14 Fri UPDATE CULTURE

「窪塚洋介×降谷建志」対談インタビュー③
そして現場騒然の衝撃発言!【動画あり】

ともに’90年代後半にデビューし、走り続けてきた窪塚洋介と降谷建志というふたりのカリスマが、20年の時を越え今、同じステージに立つ。
しかも往年のバディものを彷彿とさせる映画『アリーキャット』での共演。
誌面では語り尽くせなかったふたりの熱い思いを、「カバーインタビュー完全版」としてウェブで公開!
全3回、計6000文字に及ぶ超ロングインタビューをご堪能あれ。

 

 

――学年は違いますが、ともに38歳同士。’90年代当時、憧れていた大人はいますか?

降谷「それこそ、さっきの『トゥルーロマンス』の時からゲイリー・オールドマンのような雰囲気の大人に憧れてました。古くは『シド・アンド・ナンシー』(’86年)のころから大好きで」

窪塚「俺も好き。やっぱ、そのラインでしょう」

――思い描いていた自分像みたいなものはありますか?

降谷「俺らよりちょっと前の先輩くらいからバンドマンのロック寿命が飛躍的に伸びたと思うんですよ。セミリタイヤしていて、たま~に、みたいな感じじゃなくて、バリバリ第一線で誰よりもいいライブをして、誰よりも闘っているバンドがたくさんある。それを思うと、自分はまだまだガキだと思います。20歳くらいのころは、30代のバンドの喉元に噛みついてやるくらいの感じだったけど」

窪塚「今、自分が噛みつかれる側だもんね(笑)」

降谷「そうなんだよ。ロックンロールって文字通り石が転がって、そのうち角が取れ、丸くなってくわけだけど、実は顕微鏡レベルで見ると、ものすごく細かい多面体なわけ。いわゆる“丸く”なっているわけじゃないんだよね。だから“掛かって来い”って(笑)」

――窪塚さんは、どう思われていました?

窪塚「38歳って、もうちょっと落ち着いていると思っていたんですけど、より忙しくなってますね。俺は遥か前にガキのころ思い描いていた未来の自分を超えちゃったんで。ガキのころに想像のつかなかったところを今、生きているから、どんどん夢をアップデートしていかなきゃいけないんです。ずっと動いていたい、表現したい、メッセージし続けたいっていう思いがあるから」

降谷「俺らも同じで。3・11の震災の影響も大きいんだけど、あの日を境に音楽業界が一枚岩になって。もっとメッセージしていかなきゃいけないって」

窪塚「ロックシーンがそうしてユナイトしたみたいに、俺らひとりひとりに与えた影響は大きいと思う。俺らが新しい未来を描かなきゃなって。それには自分のアンテナの広げ方、心づもりが大事だと思うから、もっともっと自分を研ぎ澄ましてかなきゃいけない。だから休んでいる暇はないですよ」

降谷「うん。何度でも起き上がって前に進めばいいじゃんっていうのは、俺も昔から思っていたことだから、その気持ちはよくわかる」

――『アリーキャット』には「猫は何度も生まれ変わる」という言い伝えが出てきますが、奇しくも’90年代、Dragon Ashもまた〈陽はまたのぼり繰り返していく〉と歌っていた。

降谷「ヘミングウェイに感謝しつつ、縁を感じますね」

窪塚「猫は9回生まれ変わるって言うけど、俺も9階から落ちて生まれ変わりましたし」

降谷「ハハハハハ!」

――おっ、ダブルミーニング(笑)。

降谷「(笑)! ここの3人以外、周りのスタッフが上手く笑えてないけど大丈夫?」

窪塚「アハハハハ!」

降谷「“今のは笑っていいところかなあ…?”みたいな顔してたよ? みんな(笑)。俺が言えば笑える話だと思うんだけど」

窪塚「まさかの、本人が言い出すパターン。伝え方がまだまだだな~。もうちょい笑える言い回しを考えなきゃ。今度この話をする時は建志くんにアイコンタクトするわ」

――では、改めまして。映画界・音楽界も注目のおふたりの奇跡の出会いを今一度、振り返っていただけますか?

窪塚「昔から知っている仲間、同志、みたいな感じですね。20年間ずっと二車線向こうを並走してきたような。お互い紆余曲折しながらも、ようやく同じ車線で合流することができた。そんな感じの」

降谷「だからこそ、20年待ったからこそ、ここからは濃くて強いですよ、ふたり」

窪塚「もっとガッツリ音楽の仕事でもご一緒したいし。当たり前ですけど、降谷建志として会った現場とKjとして会った現場と全然、違うんですよ。ホント、頼もしい兄貴だったから」

降谷「こんな時だけ?(笑)」

窪塚「いやいや、レコーディングの時もすごくエデュケートしてもらって。俺も11年やっているんですけど、録音のイロハとか教えてもらった。“それ11年前に聞きたかったわ~”って」

降谷「でもさ、11年前に聞いてもピンとこなかったことが多いんじゃない?」

窪塚「ああ~…確かに。“奥行き”とか言われてもね。自分が付いていけない」

降谷「逆に俺はカメラ前での立ち位置だとかわかんないし。マルに教わったし」

窪塚「そういう意味でも今、会うべくして会ったのかも知れない」

降谷「俺もバンドひと筋っていうのを美徳としてきたけど、20年間やってきて、バンドのことはある程度わかったので。ここからは会いたい人と会うし、一緒にやりたい人とやるし。ちょっとでも自分のアンテナに引っかかったことは、苦手かな…と思うことでもやっていく。それを今、意識的にやっているんで」

窪塚「いいね~。建志くんも次なるステージへ」

降谷「だね」

窪塚「『アリーキャット』でもリリィでしか開けることのできない鍵をマルは開けてもらい。俺もあそこまで切羽詰まっていないけど、建志くんとの出会いによって次に行ける。お互い、がんばりましょう!」

 

『アリーキャット』

(C)2017「アリーキャット」製作委員会

監督:榊 英雄
出演:窪塚洋介、降谷建志、市川由衣、品川 祐ほか。
7月15日[土]より、テアトル新宿ほか全国ロードショー

Interview&Text:TATSUNORI HASHIMOTO
Photo:TAKASHI HIRANO

 

 

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