MJ CULTURE

2016.10.08 Sat UPDATE CULTURE INTERVIEW

今月の映画のハナシ。

今月の映画のハナシ。

10代のイライラや不満といった
複雑な感情を思い出しながら
由紀の気持ちに重ねていきました

 湊 かなえ原作、累計100万部を超えるベストセラー『少女』が映画化される。本作は、女子高校生が“死”という禁断のテーマに向き合う姿を繊細かつ艶美に描いた衝撃作だ。これまで天真爛漫な役柄が多かった本田 翼が、今作ではトレードマークの笑顔を封印。女子高生特有の苛立ちや悩みを抱え、死を知りたいと願う桜井由紀を熱演し、今までにない新たな一面を披露している。

「私も高校時代は一匹狼だったので、我が道を進む由紀には、共感する部分がありました。由紀は敦子にだけ優しいのですが、ふたりは女子校特有の疑似恋愛みたいな関係で、現場でも敦子役の(山本)美月ちゃんと『ふたりは恋人同士みたいだね』ってよく話していました。由紀が彼氏、敦子が彼女で、由紀にとって敦子は自分が不安定な時に引っ張ってくれるかけがえのない存在だと思います。
由紀は心の中にフラストレーションを抱えているんですけど、特に大きな理由があるわけではないんです。最初『彼女は何に対して怒っているんだろう…』と悩みましたが、自分の高校時代を振り返ってみると、どうにもならないむしゃくしゃした気持ちやイライラする感情を持つことは、私にも経験があったなって。なので、当時の感情を思い出しながら由紀の気持ちに重ねていきました。さらに撮影期間中は、日常の些細なことにできるだけイライラするように心掛けて、自分のなかで“怒り”という感情を持つ訓練をしました。
三島(有紀子)監督は、納得するまで物事を追求される方なので、私の演技がイメージと違う場合にはすぐに伝えてくださるという信頼感がありました。目つきに関しては、『陽の部分を抑えて』と言われていたんです。そこを意識して演じていたのですが、映像を観て自分でも由紀って怖いなと思うくらい厳しい目つきになっていました(笑)。
三島監督のこだわりってスゴイんです。風の吹き方、ボールの転がり方、カーテンの揺れ方など、画の細部にまで本当にこだわっていて。監督と話をしていると自分の心を見透かされているような感覚になりましたし、だからこそ嘘のない芝居ができたのではないかと感じています。
完成した作品を観た時に、今まで自分が演じてきた役柄とはまったく違うので、ファンの方が観たらどう思うだろう? と心配になりましたが、これは新しい自分を観てもらえるいい機会だなと。私にとっても、由紀のような人物を演じても自分をしっかり出せることが分かったのは貴重な経験になりました。
男性は、もしかしたら女性って怖いなと感じるかもしれませんが(笑)、でもこの映画を通して、女性の独特な感情の動きが分かってもらえるんじゃないかなって思っています」

 

PROFILE
1992年6月23日生まれ、東京都出身。中学時代にモデルとしてデビュー。ドラマ『GTO』(’12年)、『とんび』(’13年)などで注目を集める。以来、ドラマ『ショムニ』(’13年)、『恋仲』(’15年)、映画『江ノ島プリズム』(’13年)、『アオハライド』(’14年)、『起終点駅 ターミナル』(’15年)などに出演。公開待機作に『土竜の唄 香港狂騒曲』(’16年12月公開予定)、『鋼の錬金術師』(’17年公開予定)がある。現在、ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』に出演中。

 

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(C)2016「少女」製作委員会

 

『少女』
高校生の由紀と敦子は「死体って見たことがある?」という同級生の何気ないひと言をきっかけに、死を知りたいという願望に囚われる。“本当の死”を理解できたら闇から開放されるのではないか──。少女たちはそれぞれの方法で死の瞬間を見ようとする。

監督:三島有紀子、原作:湊 かなえ『少女』(双葉文庫)、出演:本田 翼、山本美月、真剣 佑ほか。全国公開中

 

 

図2

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