アーティストの舘鼻則孝は、日本文化を再考する展覧会「NORITAKA TATEHANA RETHINKー舘鼻則孝と香りの日本文化ー」を9月14日から9月16日の3日間限定で開催した。
歴史的建築として名高い東京・九段の旧山口萬吉邸(kudan house)にて開催された本イベントは、昨年<表参道ヒルズ>で開催した大規模個展『舘鼻則孝 リ・シンク展』に続き「日本文化をリシンクする」をテーマとし、中でも「香りの日本文化」にフォーカスした展覧会で、今回も多くのファンたちの心を掴んだ。
代表作のヒールレスシューズから、「源氏香の図」をモチーフとした香炉など、新作も多数展示。また会場内の和室では京都の香老舗 松栄堂の協力を得て「聞香体験」を実施し、来場者たちを楽しませた。
■香りをじっくり堪能する聞香体験
京都の香老舗 松栄堂の協力を得て「聞香体験」。「香りを聞く」と表現する聞香では、香木を鑑賞する楽しみと3種類の香りの違いを体験できた。日本の「香」の魅力を再発見できる機会となった。
■最新作
『源氏香図 蒔絵香炉,2018』
香りの日本文化を「RETHINK」して制作をした香炉は、大きな球体に「源氏香図」と呼ばれる図形的な紋様が蒔絵によって描かれている。この紋様は、源氏物語の全54帖のうちの52帖の巻名が附されている。また、5本のストライプの組み合わせによって成立する図形は、1960年代アメリカのミニマル・アートを彷彿させる。
『Theory of the Elements.2018』
鮑貝を用いた螺鈿細工と漆調の溜塗によって仕上げられた本作は、日本の伝統工芸士と呼ばれる職人の手仕事によって完成。使うほどに年齢を重ねる日本の素材は作り手から使い手へと受け継がれている。
遊女の煙管から着想を得た『Theory of the Elements』は、舘鼻氏の創作活動のプロセスである「RETHINK」とJTの加熱式たばこPloom TECHが体現する「RETHINK」とが共鳴して生み出された。
Ploom TECHはにおいがしないということや煙が出ないというたばこへのリシンクが具現化されていると舘鼻氏が感じ、日本文化へのリシンク、そして、たばこへのリシンクを感じてもらいたいという想いが込められている。
※アクセサリーケースは、会場での先行限定販売
舘鼻則孝プロフィール
1985年、東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で幼少期から手でものをつくることを覚える。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び、後年は染織を専攻する。遊女に関する文化研究とともに日本の伝統的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。近年はアーティストとして、国内外の展覧会へ参加している。2015年12月に和敬塾本館で開催した「舘鼻則孝:面目と続行」展では、JT(日本たばこ産業株式会社)の「Rethink」の考えに共鳴し、日本各地の伝統工芸士とともに制作した現代的な煙管作品「Theory of the Elements」を発表した。 2016年3月には、仏カルティエ現代美術財団にて人形浄瑠璃文楽の舞台を初監督「TATEHANA BUNRAKU :The Love Suicides on the Bridge」を公演。2017年8月、日本文化の過去と未来を往来し、自身の制作ルーツを見直す展覧会「舘鼻則孝リ・シンク展」を表参道ヒルズにて開催。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、世界の著名な美術館に永久収蔵されている。
旧山口萬吉邸(kudan house)
1927年に日本を代表する3人の建築家(内藤多仲氏・木子七郎氏・今井兼次氏)によって造られた歴史的建築物、山口萬吉邸のレガシーを生かしながら大胆にリノベーションした会員制ビジネスサロン。日本に息づいてきた『借景』『縁側』の空間づくりを通じ、ソトとウチがつながる、新しいブンカを提案するディベロップメントディレクション、デザインプロデュースの集団であるNI-WAが、次世代ビジネスの創出と文化発信のプラットフォームを運営します。美しい曲線を施したスパニッシュデザインと鉄筋コンクリートの黎明期の代表作としての質感はそのままに、約800m2に及ぶ地上3階、地下1階のモダンな邸宅と緑豊かな庭園を、『4つの茶室』を代表に審美眼を研ぎ澄ますクリエイティブな空間となっています。https://kudan.house/