すっかり暖かくなりました。いよいよ4月ですね。春という季節を存分に楽しむためには足元のチョイスも重要ということで、これまでに「アウトドア系のシューズを街でもどうぞ」という提案記事を連載してきましたが、本日が遂に最終回。過去の回では高機能バロメーターが振り切れるレベルのハイテクシューズを紹介してきましたが、最後はあえて控えめな感じで<キーン>をピックアップしてみたいと思います。そうは言っても「アウトドア系シューズを普段履きする界」では番長格の大物になります。春を超えて夏のイメージも湧き立つモデルです。
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<キーン>のジャスパー 1万1800円(キーン・ジャパン☎︎03-6416-4808)
「ジャスパー」は、クライミングシューズのホールド感とコンフォートシューズの快適さを兼ね備えたハイブリッドシューズ。天然スウェードのアッパー、リサイクルポリウレタンにコルクを混ぜた環境配慮型のフットベッド、耐摩耗性とグリップ力に優れたノンマーキングラバーのアウトソールで構成されています。足先の辺りまで横幅に余裕のある作りになっていて、トゥの近くまでレースを配しているのが特長。トゥ付近から足首付近までレースの締め具合を調整することにより、お好みのフィッティングが得られます。
これまでに「ジャスパー」を履いてきた人々の間では、まるで足袋のように足全体が包み込まれる感覚があって、しっかりとフィットするのに窮屈さはなく、柔らかくて気持ちいい、履いていて楽ちんといったレビューが大勢です。ただ、ソールの硬さやラグの形状から判断して、険しい山道を長時間に渡って歩くのには向いていません。アウトドアで使うのなら、軽めのハイキング、BBQ、キャンプといった用途がオススメです。すなわち、逆に数多くの人にとって使用頻度が高めになる靴といえるでしょう。そして、いかにもアウトドア系といった感じの仰々しいルックスではないので街履き用として大人気。とにかくリピーターが続出していて、複数のカラーをコレクションする熱心な愛用者も多い靴といえます。楽しいシチュエーションで履くことを想定して購入するからでしょうか、普段は履かないようなチャレンジングな色にも人気が集まっています。楽しいシチュエーションといえば、こちらの「ジャスパー」はフェスで履かれる靴としても定番になっています。
フェスといえばですよ、今年のフジロックにはボブ・ディランがやって来ますね。
最近、すっかり「茶番」だらけの世の中になってしまいました。アウトドアで起きることは、昨今のニュースで繰り返されているような「茶番劇の連続」とは無縁です。これまでの連載記事ではアーバンアウトドアを提案してきたのに、最後の記事になって普通にアウトドアのススメみたいになってしまいましたが、アーバンとアウトドアの間に線引きをしてしまうのではなくて、もっとボーダレスであっていいと思っているのは確かです。今よりもっと自由に街を、人生を楽しむためにアーバンとアウトドアのミクスチャーが果たす役割はこれからもっと大きくなるのではないでしょうか。思想的にも、ファッション的にも、行動的にも。
まだ少し気が早い話にはなりますが、今年の夏は「ジャスパー」を履いて楽しい場所に出かけてみませんか。「茶番」とはまったくもって無縁のボブ・ディランを聴いてみるなんて最高です。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:YOHEI SHIBAYAMA
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)