アウトドアの要素を取り入れたスタイリングは今年も好調。なかでも〈ザ・ノース・フェイス〉は爆発的人気が継続中だ。名品の復活から今季の新作まで続々と注目アイテムがリリースされている今こそ〈ザ・ノース・フェイス〉を中心に、冬の着こなしを考えたい。
アウトドアブランドがその真価を発揮するのは、秋冬シーズンではないか。登山やスキーなどのアクティビティで培った機能は、寒風吹きすさぶ街中でも雨や風から我々を守ってくれるもの。なかでも注目なのが、ストリートでも人気継続中の〈ザ・ノース・フェイス〉。本気のアウトドアをバックボーンにした機能に基づくデザインは、野外だけでなくシティユースしたときもインパクト抜群。ブランドの顔でもあるブラックショルダーの切り返しによってコーディネイトにアクセントが加わるだけでなく、そのギア然とした面構えの服を街中で着れば〝良い違和感〞を演出できるのだ。そして同ブランドを象徴するアウターが防水・防風性に優れた「シェル」と、防寒・保温性に特化した「ダウン」。これぞ〈ザ・ノース・フェイス〉と言わんば かりのアイコニックな銘品だからこそ、小手先のテクニックを弄するのではなく一点豪華主義で身に付けたい。
GORE-TEX® Plain Wovenを使用した、2層構造の防水シェルジャケット。150デニールのナイロンは程よいハリ感を備え、デタッチャブルのスノーカフやダブルフラップなど、冬季登山まで対応できる本格派の仕様だ。
街中でも映えるヴィヴィッドなカラーを活かす
ハリのあるハードシェルのインナーにトラックジャージをを合わせることで、見た目も着心地もリラックス感をプラスされ、デイリーに着たくなるコーディネイトを構築。
シェルジャケット5万円、スニーカー1万5000円/ともにザ・ノース・フェイス(同・原宿店)、トラックジャージ4万9000円/08サーカス(エストネーション)、パンツ2万8000円/サイ(マスターピース ショールーム)
90年代を象徴するモデルの仕様や素材をそのままに、サイズを現代に向けてアップデイト。50デニールのリップストップナイロンに撥水加工を施した表地に、環境に配慮したリサイクルダウンを中綿に使用している。
ダウンジャケットの名品で作るリラックス感のある着こなし
軽く暖かなダウンジャケットは、そこに合った服をたまたま手に取ったようにざっくりとはおるのが正解。足元はドレスシューズを合わせることで、ラフになりすぎず引き締まる。
ダウン3万4000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)、スウェット1万6000円/ラコステ×ナノ・ユニバース(ナノ・ユニバ ース カスタマーサービス)、カットソー1万円/アロハ ビーチ クラブ(ハンドイントゥリー ショールーム)、ジーンズ3万1000円/エージー(同・ジャパン)、シューズ9万2000円/チャーチ(エストネーション)
高級ダウンでは「ハンガリー産のグースダウンを…」といった具合で羽毛の産地などを売り文句にするのが一般的。しかしそれは本当に正しいのだろうか? というのも、これまで極地登山など過酷な環境で技術を磨いてきた〈ザ・ノース・フェイス〉が、いま化繊の中綿に注目しているのだ。たとえばV-モーションという板棉。これは中綿をV字状に整形してかさ高とデッドエアの面積を確保しつつ、これまでの羽毛を使ったダウンでは構造上難しかったストレッチ性までプラスした新技術だ。加えて自宅での洗濯も可能。本当に機能性を追求するなら化繊中綿を選ぶのだ。
V-モーションがダウンの常識を変えた
中綿にV-モーションを採用し、かさ高さや保温性を確保しつつ、スッキリとしたシルエットに仕上げたMA-1タイプのブルゾン。着膨れしないためコートのインナーとしても着用可能で、ロゴも含めてオールネイビーで構成し、シンプルでノームコアな印象に仕上がった。2万3000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)
V字に折り畳んだ化繊中綿をレーザーでカッティングすることで、身体の動きに合わせて呼吸をするのがV-モーションの特徴。そのためストレッチ性に優れているのはもちろん、行動中は衣服内のムレや熱を放出し、じっと動かないときは体温を保持してくれる効果もある。
インナーは正方形状にキルティングを施した。短いステッチを連続して入れることで中綿のズレを防止しつつ、ストレッチ性も確保。
ベントリックス テクノロジーを採用し、通気性と保温性とストレッチ性を高次元で実現したランニング用の保温ジャケット。行動時には板棉が自動で換気し、静止時には保温性を確保。ストレッチアクティブインサレーション採用で着脱の煩わしさもない。2万4000円/ザ・ノース・フェイス(同原宿店)
トレイルランでの機能を追求した「フライトシリーズ」のロゴ。高機能ラインにもベントリックスは採用済みだ。
極薄のストレッチ素材の切り替えで可動域を確保。保温性と通気性を両立できるのもベントリックスならでは。
ベントリックスを中綿に採用したプルオーバータイプのサーマル。通気性に優れた軽量ストレッチナイロンを生地に採用し、ムレを効率的に排出。シェルにはニットの編み目をプリントしたオーガニックなルックスもポイントだ。2万8000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)
ニット模様をプリントした表地は軽量のストレッチナイロン製。ベントリックスの通気性を邪魔せず、ムレを溜め込まない。
風が袖口から入るのを防ぐエラスティックパイピングのスリーブ。伸縮性のおかげで着用感も快適そのもの。
プルオーバータイプのため、左肩にスナップボタンと右裾のジッパーを採用し、着脱のしやすさにも配慮した。
数々の大ヒットアイテムをリリースしてきた〈ザ・ノース・フェイス〉。特に今季はそんな名作のアップデイト復刻が豊作。いま一度新鮮な気分で身につけてはどうだろう?オススメの2点を紹介しよう。
1980年代に高い保温力とポップな色合いでヒットしたフリースパーカ。軽量でしっかりとした厚みのあるマイクロフリースは毛玉ができにくいイージーケア仕様で、静電気が起きにくい特殊加工を施してある。全面施されたネイティブ柄もレトロで楽しい。2万2000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)
全面にネイティブ柄を施し、リブやパイピングにはネイビーを採用。ジーンズと相性良好なのは言うまでもなし。
胸元には控えめサイズでセットされた刺繍ロゴのタグも当時らしい仕様。特に近年のノースはロゴ使いの巧みだ。
1998年に発売のアッセントジャケットで採用したバッフル切り替えのデザインはそのまま踏襲し、コートにアップデイトしてカバー率を向上。羽毛加工メーカーの高度な洗浄技術により、汚れやホコリを徹底的に除去したリサイクルダウンを使用している。3万8000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)
スタンドカラーの裏には収納式のフードを採用。首元のみブラックのシェルを採用し、刺繍ロゴをそこに施した。
裾はドローコード仕様で、風の吹き込みを効果的に防げるため冬季の釣りやスポーツ観戦の時も活躍してくれる。
もうひとつ注目なのが、アウトドアブランドならではの機能性を「旅」というテーマに落とし込んだプロダクトだち。パッカブル仕様や収納性といった機能を盛り込みつつ、街で着たくなるデザインも両立させている。
大きさや機能の異なる3つのポケットを前身頃の内側に配置。荷物をすっきり収納できるため、バッグを持たずに出かけることだって可能。素材は3層構造のGORE-TEXProを採用しており、急に雨が降って来たときもポケット内の荷物を雨から守ってくれる。5万2000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)
随所に施されたジッパーはもちろん防水仕様。レインジャケットとしてだけでなく、普段使いにもオススメだ。
襟裏にはマイクロフリースをライニングし、GORETEXにありがちなゴワゴワとした着用感を軽減した。
大きな左右のフロントポケットはペンホルダーなどもついており、小物から大きな荷物まで収納可能。
軽量で薄手のナイロン素材で仕立てたフード付きのステンカラーコートで、スタッフサックなしでパッキング可能。ヴィンテージ加工を施したナイロン素材は撥水性も備えて おり、普段使いはもちろん旅先で雨に振られた時も安心。スーツにも似合うため出張でも活躍する。2万2000円/ザ・ノース・フェイス(同・原宿店)
スタッフサックなしで500mlペットボトル大にパッキング可能。収納方法もタグに記載されているため安心。
フードはスナップボタンで取り外し可能で、外せばシンプルなステンカラーコートへと早変わりする。
袖口のボタンを止めれば雨や風の侵入を防ぐことが可能。ボタンもロゴ入りのオリジナルを使用している。
光電子
身体が発する遠赤外線のエネルギーを利用して、保温効果を発揮する特殊素材。煙より小さなセラミック素材を繊維に練り込むことで遠赤外線をキャッチして輻射することで保温する仕組みのため、加温素材と違って暑くなり過ぎずに暖かさを自然にキープできるのが最大の特徴。
サーモボール プロ
水濡れに強くダウンのような軽さとかさ高性が特徴の化繊中綿。約95%が空
気で構成された軽量かつ熱伝導性の低いAERO GELを粉末状で繊維に練
り込むことで、さらに断熱性を向上させている。
フラッシュドライ 光電子
光電子繊維を使って特殊なハニカム構造の起毛メッシュ素材に仕上げた素材。通気性と保温性と軽さを併せ持ちつつ、ベースレイヤーとして最適なかさ高さと吸汗性も両立している。
テックセーター
日本国内のみで加工可能なピンタイプウーリー糸を表と裏で異なるゲージで編み込むことで、セーターのかさ高さや柔らかさと、フリースのような軽さや運
動性を高い次元で両立した。
いかがだったでしょうか。人気が高騰しすぎて手に入れることが難しいといわれる〈ザ・ノース・フェイス〉のアウター。後編ではカジュアルからビジネスまで幅広く使えるコーディネイト術をメインに紹介していきます。