8月になるとお盆休みがありますが、6月から7月にかけては休日がたったの1日しかないので、ついこの間の楽しかったゴールデンウィークの思い出がしみじみと胸に迫ります。「国民の祝日に関する法律」の第1条によると「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける」ということになっています。国民の祝日って、実はなかなか素敵な定義づけがなされていたんですね。「美しい風習」「よりよき社会」「より豊かな生活」だなんて‥‥。今まで知らずに生きてきて、何となく遊び呆ける祝日ばかりを積み重ねてきましたよ(笑)。
また、自分は「祝日」と聞くとヘミングウェイの『移動祝祭日』を思い出します。ヘミングウェイの遺作となったエッセイで、彼の死後、1964年に出版されました。ヘミングウェイには「カリブ海でカジキを釣ってるおじいちゃん!」のイメージをもっている人が多いかと思いますが、そんな彼にも若かりし時代があり、1920年代にはパリで生活して文学修業に励んでいました。『もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ。』というプロローグで始まる本著は、パリで暮らした時代を追憶したものとなっています。
この『移動祝祭日』、2015年に大規模なテロがパリで起きてから間もなくして、フランスのamazonで全ジャンル中1位の売り上げを記録しました。「11月13日のテロの後、抵抗のシンボルになった本」というレビューが書かれ、テロの現場では花やロウソクと一緒にこの本が供えられていたといいます。それは、なぜだったのでしょうか。
サン・ミシェル広場の気持ちのいいカフェで創作に没頭する。最初の妻ハドリーと一緒に出かけたアンギアン競馬場で高揚感と解放感に包まれる。夜のテュイルリー庭園からセーヌ河岸へのロマンティックな散策に浸る。『移動祝祭日』には、パリでのヘミングウェイの日常風景が描写されています。テロ後にこの本を改めて読んだ人々は、自分たちが暮らしているパリが育んできた文化の素晴らしさを再認識したことでしょう。SNS上にあふれたハッシュタグは、「みんなビストロへ」という意味の「♯tousaubistrot」や「私はテラスにいます」という意味の「♯jesuisenterasse」でした。あえてテロ以前と変わらない生活を楽しもうとすることで、テロへの抵抗の意思を示したのです。
忙しい毎日でも人生を楽しむこと、折れない心に加えて遊び心を持って人生の難局を乗り越えていくこと。常にこれらを忘れないように、自分自身に対する奮発剤のひとつとして、あらゆる失望に対する抵抗のシンボルとして、このTシャツにある「THE GOLDEN WEEK」というメッセージを受け取りたいと思います。日本にある美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために。(真面目かっ!)
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