2017.10.11 Wed UPDATE FASHION

“30代の初体験” 家にもオフィスにも来てくれる訪問型オーダースーツのメリットを検証してみた!

大人の男にとって仕事着でもあり、勝負服であるスーツ。「どうせ手に入れるなら世界に1着しかない自分にピッタリの1着が欲しい!」。そんな願いを叶えてくれるオーダーメイドスーツ作りに、36歳/フリーライターの筆者がトライ!

えっ? 自分の家に来てくださるんですね!

大人の男にとって日々の仕事に必要な作業着であり、ここ一番での勝負服でもあるスーツは、30代・MJ世代の読者諸君にとっても、もはや日々の生活に欠かすことのできない当たり前の存在。だが、中には滅多に着用する機会がなく、持ってはいるがクローゼットに眠っているだけ……なんて人も少なからずいるのではないだろうか? その理由を考えた時に思い当たるのが、自身のライフスタイルにマッチしていない以前に、自分の好みや体型にフィットしていないからなのでは?
そこで本企画では、自分自身に本当にフィットしたスーツを手に入れるべく、訪問型テーラー〈ゲットワン〉の協力のもと、“オーダースーツ”に挑戦。
とはいえ、いきなり飛び込むには気になる部分も多々。そこでまずは、誰もが感じる4つの疑問を〈ゲットワン〉代表取締役の松島さんに投げてみた。

〈ゲットワン〉代表取締役の松島さん


筆者/スーツのオーダーは初経験です

【オーダースーツを作る際に、どうしても気になる Q&A】

Q1.オーダースーツのメリットは?
A1.「まず、その人の体型にジャストフィットしたものが手に入る。デザインに妥協することなくこだわれる。この2点が挙げられます。また当店は訪問型テーラーなので、お客様が好きな時間と場所を指定できて、来店する手間がないという長所も。さらにリラックスした状態の中で打ち合わせをするので、細かな点まで相談していただきやすく、同じ金額をかけるなら、より自分好みのスーツが手に入るというのが一番のメリットといえます」

Q2.高価なイメージがあるオーダースーツをリーズナブルに作れるのはなぜ?
A2.「使用する生地自体は、百貨店や高級テーラーと一緒なので、そこはまず利幅の違いです。商品の価格帯にもよりますが、当方の平均価格帯である5~6万円代のスーツですと百貨店などに比べて2~3割ほどお安くなります。その大きな要因が訪問型テーラーであるということなのです。店舗を構えることで発生する家賃や、そこに在中するスタッフの人件費、在庫を保有するリスクなどを含めた固定経費を抑えることで無駄な利益を上乗せする必要がない分、プライスも抑えられるというわけです」

Q3.そもそも初めてのスーツがオーダーメイドって贅沢すぎるのでは?
A3.「最近はインターネットの普及もあり、オーダースーツがブームになっているので、ひと昔前に言われていた、7割が既製品、3割がオーダーという比率も変わってきています。中には2万円台から作れるというお店もあったり量販店でも受け付けていたりするので、金銭面でも気持ちの面でもハードルは下がっているので、贅沢なんてことはありません。むしろオーダーメイドなら、サイズやデザインなど自分に合ったものが手に入るので見栄えも良くなります。気軽にトライしてみてもいいのではないでしょうか」

Q4.オーダーメイドをする際に、こちらが何かを用意しておく必要はありますか?
A4.「ご予算や用途を決めておいて頂く以外は、特にありません!」

なるほど、想像していたよりもハードルが下がって「コレだったら!」とひと安心。
気になる疑問も解決したところで、まずはオーダースーツを制作する際の流れを追ってみよう。

【オーダーから完成までの流れ】

1.予約をする。
まずはホームページに記載されている問い合わせ先に、電話で連絡をして訪問日時と場所を指定する。その際にデザインや用途などの要望や予算、希望の納期なども伝えておく。場所は喫茶店やファミレスよりは、勤め先や自宅を指定するのがベター。

2.サイズを計測し、仕様を決定する。
サイズはその場で計測。仕様に関しては、大きく分けるとジャケットならフロントボタンの数が3つなのか2つなのか、背中のベントがセンターなのかサイドなのか。パンツなら裾をシングルにするのか、ダブル(折り返し)にするのか。これだけ決められればOK。

たった2ステップでオーダースーツが出来るとは意外!
と驚きつつ、早速オーダーメイドの基盤部分となる採寸からスタート。

松島さん:「ジャケットの着丈ですが、お尻が隠れるくらいにしますか? 最近の傾向では、ウエスト位置くらいの短めが足も長く見えるので人気ですが……」

筆者:「(食い気味に)スタイルが良く見える方でお願いします!」

松島さん:「身長から考えると、袖丈が一般的な数値よりも2cmほど短いですね」

筆者:「そうなんですか!? 腕が短いなんて初めて知りましたよ。道理でシャツも肩幅に合わせると袖丈が長いわけですね」

松島さん:「あと、パンツの腰位置はどうしますか? 最近は腰骨の下に合わせる方が多いのですが」

筆者:「ではそちらで! シルエットはスタイリッシュな感じがイイですね」

松島さん:「ではパンツ丈も短めがトレンドなので、靴に掛かるか掛からないか位の一番キレイに見える長さにしておきます。サイズ全体を測ってみましたが平均的な体型ですね、ただ「前肩」と言って、腕が身体の真横ではなく前のめりになっているので、そこはジャケットの腕の付け方を調整しておきましょう」

というわけで、以下が採寸データ。

<採寸データ>
身長:174cm
総丈(首の付け根から地面までの長さ):146cm
オーバーバスト(腕を下げた状態で、二の腕を含めた一周の長さ):112cm
バスト(胸囲):93cm
中胴(お腹の一番出ている位置):79cm
肩幅:44cm
ヒップ(お尻):98cm
袖丈(右、左ともに):57cm
着丈(ジャケットの長さ):71cm
パンツ丈:102cm
ウエスト:81cm

続いて、採寸データを元にどのような生地や付属パーツを使うのかという「仕様」選びへと移行。ここで“どのような用途で、どのようなテイストを希望するか”を詳細に伝えて、さらにデザインを詰めていくのだ。

ちなみに筆者の要望は以下の通りである。

【筆者(年齢/36歳 職業/フリーライター)の場合】

用途:普段はスーツを着ないので、レセプションパーティーなど公的な場への出席、取材や打ち合わせの際に使える勝負服として。
デザイン:スタンダードかつスタイリッシュに見せたい。

松島さん:「無地か織り柄がビジネスではスタンダードとされていますので、今回はそのどちらかがイイのではないでしょうか。色に関しては、ネイビーやグレーなどシンプルな方がシーンを問わず活躍頻度は高いですね。日本ではネイビーの方がフレッシュで清潔感があると人気ですが、富永さんの年齢ですと大人っぽい落ち着きも与えられるグレーがよさそうですね」

筆者:「だったら、今回は勝負服となる1着を作りたいので、スタンダードで年相応の落ち着きもある無地のグレーがイイですかね。それなら、たとえ立ち食いそばの汁が飛んでも目立たなそうですし」

松島さん:「あはは(笑)、では(生地サンプルを見せつつ)こういった濃色のチャコールグレーなら汚れも目立ちにくいしシックで合わせやすいので、これにしましょうか。イタリアの〈ゼニア〉という高級生地メーカーの、しかも“トルフィオ”という最上級ウール素材なので肌触りも抜群ですし!」

筆者:「(“高級”というワードに若干不安を感じつつ)あっ……では、そちらでお願いします! あと、あまり着る機会がないので、メンテナンスや保管が簡単な方が有難いのですが(汗)」

松島さん:「基本的に着用頻度が少ないなら、シーズンの終わりにクリーニングに出して防虫剤と一緒に保管していだたけば問題ないですよ。ただし、残念ながら服に寿命があるのは事実です。メンテナンスによって何10年も服の寿命が延びるというわけではないので、そこまで神経質になる必要はないと思います」

筆者:「なるほど。あとは何を決めればイイですか?」

松島さん:「裏地とボタンも同じようにサンプルを見て頂き、決めていきましょう!」

筆者:「裏地選びのセオリーってあるんですか?」

松島さん:「一般的に既製品では表地と同色を使うことが多いですね。今回は表地が〈ゼニア〉なので、同メーカーの裏地とボタンを選んでいただくと統一感もあってオススメです。もちろんそれ以外のメーカーの物を選んでもオプション代が掛かるわけではないので、ご安心ください(笑)。なので基本的に自由と思っていただいて結構です」

筆者:「せっかくオーダーメイドするなら、裏地を派手にするっていう選択肢もアリかなって」

松島さん:「たしかに面白みはありませんが、無地の同色を選んで頂いた方が使い勝手はイイんです。その中で少し変化をつけるなら、明るい色調のシルバーグレーはいかがでしょうか? 表地が濃いめなのでコントラストがついて、ジャケットを脱いだ際にキレイに見えるという利点があります」

筆者:「なるほど。ちょっと洒落ているなと思わせる位が大人の選択ってやつですね。秋冬用なので背中も裏地ありですよね?」

松島さん:「雑誌なんかではそう書かれていたりするので、そう思い込んでいる方も多いのですが、実は春夏も秋冬も背抜き仕様がスタンダードなんですよ」

筆者:「へ〜、それは知らなかったです! 勉強になりますね。ではスーツの本質を知るという意味で背抜きで。ボタンはどうしましょうか?」

松島さん:「大人しめに着るなら、落ち着いた色を。少し遊ぶなら、明るめでアクセントになる色を選ぶのが基本でしょうね。フロントは2つボタンか3つボタンがあって、最近では2つボタンが主流です。また靴やベルトなどとの色合わせを気にする方もいらっしゃいますが、そこまで神経質になる必要はありません。今回のようなチャコールグレーの表地なら、馴染みやすい黒かダークブラウンを選んでみては?」

筆者:「では、色はちょっとこだわってダークブラウンで、フロントは2ボタンでお願いします」

松島さん:「承知しました。ベントはどうしますか? サイドベンツとセンターベンツがあって、サイドだとスリットから腰位置が見えるのでスタイルアップできますし、パンツのポケットが使いやすくなりますので、パンツが細身ならそちらがオススメです」

筆者:「ぜひ、サイドベンツでお願いします!(即答)」

松島さん:「最後に仕立てに関してですが、「スタンダード」と「ハイグレード」という2種類のプランがあります。「スタンダード」の場合、百貨店で10万円前後のスーツと比べてもまったく遜色ありません。ですが今回は10万円以上の高額生地を使用するので、よりこだわって仕上げる「ハイグレード」がオススメです」

筆者:「もはや信頼しているので、お任せで! あとは完成を待つばかりですよね、楽しみです♪」

これにて事前の打ち合わせは終了!

【今回の検証のまとめ】

最初は若干緊張していた筆者も、自分のホームグランドであるという安心感と松島さんの丁寧で気さくな接客でリラックス。表地から裏地にボタンまで、的確なアドバイスのおかげで悩むことなくテンポよく決まっていき、所要時間はわずか1時間足らず。
自分でも知らなかったボディサイズや、スーツを作る際のセオリーなど新たな発見もあり、スーツをオーダーメイドするということは“知る”ということでもあるのだと改めて気付かされた次第だ。
今まで固苦しく考えて、どこか敬遠していたスーツへの興味が湧いてきただけでも、大人の男を目指すための大きな一歩となったのではないだろうか。

さて、ここから完成までの期間は通常約2週間〜1ヶ月ということで、しばしのウェイティング。
果たして、どのようなスーツが完成してくるのか!?

次回、「36歳、自分だけのオーダースーツを着る喜びを知る!」をお楽しみに。

【お問い合わせ】
ゲットワン 訪問スタイルのオーダースーツ専門店
※東京23区・埼玉県・横浜市限定になります。地域外の方はご相談ください。
住所:〒110-0008 東京都台東区池之端4-14-8 ビューハイツ池之端105
TEL:03-5834-8795
Mail:order@getone-suit.com
HP:http://getone-suit.com/

Photo:YAMATO ONE
Text:TOMMY

« 一覧