前回お届けした「デザイナーが語る!春の最新LOOK解説」 が好評を博し、秋も連載が決定!! 今回も本誌で人気の3ブランドをピックアップし、デザイナー自らに解説をお願いした。
第1回は〈ファクトタム〉。今季のテーマは“PIONEER (パイオニア)”で、医師であり博物学者でもあるドイツ人、フィリプ・フランツ・フォン・シーボルトが想起元となっている。プランターハンターをイメージした秋冬コレクションのスタイリングについて、デザイナーの有働幸司氏にコメントをいただいた。
LOOK 01
「オーバーサイズのMA-1に、同じくオーバーサイズのノーカラーコートをレイヤードさせたボリューミーなコーディネイト。どちらもイチョウの葉をモチーフにしたオリジナルの迷彩柄を採用しています。アイテム単体でのビッグシルエットではなく、“レイヤードビッグシルエット”という新しい切り口を秋冬は提案しています」
LOOK 02
「ブランド定番のアラスカンコートを使ったスタイリング。フードを取り外せばステンカラーとしても使用でき、カジュアルとセミフォーマルの間を取ったアイテムです。トレンドとなっているオレンジのワイドパンツと合わせ、シンプルながら印象的に仕上げました」
LOOK 03
「オーバーサイズの流行によって、メンズ服を着る女性が以前より増えた印象を受けています。そんなことから、〈ファクトタム〉ではジェンダーレスも提案。サイズも性別も関係ないという自由なメッセージを載せたルックです」
LOOK 04
「モヘアでオンブレチェックを表現したオーバーサイズコートがメイン。イチョウの迷彩シリーズ (LOOK 01) と並んで、このシーズンのシンボリックな存在となっています。モードアイテムをデニムでカジュアルに、というブランドのお家芸とも言える合わせ方です」
LOOK 05
「ローゲージのショールカラーニットの上にアンコンジャケットを乗せたジャケットレイヤードスタイル。アールダム社とのコラボレーションストールで、こなれた品の良さをイメージして仕上げました」
LOOK 06
「これも逆転の発想のレイヤードスタイル。Gジャンの上にシャツを重ねています。上下デニムは抵抗があると思いますが、こういったレイヤードスタイルでいれば、土っぽさも解消されると思います」
LOOK 07
「1人はジャケットに手に持ってもらいましたが、トラックジャージのセットアップを兄弟で。実は、モデルが実の兄弟なんです(笑)。ストリートな雰囲気を持たせたまま上品に昇華させた、時代感にブランドのエッセンスを混ぜたお気に入りのルックです」
LOOK 08
「リバー・フェニックス的なコーディネイトです。’70年代感あふれるレザーブルゾンは、リブがトリコロールになっているのが特徴。レザーとデニムという、ブランドを象徴するアイテムを用いたコーディネイトです」
LOOK 09
「異なる編地をミックスさせたニットに、あえてニットタイを合わせています。ブランドが持つ“文学”のイメージ、自由奔放に生きるけど知的であることを表したイメージを具現化したスタイリングです」
LOOK 10
「これも (LOOK 01と同じ) イチョウの迷彩を使ったスウェットパーカ。タートルネックをのぞかせる着こなしがトレンドになっています、〈ファクトタム〉では昔から提案していました。その意味でもブランドらしいコーディネイトです」
【解説してくれたのは…】
〈ファクトタム〉デザイナー:有働幸司
1971年生まれ。熊本県出身。〈ビームス〉を退社後、ロンドンに留学。ヨーロッパを一周しながら見聞を広めた。1998年に帰国し、国内ブランドの立ち上げに参画。その後、2004年に独立して〈ファクトタム〉をスタートさせた。ブランドのコンセプトは、デニムに対する深い想いと、モードやリアルを融合すること。テーラード、ワーク、ミリタリーをベースにしつつ、テーマとなる国を訪れて出会った人、風景、空気からインスピレーションを得てデザインに落とし込んでいる。
〈FACTOTUM〉公式サイト http://factotum.jp
Text:MASAHIKO TAIRA[pop*]( http://www.pop-jpn.com )