「ジャックパーセル」は、<コンバース>を代表するモデルのひとつ。バドミントンのワールドチャンピオンが開発に参加して1935年に生まれました。そのチャンピオンの名前こそが、ジャック・パーセル。1932年から1945年まで14年連続でバドミントンのワールドチャンピオンシップを獲得した伝説のプレイヤーです。
トゥに入ったラインは、微笑んだ口元に見えることから「スマイル」と呼ばれています。また、ヒールパッチのデザインは「ヒゲ」の愛称で親しまれてきました。 このスニーカーをカート・コバーンが愛用していたことはあまりにも有名です。時代をさかのぼってみると、あのジェームス・ディーンが履いている写真も残っていたりします。
そんな名作の進化版がこちら。
ジャックパーセル ニュースリップ レザー R 1万2000円(コンバース インフォメーションセンター☎0120-819-217)
シューレースがなくて、シューレースを通すためのハトメすらもありません。靴の内部でアッパーとタンがゴムでつながった作りになっていて、スリッポンのようにヒモなしで履くことを可能にしています。アッパーの素材は、レザーです。ピュアなホワイトカラーでスニーカー全体が包み込まれていて、ミニマルなムードが際立っています。
通常の「ジャックパーセル」なら、白いキャンバス地のアッパーに対してトゥの「スマイル」はネイビー、ヒールパッチの「ヒゲ」はブルーであしらわれます。今作の場合、アッパーにレザーを起用したうえで「スマイル」や「ヒゲ」のディテールも含めて全体がホワイトで統一されています。ロゴが中央に入ったアウトソールまでオールホワイト。シューレースがなくてミニマル、レザーが起用されてエレガント、細部まですべてがホワイトになってクリーン。かつてない三拍子が揃った「ジャックパーセル」の完成です。
’50年代にジェームス・ディーンが、’90年代にカート・コバーンが履いた「ジャックパーセル」。若くしてこの世を去ったカリスマふたりに愛されたというとこで、「ジャックパーセル」に対しては他のスニーカーとは違った特別なイメージを抱いている人もいるでしょう。それを言葉にするなら、「儚さ」ということになるでしょうか。「儚さ」ゆえの「美しさ」ということになるのでしょうか。
図らずも今作においては、その「儚さ」や「美しさ」が極まっているように思えます。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:NAOYA KANAI
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)