なんとな〜くの習慣でここまできていること、ありませんか。よく履くスニーカーのフォルムもそうです。「自分は絶対にボリュームのあるスニーカーは履かない！」と心に固く誓っている人は、そんなにいないでしょう。ただ、なんとな〜くの習慣で、今まで履いてこなかっただけだと思います。そんな食わず嫌いの皆さんに、オススメしたいボリュームスニーカーがあります。

＜フィラ＞のMB

 

 

＜フィラ＞のMB 1万3000円（フィラ カスタマーセンター☎0120-00-8959）
 
このスニーカーを語るには、ひとりのバスケットボール選手の話から始めなければなりません。ジャマール・マッシュバーンという選手で、ケンタッキー大学に在籍していた時代から「モンスターマッシュ」の異名で呼ばれていたスモールフォワードです。彼の背番号「24」は、ケンタッキー大学で永久欠番になっています。1993年にダラス・マーベリックスに入団すると、1年目に試合平均19.2得点、翌シーズンに試合平均24.1得点を記録して活躍しました。

あのマイケル・ジョーダンとともにシカゴ・ブルズの黄金期を支えてきたスコッティ・ピッペンが「最も守りづらい選手」と語り、ディフェンスの名手と謳われたピッペンを相手にしながら50得点を叩き出したこともあります。

そんな彼のために＜フィラ＞が1996年にファーストシグネチャーモデルとして用意したのが「マッシュバーン 1」でした。その復刻版が、こちらの「MB」になります。ちなみに、各ブランドがリリースしている現行のバスケットボールシューズは割とシュッとしたフォルムになっていて、そんなにボリューミーではありません。改めて「MB」を見ると、このドシッとした感じのフォルムがファッション的にはとても貴重なものに思えてきます。

極め付けは、その魅惑的なフォルムの中に取り込まれたトライバル柄です。これはジャマール・マッシュバーンのタトゥーがモチーフになっていて、魂というか精神性というか何か特別なものが靴に吹き込まれているように感じます。単にボリュームのあるバスケットボールシューズとは違って、ネイティブジュエリーを取り入れた装いに合わせてみると意外と面白いかも知れません。ナバホ族のスタンプワークだったり、ホピ族のオーバーレイだったりの技法が活かされたシルバーとコーディネイトしてみれば、かつてないシナジー効果が生まれそうです。

いずれにせよ、このフルボリュームなシルエットは冬のコートスタイルに合わせると絶妙なバランスを築いてくれることでしょう。春が訪れたら、ふわりとスプリングコートを羽織るスタイリングにプラスしてみてはいかがでしょうか。
 
 
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:NAOYA KANAI
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)