2018.02.01 Thu UPDATE FASHION

ゴアテックスの話の続き。モンベルの場合。 アウトドアブランド傑作選 #22

1月29日に公開した記事では、ゴアテックスを使った<ザ・ノース・フェイス>の「マウンテンライトジャケット」をピックアップしました。その際、「ひとくちにゴアテックス素材といっても、実はいろいろ」という話をしましたね。今日は、その話の続きです。<モンベル>の「アルパインサーマシェルパーカ」の場合は、どうでしょうか。

<モンベル>のアルパインサーマシェルパーカ


<モンベル>のアルパインサーマシェルパーカ3万6800円(モンベル・カスタマー・サービス☎︎06-6536-5740

こちらの「アルパインサーマシェルパーカ」は、金額的には<ザ・ノース・フェイス>の「マウンテンライトジャケット」とほぼ一緒。「アルパインサーマシェルパーカ」の方が税抜き価格で800円だけ高いです。それで、使用している素材はどちらもゴアテックスだと聞かされると、どちらを選ぶべきかで途方に暮れてしまいます。

もちろん、見た目が違いますし、ブランドに対するイメージの違いもあるでしょう。だから、途方に暮れることはないという人もいるかと思いますが、ここでは使われているゴアテックスの違いに着目して考察していきます。

「アルパインサーマシェルパーカ」に使われているのは、「ストレッチゴアテックスファブリクス3レイヤー」。要するに、ストレッチが効いたゴアテックスです。伸縮性のある表地を採用することで着心地を向上させています。ストレッチデニムみたいにビヨ〜ン、ビヨ〜ンと驚くほど伸びるなんてことはありませんが、あまり伸びるイメージがないゴアテックスが伸びてくれること自体にびっくりです。実際、街中で自転車に乗って前傾姿勢をとる時には肩甲骨から肩周りの楽チンさに影響してきたりして、感謝することもしばしばでしょう。

<ザ・ノース・フェイス>の「マウンテンライトジャケット」に使われているゴアテックスは、表地が70デニールという話をしました。「ストレッチゴアテックスファブリクス3レイヤー」の表地は、30デニールです。なので耐久性に関しては、「マウンテンライトジャケット」の方があるといえます。

また、この「ストレッチゴアテックスファブリクス3レイヤー」の裏地には起毛加工を施したポリエステルが張られていて保温性が高くなっています。これも通常のゴアテックスとは違うところ。

さらに「アルパインサーマシェルパーカ」をよく見ていくと、フード・袖口・裾の3箇所は色のトーンが切り替わっていることに気づきます。これらの箇所には、軽量性に優れた「ゴアテックスパックライトファブリクス」が使われています。「ストレッチゴアテックスファブリクス3レイヤー」の部分と違って裏地面が滑らかなのは、雪が入り込んで付着するのを防ぐためです。

上の写真(右の身頃の内側を撮影したもの)を見ると、裏面の違いは一目瞭然。寒気や雪がウエア内に侵入するのを防ぐウインドスカートが腰にぐるりとあしらわれていますが、その上下で裏地の仕様が変わっています。

Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:YUTA FUKAZAWA
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)

« 一覧