2018.02.05 Mon UPDATE FASHION

60周年を迎えたスノーピークの使命は? アウトドアブランド傑作選 #24

<スノーピーク>は、新潟県燕三条のアウトドアメーカーです。その本社社屋の目の前には、5万坪のキャンプフィールドが広がっています。もはや、キャンプ場の中にオフィスがあるといった感じ。そこには日本中からキャンパーが集まり、<スノーピーク>のスタッフも日常的にキャンプ場から出社していたりするといいます。人と自然、仕事と自然がひとつながりになった素敵な環境です。
 
創業は1958年。大工道具をメインに扱う金物問屋として立ち上げられました。燕三条は、金属加工で世界的に名を馳せている土地柄。谷川岳をこよなく愛するクライマーであった創業者の山井幸雄さんが当時のハーケンに満足できず、地元の職人に製造を頼んだことが契機となってオリジナルの登山用品がラインナップに加わっていきました。

<スノーピーク>のレイン&ウィンドレジスタントジャケット


<スノーピーク>のレイン&ウィンドレジスタントジャケット2万8000円(スノーピーク☎0120-010-660
 
今年で<スノーピーク>は創業から60周年を迎えました。現在、アパレル部門でブランディングマネージャー/デザイナーの任務に就いている山井梨沙さんは創業者のお孫さんです。摩擦や裂けに強い高密度のリップストップナイロンに耐久撥水加工とアクリルコーティングが施された「レイン&ウィンドレジスタントジャケット」は、雨にも風にも負けない頼もしさがありながら、着心地は軽くて柔らかくて優しいところが魅力。両胸と裾の両側に配されたジップは、中に着たウエアのポケットにダイレクトにアクセスするためのもの。さらにはベンチレーションの役目も果たします。
 
 
 
創業60周年の節目に300ぺージを超えるボリュームで発行されている冊子『2018 Outdoor Lifestyle Catalog』は、プロダクトの紹介のみで終わらず、ブランドの長きに渡る挑戦の歴史を紐解いていて、未来に向けての提言も心に響いてきます。
 
そこに記されていて印象に残ったのが 「人間性を回復するという私たちの使命も、確実に広がっています」という言葉です。初代の後を継いで社長となっている山井太さん(山井幸雄さんの息子さんであり、山井梨沙さんのお父さん)のステートメントの中にありました。現在、このカタログは「創業60周年特設サイト(https://www.snowpeak.co.jp/sp/60th/)から無料で申し込むことができますので、興味がある方はチェックしてみてください。
 
山登りやキャンプを通して自然の中にいると、「豊かさ」とは必ずしも「経済的な余裕」を指す言葉ではないということが分かってきます。「本当の豊かさとは何か」という問いの答えが、頭で理解するとかいうレベルではなく、実感となって心の中に貯まっていくのです。その実感が貯まれば貯まるほど心は軽くなり、穏やかになっていくのを感じます。
 
60年目を迎えた今、<スノーピーク>の使命は、まさに広がっていると思います。
 
 
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:YUTA FUKAZAWA
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)

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