歴史は繰り返すといいますが、ここ何年かは’90年代がルックバックされたり、リバイバルしたりですね。あの頃のファッションが、再びもてはやされているのはどうしてでしょうか。アメリカでいえば、後の時代ほどグローバリズムも、新自由主義も、テロとの戦いも、分断も叫ばれていなかった頃。今になって振り返ってみれば、まだまだ時代がおおらかだったといえるかも知れません。そんな時代に対するノスタルジーでしょうか。
<ペンフィールド スポーツウエアインク>のテンペストフーディー3万7000円 ※3月発売予定(ヤマト インターナショナル☎︎03-5493-5651)
<ペンフィールド>は、1975年に米国のマサチューセッツ州ハドソンで設立されたアウトドアアパレルブランド。例えば、1996年にはマンチェスターのメインロード(マンチェスター・シティFCの旧ホームスタジアム)で開催されたオアシスのライブでノエル・ギャラガーがシェルパーカを着用しました。1998年にエリック・クラプトンがリリースした『My Father’s Eyes』のミュージックビデオで着用されていたのも<ペンフィールド>です。’90年代にはアメリカでもイギリスでも日本でも大人気でした。<ペンフィールド>と過ごした、少しホロ苦さが混じった’90年代の思い出を抱えている人も多いことでしょう。
こういったノスタルジックな趣きで捉えられがちな<ペンフィールド>も、今では現代社会の生活に最適化された実用性と機能性を備えるプロダクトで勝負しています。
「テンペストフーディー」が、その代表例。防水透湿素材を使っていて、耐水圧のレベルは11000mm。2月7日に公開した<デサント オルテライン>の「ボアシェルジャケット」に関する記事で耐水圧についての話をしましたが、耐水圧11000mmというのは大雨にも耐えるとされている水準です。
着用シーンのひとつとして自転車に乗ることを想定しているのもあり、「アルパインザック」とネーミングされたバックパックにも使われている「ビートテックス」という荷重や衝撃に強いナイロンで肩と肘を補強しています。袖口は、ライダースジャケットのようにジップでアジャスト可能です。その袖口と胸ポケットのジップは、きっちりと閉めた際には雨がウエア内に入り込まないように止水仕様になっています。
ノスタルジーを感じながらも、行くべきところをしっかりと見据えて前進している。そんな自分でいられて心地いい1着が「テンペストフーディー」なのです。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:YUTA FUKAZAWA
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)