“角界を揺るがす”
ここ数年そんな言葉を頻繁に耳にするようになった気がする。
もちろんネガティブな意味で、だ。
なんとも虚しく濁った言葉だ。
そんな淀んだ昨今の相撲界とは無縁であり続けるのが1970年代にオオタキから発売された1/24スケール横綱土俵入りのニッチプラモだ。
まずこのパッケージがいい。
特筆すべきは模型の完成例がボックスアートに使われている点だ。
通常、箱には期待感を高めるためにもイラストか実際の写真が使われる事が多く、完成例がドンと載るのは意外と珍しい。
ある意味、オオタキのこの模型に対する自信を感じる。
見ての通り「横綱」「太刀持ち」「露払い」「行事」そして「土俵」のセットだ。
左上には「YOKOZUNA CEREMONY」と記されていて70年代のCOOLさを物語っている。
このプラモデルが発売された当時はおそらく北の湖関が横綱だった頃である。
それを踏まえてよく見るとこの横綱の肉体、なんとなく北の湖関に似ているから愛おしい。
-中身-
力士や行事の前後をハメ込めば出来上がる簡単な作りだが、細かな化粧まわしや顔の表現等の塗装はなかなかやっかいだ。
そんな横綱土俵入り、カラーで見るきまり手いろいろが入っていたり、説明書にも余白があれば「きまり手」や「大相撲豆事典」がみっちり掲載される情報過多っぷりで組み立てどころではなくなる。
購入者にとことん相撲の知識を叩きこむ気満々なのである。
相撲を知り相撲を楽しみながら相撲を作る。
オオタキはそんな純粋な相撲愛からこの模型を生み出した。
ゴタゴタ続きだが、
また再びポジティブな意味での”角界を揺るがす”話題を提供できるようになればいい。
じゃないとこの模型の横綱もきっと泣いている。
PROFILE
エンドケイプ
《りゅうちぇる》×《カネボウ化粧品suisai》コラボソング『TRUE TRUE』やジョジョの奇妙な冒険ダイヤモンドは砕けない3期オープニング『Great Days』等の作詞家でクリエイター
TV出演「笑っていいとも」「めざましテレビ」「モーニングバード!」「スッキリ!!」「Nスタ」「月曜から夜ふかし」他多数
Twitter https://twitter.com/endcape
Blog http://lineblog.me/endcape/