ダウンジャケットは冬の定番アウターだが、その歴史を知らない人も意外と多いだろう。そもそもダウン(羽毛)はガチョウ(グース)やアヒル(ダック)などの水鳥の胸に生えている毛のこと。タンポポの綿毛のように丸いものはダウンボールと呼ばれ、このボールが大きいほど良質なダウンとされている。また、ダウンとフェザーが混紡しているのが一般的だが、ダウンの混率は90%以上が高品質とされていることも覚えておきたい。
ダウンジャケットの始まりは1936年。エディー・バウアー氏がロシアの人々が暖をとるために使っていた羽毛に着目し、自身の趣味とする釣りの防寒着として開発した。キルティング加工によって服の中にダウンを閉じ込める手法は、同氏によって生み出されたもの。類まれな保温性と軽量性で、極寒地での作業服としても用いられてきた。そして今日もなお、もっとも暖かい防寒アウターとして世界中で絶大な支持を集めている。
手仕事が際立つ人気ブランド「ナンガ」のダウン作り
[写真左]ダウンからシェラフ(寝袋)まで、ひとつひとつ人の手で縫製を行なっている。[写真右]工場内には膨大な種類の表地をストック。