2019.05.01 Wed UPDATE FASHION

祝『令和』 平成のファッショントレンドを振り返る【2004年】

平成が終わった…!

「平成」に続く新しい年号として「令和」に改元。また新しい時代を迎えた。元号の変遷と同様に、ファッショントレンドも毎年変化を遂げており、現代ではSNSの普及によってその変化のスピードがより一層増している。そのような目まぐるしいファッションシーンのトレンドを、この記事では『Men’s JOKER』の過去記事を参照しながら本日から4回にわたり、5年ごとにファッショントレンドを追ってみたいと思う。
解説してくれるのは、実際にメンズファッションの現場で長年活躍しているスタイリスト・金井尚也さん。創刊の2004年から休刊の2019年までの15年間のページから代表的なコーディネイトを選び、当時のトレンドについてコメントを加えた。

今回は2004年をピックアップ。当時のスタイリングとともに検証していきたい。

解説してくれたのはこの人
スタイリスト 金井尚也

メンズファッション誌を中心に活躍する実力派スタイリスト。最先端のトレンドはもちろん、ヴィンテージなどにも精通。幅広い知識に裏打ちされたスタイリングに定評あり。

 

2004年のトレンド【15年前】

――当時2004年(平成14年)はこんな時代
日本中がアテネオリンピックに沸いたこの年。水泳競技で金メダルを獲得した北島康介の「チョー気持ちいい」という名言は、この年の流行語大賞も獲得している。また先日、引退を発表した野球界のスーパースター・イチローがジョージ・シスラーのシーズン最多安打記録257本(1920年樹立)を、84年ぶりに更新。イチロー選手が世界を魅了したのもこの年だった。

 

トップスはタイト&コンパクトが常識

金井 「まずパッと見でわかるシルエットに注目ですね。2019年の今だと、ユルッとした、いわゆるビッグシルエットというオーバーサイズのスタイリングが主流なんですが、15年前の2004年のトップスは、タイト(細め)に、ゆとりのないシルエットがメインでした。着丈(※1) はとにかく短くて、カッチリしたジャケットが流行していました」

※1 襟のつけ根から裾先までのこと

ジレとUネックカットソーがトレンドの象徴に

金井 「2004年頃を象徴するアイテムとして、ジレがあげられます。今では、あまりカジュアルファッションでは見かけられなくなってきましたが、当時はみんな着ていましたよ。ベストに近いアイテムなんですが、より上品な印象を与えるのと同時にベストよりも薄く、レイヤード(※2)のしやすさも人気の要因だったのかもしれません。それと、レイヤードの組み合わせとしてスタンダードだったのが、トップスのインナーに幅が広いUネックカットソーの合わせ。トップスはデニムジャケットなど、合わせることで“男らしさ”を打ち出せるテイストが流行っていました」

※2 カットソーなどのインナーと、シャツなどのトップスの重ね着のこと

パンツは腰ばきで裾に余らせるのがマスト

金井 「次はパンツです。この当時の基本形は、丈を長めにして余らせて履くスタイル。裾に引っかけて、かかとを隠して引きずるように履いている人が多かった印象です。さらには、1990年代後半から流行った腰パン(※3) 履きのブームが継続していました。これが足元を余らせて履くことに拍車をかけて、僕もかかとをやぶりながら歩いてましたね(笑)」

※3 パンツを腰骨より数センチ下の位置で履くこと

’60年代調のレトロテイストが再燃

金井 「ヒッピー(※4)ファッションが流行ったのも、2004年頃。いわゆる、’60年代の香りがするレトロで、ナチュラルなファッションです。代表的なアイテムとしては、膝から大胆に広がるフレアパンツ、カラフルな柄のシャツやヘアバンド。こうしたアイテムを取り入れてファッションを楽しんでいる人たちがたくさんいました。ファッションリーダーとしてイメージしやすいのが、当時の堂本剛さん。独特な雰囲気をまといながら、自由さをアピールする姿は原宿あたりでも大人気でした」

※4 1960年代後半にアメリカで巻き起こった、伝統や制度など既存の価値体系を否定するムーブメント。「自然に帰れ」という主張とともに、当時の社会体制を否定し、反戦や人種差別の反対運動を行った

 

金井 「ちなみに2004年、僕は20歳。大学を1年で辞めて、地元に帰って服の専門学校に入るために、バイトをしながら学費を貯めていましたね。懐かしいなぁ。田舎だったんで、情報源はファッション誌だけで、めっちゃ読みまくりましたよ」

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