「平成」に続く新しい年号として「令和」に改元。また新しい時代を迎えた。元号の変遷と同様に、ファッショントレンドも毎年変化を遂げており、現代ではSNSの普及によってその変化のスピードがより一層増している。そのような目まぐるしいファッションシーンのトレンドを、この記事では『Men’s JOKER』の過去記事を参照しながら本日から4回にわたり、5年ごとにファッショントレンドを追ってみたいと思う。
解説してくれるのは、実際にメンズファッションの現場で長年活躍しているスタイリスト・金井尚也さん。創刊の2004年から休刊の2019年までの15年間のページから代表的なコーディネイトを選び、当時のトレンドについてコメントを加えた。
今回は2014年をピックアップ。当時のスタイリングとともに検証していきたい。
メンズファッション誌を中心に活躍する実力派スタイリスト。最先端のトレンドはもちろん、ヴィンテージなどにも精通。幅広い知識に裏打ちされたスタイリングに定評あり。
金井 「一番の変化は間違いなくビッグシルエットですね。2年前から徐々に広まってきたトレンドですが、今年も勢いが衰えている様子はありません。春夏の各ブランドの新作を見渡しても、ビッグシルエットのアイテムばかり。しばらくは続くと思います」
金井 「テイストは、こちらも2年前からトレンドになっているのですが、圧倒的に“ラグジュアリーストリート”調が推しです。スポーツとストリート、アウトドアの要素をメインにしたスタイリングは、2019年もメインになっていくと思います。アイテムをあげるとすれば、トラックパンツ、ラインパンツ、あとアウトドアブランドが提案している高機能素材だったり、ナイロン素材のセットアップには注目です。」
金井 「ストリートファッションが流行ってきたので、5年前と比べて、シューズトレンドにも変化が。一気にスニーカーブームが起きて、<ニューバランス>や<ナイキ>などから出ているハイテクスニーカーの流行を経て、定番化しました。キーワードとして浮かび上がるのは『‘90年代』というフレーズで『エアマックス』などがその代表でしょう。ガチャベルトなども世代を問わず人気で、ポイントとして使うとこなれた感じが演出できます」
金井 「コートの丈感も5年前とは変化。トレンチなどのロング丈が圧倒的なシェアを誇り、今年も継続中です。そして肩落ちしたオーバーサイズでゆったり着るのが“今っぽい”です。アクセをつけるなら、インディアンジュエリー、ターコイズアクセなど’60年代を思わせるアイテムをおすすめします」
金井 「最後に欠かせないのが、“アウトドア”テイストのムーブメントが3年前から起きており<ザ・ノース・フェイス>など、アウトドアブランドのアイテムが原宿であふれかえっています。もともと夏フェスの流行からファッション業界に流れてきたこのムーブメントですが、今や街中でもアウトドアで使われるようなハイスペックなアイテムを身に着けるのが当たり前になっています。機能性やデザイン性も各メーカーが競い合うようにグレードアップさせているので、今年からおしゃれを始める人は、必ずひとつは手に入れておいたほうがいいと思います」
4回にわたって、15年間を振り返ってみて、懐かしさもありつつ、若い読者の方にとっては目新しく新鮮な部分もあっただろう。シルエットで見るとボトムスがゆったりしたAラインから全体的に細身のIラインへ、そしてビッグシルエットのトップスを活かしたVラインに。シューズひとつを取っても、革靴やブーツからスニーカーへシフトするなど、15年間でも大きな変化を遂げている。これからも時代を捉え、移り変わるファッショントレンドに注目していきたい。