シド・ヴィシャスにデヴィッド・ボウイにマイケル・ジャクソンにと、今は亡きカリスマの名前を挙げていくとキリがありませんね。ただ、ファッションアイコンとして今でも多くのデザイナーに影響を与え続けているのは誰かといえば、それはカート・コバーンでしょう。「ロックは死んだ」かも知れませんが、ファッションのひとつのジャンルとしてグランジは生き続けています。今日は、そんなカート・コバーンが愛用していたスニーカーを紹介します。
<バタ>のホットショット8000円(イーライト☎︎03-6712-7034)
「何だよ、コレ?」と思った方も多いことでしょう。そうです、ジャックパーセルではないのです。1894年にトーマス・バタによってチェコで創業したブランド、<バタ>の「ホットショット」です。このモデルは、1972年にアメリカのスポーツメーカー<ウィルソン>との共同開発でアメリカ市場向けに生み出されました。ところが、売り上げが思わしくなくて早々に生産中止に‥‥。カート・コバーンはどこかに残っていたデッドストックを見つけて「これいいじゃん!」ってことで履いていたのでしょう。実際、このモデルを履いている彼の写真がたくさん残っています。
インソールにバスケットボールのグラフィックがプリントされているのを見ても分かるように、このモデルはバスケ用です。ソールのパターンを見ても納得ですね。
カート・コバーンが生きていたとしたら、今年で50歳になっているはずでした。「ホットショット」の復刻モデルを履きながら、「今、もし彼が生きていたら、どんな歌を聴かせてくれたのか?」というせつないクエスチョンに思いをよせてみてはいかがでしょう。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:NAOYA KANAI
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)