前回は、<アディダス>が1991年に打ち出した「エキップメントシリーズ」に属するランニングシューズが26年の時を経てアップデートを果たしたという話でした。今回は、2017年からスタートしている「アトリックシリーズ」のニューモデルについての話です。
<アディダス オリジナルス>のH.F/1.3プライムニット2万2000円(キックスラボ☎︎03-6455-4234)
「アトリックシリーズ」では、自由な都市冒険を可能にするために高次元のテクノロジーと革新的で洗練されたファッション性を融合させたモデルが披露されます。12月18日現在、<アディダス>のホーページを見ると16モデルがラインナップされていますが、最もインパクトのある見た目になっているのは、こちらの「H.F/1.3プライムニット」で間違いないでしょう。
もはやスニーカーというよりブーツですが、これはドイツの連邦警察に所属する特殊部隊、GSG-9(ジーエスジーナイン)が着用しているコンバットブーツから着想を得ているとのこと。アメリカやイギリスではなくてドイツの特殊部隊というあたりが<アディダス>らしくていいですね。ちなみに、1977年に起きたルフトハンザ航空181便ハイジャック事件でソマリアに着陸した機体に強行突入してわずか5分で犯人を制圧し、人質全員を無事に救出したのがGSG-9。世界にその名を知らしめました。原作・工藤かずや、作画・浦沢直樹による1980年代の漫画『パイナップルARMY』では、第5話「ブレイクスルー:突入」の回で起きたハイジャック事件で出動しています。
プライムニットアッパーが足を優しく包み込んで快適にサポートしてくれて、防水メンブレンライナーのおかげで雨が降っても慌てふためく必要なし。アクセントカラーのショックパープルが効いたヒールキャップはスウェード素材。鮮やかなスカーレットのプライムニットと目の覚めるようなコンビネーションを構成しています。シューレースは、暗闇で光を反射するリフレクティブ仕様です。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:NAOYA KANAI
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)