自分が2005年にインドを旅した際には、各地で靴を履いていない子供を数多く見ました。いろいろなことを考えましたが、日本に帰ってしまえば、また普段の生活に戻るだけでした。
2006年、アメリカ人のブレイク・マイコスキーはアルゼンチンのある村で現地の子供たちと出会い、彼らが自分の足を守るための靴を買えないという現実にショックを受けたそうです。そして、裸足で生活する子供たちを救いたいとの思いから<トムス>を立ち上げました。
<トムス>のレノックス1万6200円(トムス 原宿☎︎03-6427-9110)
<トムス>では1足の靴が購入されるたびに、靴を必要としている子供たちに新しい1足を贈る「One fo One®」という活動を続けています。世界70カ国以上の子供(18歳以下が対象)に、それぞれの環境や地形的条件に合ったデザインの靴を提供しているのです。
「レノックス」は、<トムス>の人気モデル。キャンバス地やスウェードレザーのバージョンもありますが、こちらはスムースレザー。ホワイトの他にブラックも展開中です。ヒールの側面にデコラティブなステッチを入れながら、正面にはエンボス加工でロゴをあしらっています。
<トムス>というブランドであることを示すものは、あくまでも控えめ。その潔さにも共感を覚えます。
今では、いろいろな理由からファッションに対して購買意欲が薄れてきている人も多いことでしょう。でも「オシャレをしたい」という気持ちの先に、世界を少しでも変える可能性が待ち受けているとしたら‥‥。世界を変えるというか、自分の外見と同時に内面を変える第1歩という意味合いでも行動に移してみる価値がありそうです。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:NAOYA KANAI
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)