EXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチが、4月3日に横浜高島屋で開催中の『第3回横浜高島屋日本酒まつり』を訪れ、久須美酒造 七代目社長の久須美賢和氏、日本酒専門ペアリングBAR「赤星とくまがい」の赤星慶太氏とともに、「日本酒の魅力とは」とのテーマでトークイベントを行った。
久須美酒造(新潟県長岡市)は、人気漫画『夏子の酒』のモデルとなった酒蔵。同作の大ファンだった赤星氏は、実際に久須美酒造を訪れて久須美氏と出会い、現在は自身が経営する「赤星とくまがい」にて様々なペアリング(料理と日本酒の組み合わせ)で久須美酒造の日本酒を提供しているとのこと。「赤星とくまがい」は、日本酒の魅力を世界に広める「酒サムライ」としても活動している橘ケンチが、日本酒に目覚めるきっかけとなった店で、橘ケンチ自身も赤星氏の勧めで久須美酒造を訪れたという。橘ケンチは、「蔵を訪れたら、想像の10倍くらいの日本酒の知識を教えていただき、赤星さんが『すごい人だよ』と言っていたのがよくわかった」と、当時の印象を振り返った。
イベントでは、久須美酒造と「赤星とくまがい」がコラボレーションしたイートインカウンターが設置され、「桜マスと新玉ねぎのマリネ グレープフルーツのソースで&大吟醸清泉」などのペアリングメニューを提供。いち早く試食したという橘ケンチが、「今回のペアリングは『赤星とくまがい』の王道というイメージ。桜マスと大吟醸のペアリングは、ファーストインパクトが鮮烈で、舌を活性化させる感じ」と感想を言うと、赤星氏は大きく頷き、「最近の橘さんの味覚は本当に鋭くて、コメントも的確」と笑顔を見せた。
日本酒の魅力について話が及ぶと、赤星氏は「もともとはワインを提供していたが、渡米してコリアンタウンで店を構えた時に、当時の政治情勢などの影響もあって、自分が日本人であるということに直面させられた。当初は英語も喋れなかったので、日本酒を通して人と対話をしてみようと思った。どうやって日本酒の魅力を伝えようかと考えた結果、ペアリングに行きつき、結果として多くの方が日本酒を美味しいと言ってくれるようになった。僕は日本酒の造り手ではないが、ペアリングのプロとしては、誰にも負けないつもりでやっている」と、日本酒が世界の人々との強力なコミュニケーションツールとなることをアピールした。
一方の久須美氏は、造り手の視点から「日本には大きく3つの特徴がある。ひとつは歴史が非常に長いということ。縄文後期、稲作文化が日本に入ってきてから5000年の歴史があり、日本人の知恵が凝縮されている。例えば日本酒造りに使う麹菌は、日本人が1000年かけて目に見えない微生物を家畜化して安全に使えるようにしたもの。もうひとつは、とてもエコな食品であること。原料が米で、精米後の米粉はせんべいなどの材料に、絞った後の酒粕は栄養的にも優れた伝統的な食品であり、一升瓶はリサイクルの最優等生。捨てるところがない。3つ目は、日本人の生活に密着しているということ。冠婚葬祭などでも、必ず日本酒は飲まれる」と解説し「日本酒は最も造るのが難しい酒であり、繊細で奥深い味わいが料理と一体となり、口の中で新たな旨味を作り出す”口中調味”は、日本独自の食文化として世界的に注目されている」と熱弁した。
橘ケンチは、そんな二人の話を受けて、「日本中に様々な蔵があって、それぞれが独自の哲学を打ち出して酒造りをしている。音楽業界でいうと、それぞれの蔵がアーティストのようなイメージ。しかも、日本酒は地域に根付いていて、その土地で作られた酒がその土地の飲食店に卸されて、シェフがその日本酒に合わせた料理を作る、という感じで、日本酒を軸としたネットワークが形成されている。そこに面白さを感じる。実際に日本中の蔵を回って、様々な人々が切磋琢磨して一緒に夢を追いかけている姿に感銘を受けた」と、改めて日本酒と日本酒に携わる人々への敬意を示した。
イベント終了後、橘ケンチに最近オススメのペアリングについて話を聞くと、「『赤星とくまがい』で出してもらったクリームチーズと『射美』のペアリングが衝撃的に美味しかった。チーズはクセのある日本酒にぴったり」と教えてくれた。
※『第3回横浜高島屋日本酒まつり』イベントは終了しております。