洒落た大人たちが住まう城には彼らの感性がそのまま息づいている。
そんなセンスが垣間見れるパーソナルな空間を公開。
部屋の内装やインテリアはもちろん、部屋から近所までのワンマイルウエアなど、こだわりの私的スタイルを紐解く。
部屋を彩るウッドを基調としたヴィンテージ家具の数々。時の経過による独自の味わいが空間に温もりを与える。
シーズンごとに物語を作り、登場する人物を通して、背景にある生き方や思想を〝衣〟に込める〈ファブリック バイ カズイ〉のデザイナー瀧澤さん。彼が根城とする空間は〝自由と共有〟がテーマ。家族みんなで自分のスペースを作り、みんなで育てる家。その特徴は水場以外の仕切りを設けないワンルーム設計にあるのだそう。「壁を作らず、すべて家具で仕切ることで、家族の成長やTPOに合わせてレイアウトを変えられるようにしました。自分の仕事も〝服〟という〝空間〟を作ることだと思っているので、その練習として、居心地の良さやワクワク感をレイアウトやDIYを通じながら、あれこれ思案しているような気もします」
空間を仕切る家具は主に友人が作った作品やヴィンテージなどをセレクト。基準は〝時間〟や〝緑〟を感じるモノだそうだ。その背景にはこの家に住む決め手となった理由に結びつく。
「この部屋を選んだ決め手は、日当りと窓から見える風景なんです。晴れるとキッチン、リビングから丹沢山系が一望できる。それに公園の目の前というロケーションも相まって、緑を通して四季を感じる事が出来るのもポイントです。築年数は36年と古い建物ですが、味わいがあって気に入っています。住み始めてまだ2年ぐらいしか経っていませんが、室内だけでなく、時と緑を感じさせる建物や立地を引っ括めた空間は、僕に心地良さをもたらしています」洋服作り同様に、空間の随所には瀧澤さんの〝思い〟が込められていた。
FURNITURE
食卓として使用中の1960年代の〈アーコール〉のドロップリーフテーブルとゴールドスミスチェア。
本棚には写真集や絵本や雑誌、CDなど家族の趣味を収納。
DIYのシューズラック。スニーカーや名古屋の「アーチ」でオーダーメイドした特注品が並ぶ。
MY INTEREST
〈アイオンオーディオ〉のレコードプレーヤー。レコード音源をPCに取り込む事が出来る優れもの。
映画鑑賞やスポーツ観戦用に設置したプロジェクター。夜の観戦が日課。
リサイクルセンターで見つけた〈マーティン〉のバックパッカー。旅先に持参しやすいサイズのギターだ。
ONE MILE WEAR
部屋で着用しているのは全て自身のブランド〈ファブリック バイ カズイ〉のもの。リラックス感を備えながらも、だらしなく見えない計算されたフォルムでスマートな出で立ちを演出。これぞワンマイルウエアのお手本。
ファブリック バイ カズイ
デザイナー
瀧澤日以 さん(37歳)
東京都町田市
2008年に〈ファブリック バイ カズイ〉を立ち上げ、2011年より本格始動。また、アーティストの衣装制作、アートイベントへの参加など、ジャンルレスなデザイン活動を展開。
Photo:HIROAKI KAWATA
Text:TAKUYA KUROSAWA