チョコレートと聞けば、甘ぁ~いスウィーツを思い浮かべる人がほとんどでしょう。
そんなイメージを覆す“大人の男の嗜好品”として楽しめる「Bean to Bar(ビーン トゥ バー)」なるチョコレートが今、注目を集めているんです。
コーヒーの世界にも通ずる、男心をくすぐる奥深さをもった新世代のチョコレートについてご紹介します!
“ビーン トゥ バー”とは、直訳すると「豆から板チョコまで」という意味。原料であるカカオ豆の仕入れ・選別から、焙煎・摩砕・形成といった板チョコ製品にしていく製造加工のすべてをひとつの工房内で行なう、新しいチョコレートの生産スタイルのことをいうのだ。
そのスタイルが、豆をブレンドせずに1杯ずつ煎れるこだわりのコーヒーとして数年前からブームが続く「サードウェーブコーヒー」にも通ずることから、ビーントゥバーは“サードウェーブチョコレート”と呼ばれることもあるという。
ビーン トゥ バーは、豆本来が持つ特徴がストレートにチョコレートの味に反映される。フルーティさや香ばしさなど、カカオ豆の個性を楽しむチョコレートなのだ。メーカーによっては、豆をブレンドしたり、ミルクやカカオバターを使用したりせずに、カカオ豆と砂糖のみで作られるものもある。
では、どのようにカカオ豆がチョコレートになっていくのだろうか? より深くビーン トゥ バーを楽しむべく、その製造工程を公開しよう!
1.収穫・発酵・乾燥
チョコレートの香りや味わいに大きな影響を与える発酵や乾燥は生産国で行なわれ、その生産国や生産者が記された麻袋ごと仕入れられる。
2.豆の個性や状態を確認
到着したカカオ豆は、まず麻袋から取り出して状態を確認する。この状態によっても、どのように調理していくのかが変わってくるという。
3.焙煎
カカオ豆を焙煎機でロースト。豆の原産地や個性、状態などに応じて調整する。温度や時間を変えるだけで味や香りがまったく違ったものになる。
4.粉砕
焙煎したカカオ豆を砕いて、表面の種皮を取り除く。最初は機械を使うが、最後はひとつひとつ手作業で行なう。残った中身がカカオニブと呼ばれるチョコレートの原材料だ。
5.摩砕
カカオニブを細かく挽いてすり潰す。ここで砕く粒の大きさが最終的なチョコレートの食感に大きな影響を及ぼす。
6.調合
カカオニブはカカオマスと呼ばれる液状になる。ここで唯一の副原料である砂糖を加えて最終的な味に仕上げる。
7.成形
テンパリングと呼ばれる調温工程を経て、溶けにくく艶のあるチョコレート生地に仕上げたら、モールドという板チョコ用の型に生地を流し込む。冷やして固まったら完成だ。
今回ご紹介したのは、ビーン トゥ バーをいち早く日本に紹介し、現在はシーンを牽引するショップである「ミニマル」での製造工程。
次回はそんなビーン トゥ バー チョコレート専門店「ミニマル」について詳しく紹介します!
Photo:YUTA KONO/Text:YASUYUKI OUCHI