2017.04.05 Wed UPDATE LIFE

話題の奥渋谷〜代々木上原へ! マジでいいパン屋さん発見の巻

渋谷の東急本店を左手に見ながら代々木八幡方面に歩いた神山町・富ヶ谷エリアが、昨今話題の「奥渋」。
そして富ヶ谷交差点から徒歩圏内の「代々木上原」。渋谷の喧騒から離れた場所を散策すると、価値あるショップに出会えます。

TOKYOカルチャーの発信源は渋谷のずっと奥の方。
奥渋→代々木上原「価値組な店」探訪

人とつながっていくために焼かれるパン [ルヴァン 富ヶ谷店]

 

 

 
代々木上原駅から井の頭通りに出て富ヶ谷の交差点近くまで下りていったところにあるのが、ルヴァン 富ヶ谷店。この地でパンを焼いて販売するようになったのは1989年からだが、そもそもの創業は1984年。調布で作ったパンを配達するところからスタートした。当時から変わらないのは、「パンは目的ではなく、いろいろな人とつながっていくための手段」という考え方。小麦をはじめとする材料は国産のものにこだわって、それらを生産している農家とは長いつきあいを続けている。

 
お店の裏には粉挽き小屋があり、殻付きの小麦を自家製粉するところからパン作りが始まる。挽きたての粉は香りが違うので、おいしいパンになるのだ。さらには、パンをふくらませるための酵母も自家製。発酵してパンになるまでに時間はかかるが、ゆっくりと生地が熟成されることによって味が濃く、深いものになっていく。あんぱんの中に入れるあんこは小豆を取り寄せて炊くところから作り、甘さを控えめにして素材そのものの味が分かるように心がけるなど、フィリング(具材)にもこだわる。その季節ならではの限定品も人気で春にはよもぎパンが登場するが、生地に練りこまれるよもぎは都心から離れたところでスタッフが摘んできたものであったりする。

 
これらのすべてが「パンは目的ではなく、いろいろな人とつながっていくための手段」という考え方に基づいている。とにかく手間を惜しむことなくパンを作ることで、お客さんと深くつながっていけるのだ。併設されたカフェ「ル・シァレ」では、焼きたてのパンとドリンクを楽しむことが可能。さらには、ルヴァンのパンを使ったオリジナルメニューを楽しむこともできる。

こちらのスペースがカフェ「ル・シァレ」。取材時には、芽キャベツと玉ネギのチーズトースト(スープ、サラダ付きで1000円。ドリンクセットは+250円)などのメニューが黒板に書かれていた。営業時間は火〜土10:00〜19:30(LO18:30)、日、祝10:00〜18:00(LO17:00)、月11:00〜16:00(LO15:00) ㊡第2火曜 
 

 

ルヴァン 富ヶ谷店では、大きく焼かれたパンを食べたい分だけ計り売りしてもらえる。いろいろと食べ比べてみるのもいい。
 

お店の看板商品であり、毎日、12時頃に焼きあがるのが「カンパーニュ317」。カンパーニュとは田舎パンという意味。昔のヨーロッパではパンを焼く窯が個人の家にはなくて、教会などの施設にみんなが集まって1週間に1度焼いていたりした。大きな塊で焼いて、1週間くらいかけてみんなで食べていたのだという。ルヴァンでは、その文化を受け継ぎ、「大きなパンを分けて食べたい」という思いから計り売りしている。カンパーニュ317の317は、オーナーの誕生日である3月17日から。洋食はもちろん、きんぴらごぼうなどの和食、さらには中華まで、どんな食事とも相性がいい。「毎日でも食べたくなる」と評判だ。
 

麦の皮ごと製粉したコンプレ(全粒粉/ぜんりゅうこ)100%で作られている「コンプレ100」。麦の風味が強く感じられて、酸味が強いところも特徴。噛めば噛むほど、全粒粉ならではの香りと旨味が口の中に広がる。「これがないと困る」というコアなファンも多い。1/4サイズ(200g前後)で、360円前後。
 

こちらは、パン用小麦の原種に近いスペルト小麦だけで作ったスペルト100。
 

パイ生地に玄米と野菜の混ぜご飯を敷き詰めてチーズを乗せた玄米キッシュ。300円。
 

全粒粉入りでバターは通常の半分というクロワッサン。220円。
 
 
ルヴァン 富ヶ谷店

 住東京都渋谷区富ヶ谷2-43-13
☎03-3468-9669 営8:00〜19:30(日祝〜18:00) ㊡月曜・第2火曜(祝日振替定休あり)

 
 
Photo:YUTA KONO
Illustration:KEITA UEMURA
Text:KIYOTO KUNIRYO

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