街でもアウトドアウエアの恩恵を受ける〝アーバンアウトドア〟のスタイルが市民権を得ている現在ですが、足元に関しては、まだまだの状況。「もっとアウトドア系のシューズに注目していきましょう!」という連載企画の第8回目、取り上げるブランドは、<サロモン>です。
<サロモン>が創業したのは、1947年。アルプス山脈に位置するフランスのアヌシーという町で、農家だったフランソワ・サロモンと妻のジェニー、息子のジョージによってノコギリとスキーエッジを生産する家内工業からスタートしました。最初は小さな町工場だったのが、1976年にスキーのビンディングメーカーとして世界一の生産数を記録し、1970年代後半からはスキーブーツの開発にも取り組み、1990年代に入るとスキー板の生産を開始しました。1997年からはスノーボードの板、ビンディング、ブーツも発売。現在ではウインタースポーツ界のトップブランドとして君臨しています。今年の平昌五輪でも何かと見かけましたし、とにかく冬のイメージが濃厚な<サロモン>ですが、実は1993年にはサマースポーツの分野に進出してハイキングシューズを発売しています。本日は、そんな夏版の<サロモン>からロングセラーモデルをピックアップします。
軽さ、 耐久性、防水透湿性で差をつけるイノヴェイト。春のアーバンアウトドア計画「機能性たっぷりのシューズ編」#7
リラックスした履き心地で、雨の日も頼りになる! 春のアーバンアウトドア計画「機能性たっぷりのシューズ編」#6
<サロモン>のXA プロ 3D GTX 1万7000円(サロモン/アメア スポーツ ジャパン☎︎03-6631-0837)
「XA プロ 3D GTX」は、山岳を駆け抜けるトレイルランニング用に開発されたモデル。タフな山道でも安定したライド感をもたらしてくれるのが、3Dアドバンスドシャーシ™です。アウトソールとミッドソールの間に<サロモン>独自の薄型構造の高機能シャーシを配置していて、モーションコントロールとエネルギーマネージメントを最大限に高めているとのこと。すなわち、優れた安定感と反発力を実現しているのです。プレミアム ウェットトラクション コンタグリップと名づけられたソールは、濡れた岩場でも高いグリップ力を誇ります。内側と外側でラグの硬さが違ったり、コンパウンドの配合率が変わったりという調整によって滑りにくいアウトソールが完成しています。ウェットなコンディションに強いのはソールだけではありません。アッパーにはゴアテックスのメンブレンが仕込まれていて防水性と透湿性を発揮します。モデル名の最後にある「GTX」は、ゴアテックスの略語です。
インソールは、オーソライト。軽くて、へたりにくくて、優れたクッション性があり、通気性も抜群で、高い抗菌・防臭効果までも持ち合わせていて、丸洗いができるという夢のようなインソールです。靴紐を締め上げるシステムには、<サロモン>が特許を取得しているクイックレース™を採用。レースを引くだけでベストなフィッティングを得ることが可能で、通常の靴のように結ぶ手間がいりません。また、シューレースを引き上げるとアッパーのパネル全体が足を包み込むようにホールドするセンシフィットというシステムも効いてくれます。
モデル名の冒頭にある「XA」は、「クロスアドベンチャー」を意味しています。これは、どんな路面にも、どんな天候にも対応できる頼もしさが凝縮されている言葉。もちろん、このクロスアドベンチャーの範囲に街を入れてもいいのです。そのあたりは、履く人の自由でしょう。実際、プロの登山ガイドが「XA プロ 3D GTX」の機能性に惚れ込んで、山行だけでなく普段の生活においても愛用したりしています。オールブラックのカラーリングだから普段のファッションに違和感なく溶け込みやすいですしね。
Photo:TAKEHIRO HAYAKAWA
Styling:YOHEI SHIBAYAMA
Text:KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)