2018.07.24 Tue UPDATE CULTURE

フジロック来日直前!ジャック・ジョンソンが語る、音楽と家族、サーフィンのこと。

いよいよ週末に迫った、フジロックフェスティバル。その最終日にグリーン・ステージを飾るのが、ジャック・ジョンソンだ。アコースティックのソフトで風通しの良いサウンドをベースに、サーフィンを通じて感じた「人と自然」のつながりの深さや大切さを伝える音で人気に。21世紀「サーフ・ミュージック」の象徴的存在となった彼。間もなくミュージシャンとして本格始動し20年を迎えるジャックが今感じることは?

 

その時置かれている状況を、正直に音楽にしている

 

──自身初のベスト盤『ザ・エッセンシャルズ』がリリース。このアルバムに込めた思いを教えて。

このベストを制作するにあたって、ボクは何人もの人に協力してもらったんだ。自ら代表曲を選ぶのは難しいからね。そもそも必聴と呼べる曲があるのか、自分ではわからなかった。こんなレコードを求められるだけでも光栄なことだったんだ。だから、収録曲は友人たちに手伝ってもらいながら決めたんだよ。

──収録曲には、「バブル・トーズ」や「バナナ・パンケーキ」などの心温まるラヴ・ソングがあるけど、家族と過ごしてきたことで「愛」に対する心境の変化があった?
今まで色んなタイプのラヴ・ソングを書いてきたね。初期の作品では初々しい愛が歌われている。後に僕の妻、そして人生の伴侶となる女性との出会いを歌ったものが多かった。子どもが生まれると、より長い付き合いの中で芽生える恋愛感情や、子どもを育てていく中で生まれる絆について曲を作るようになった。人生の中で自分がそのとき置かれている状況を率直に受け止め、曲作りにそれを正直に反映しているから共感を得られるのだと思う。

──ベスト盤の収録曲で特に思い入れがある楽曲は?

強いて選ぶとしたら、「ベター・トゥゲザー」(ライヴヴァージョンhttps://youtu.be/seZMOTGCDag)かな。アコースティックギターを手に数名の友人とバーベキューを囲んでいても、大勢の観衆を前にしたステージでも、あの曲はどんな環境でもしっくりと感情を表現できて心地が良いんだ。長い間、広く共感を呼んでいる曲なので幸せに思う。だからあの曲が1番好きかな。

 

サーフィンが「競技」となることに、複雑な思いもある

 

──最近はサーフ・ムービー『The Smog of the Sea』(映画トレイラーhttps://youtu.be/jXURG3meS-Q)を製作したけど、これはどういうきっかけで作ろうと思った?

この映画には、尊敬する人が大勢関わっているので、制作に参加できて光栄だ。活動内容に強く共感している5ジャイアズというNPO、そして映画製作者で今回は監督を務めたイアン・チェイニーらのことだ。監督のドキュメンタリーは昔からどれも大好きだった。だから、両者とこのドキュメンタリー制作に関われたことを誇りに思う。それに、僕が愛する海をテーマにした作品だからね。

──ところで。サーフィンが2020年の東京五輪から正式種目になりました。そこで見たいサーファーは?もしも今もプロサーファーだったら、オリンピックに出たかった?

東京五輪では、成長を見守ってきた友人、ジョン・ジョン・フローレンス(https://www.instagram.com/john_john_florence)の出場に期待しているよ。彼が勝つと思うし、そう願っている。彼は今、世界で最も素晴らしいサーファーだよ。ただ、競技としてのサーフィンには複雑な思いもある。僕にとってサーフィンは競技というより、森の中の散歩やハイキングのように、ただ自然の中に身を置くことなんだ。そうは言っても、僕はサーフィンを愛し、その様々なスタイルを見て育ったので、競技を通してサーファーがお互いを高め合っていくのを見るのも楽しいよ。だから東京五輪は楽しみだ。

 

日本の文化に強い影響を受けてきた

 

──いよいよフジロックが迫ってきました、どんなステージになる予定?

日本に来るのは大好きだ。音楽だけでなく、休みの日に様々なことをして日本の文化を体験できるので、家族と過ごすにはとても良い所だと思う。ボクはハワイで育ち、日本の文化に強く影響を受けてきたから、日本に来るのは好きなんだ。フジロックは楽しみだけれど、どんなステージになるかはわからないね。いつも当日になるまでは、何をするかはっきり決めていないんだ。一日中、その場の空気に浸ってから、どんな曲をやろうかと考えることが多いね。公演の当日に聞いてくれれば、どんなステージになるのか、もっと具体的に答えられるよ。

──最後に。日本のファンへメッセージを。

日本のファンの皆さん、長年にわたり、来日のたびに応援してくれてありがとう。日本はボクらにとって、ツアー先として大好きな国なんだ。今後も来たいと思うね。また会いましょう。アロハ。

 

 

ALBUM『ザ・エッセンシャルズ』
ジャック・ジョンソン

ユニバーサル 発売中 2500円

フジロック来日にあわせリリースされた、日本限定のベスト盤。シングル曲はもちろん、ライヴの鉄板ナンバーや、2006年公開映画『おさるのジョージ/キュリアス・ジョージ』のオリジナル・サウンドトラックなども収録。20年のキャリアがまるわかりの内容。また、最新アルバム収録の「ビッグ・サー」のマイク・Dリミックスも特別収録。

 

ジャックは7月29日出演!フジロックフェスティバル’18

http://www.fujirockfestival.com/

チケットは残りわずか!

PROFILE
1975年ハワイ・オアフ島ノースショア生まれ、在住。幼い頃からサーフィンに親しみ、ギターも弾くようになる。高校生になると世界最高峰のサーフィン大会『パイプライン・マスターズ』に出場。プロ契約を果たすも、大怪我をしてしまいリタイヤ。その後映像製作の勉強のためにLAの大学へ進学、99年にサーフ・ムービー『シッカー・ザン・ウォーター』を完成させる。そのサウンドトラックとして制作した楽曲が話題になり、ミュージシャンとしてのキャリアがスタート。01年にデビュー盤『ブラッシュファイアー・フェアリーテイルズ』をリリースし、口コミで世界的ヒットを記録する。以降「サーフ・ミュージック」を代表する存在になった。現在は3児の父親でもある。

Text:TAKAHISA MATSUNAGA

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