大地があると横になりたくなるのはきっと本能だ。
草と土のニオイを胸いっぱい吸い込みながら地球と同化できる幸せ。
多くの人がその幸せすら忘れこのコンクリートジャングルで忙しなく生きている。
たまには何もかも忘れて太陽のもと寝転がってみようじゃないか。

だがしかし

草っぱらがあっても自由に寝そべることすら許されない世の中でもある。
世間の目というやつだ。

例えば

40代の男が平日から草の上で寝そべる行為はどうやら「アウト」らしい。
世間の目は気を付けないといけない。
ただでさえ、先日取材を受けた時に家に来る記者が道に迷い近所の奥さんに「エンドケイプという男性の家を知ってるか？」と訊ねたという。
知ってる訳がなかろうに。

奥さん「外国人ですか？」

記者「いえ日本人です」

奥さん「え？」

記者「え？」

こんなやりとりが続いたそうだ。
引っ越してきたばかりなのにおかげで変な人がいる家として一部で知られてしまっている。
これ以上ご近所に不信感を与えてはならないのである。

そこで考えた。
気付かれなければ「セーフ」じゃないかと。

という訳で大地に溶け込む。
じっとしていれば鳥ですらとまる。
猫ですら踏んでゆく。
近所の奥さんも気付かない。

こうして地球そのものを感じて過ごす1日も悪くない。
うん、
悪くない。