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2016.04.01 Fri UPDATE CULTURE REGULAR

出汁をでじると読む人生
第三十二回【邦題でキメる人生】

出汁をでじると読む人生<br>第三十二回【邦題でキメる人生】

1960年代の解剖模型「乳牛の秘密」である。透明ボディで骨格と臓器が見える標本プラモである。
兎にも角にもこの素晴らしいタイトル!! ニッチプラモコレクションの中でもお気に入りのひとつだ。
なにせ「乳牛の秘密」である。こんなにもミステリアスで心をえぐる題名そうは思いつかない。
これ、もともとアメリカのレンウォール社の模型である。
そのオリジナルのタイトルは「THE VISIBLE COW」という直接的で実につまらんタイトルだ。
やはり邦題にはセンスがある。一周廻ってセンスがある。
映画「バタリアン」がもしも原題の「The Return of the Living Dead」だったら流行らなかったはずだ。
当然オバタリアンという連鎖ブームも起きなかった。
「ベイマックス」の原題は「Big Hero 6」だ、つまらん。
「遊星からの物体X」は「The Thing」だ、つまらん。
「カールじいさんの空飛ぶ家」なんて「Up」だ。「Up」だぞ!?
そんなストレートなタイトルを日本は好まない。

 

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同シリーズの「平和をよぶ鳩」も最高だ。
原題「THE VISIBLE Pigeon」をそのまま差し替えたら「解剖鳩模型」のような堅苦しいタイトルになっていたはずだ。
一体どうしたら内臓から頭蓋骨まで丸見えの鳩が「平和をよぶ鳩」になるのだろうか。
その邦題センスに拍手喝采、ボックスアートのフォント含めて100点満点だ。

 

 

PROFILE
エンドケイプ
作詞家・クリエイター・バナナーティスト
Twitter https://twitter.com/endcape
Blog http://lineblog.me/endcape/
室外機マニア http://sonzai.net/

 

 

図2

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