2017.07.10 Mon UPDATE CULTURE

「窪塚洋介×降谷建志」対談インタビュー①
意外すぎる!2人の初対面【動画あり】

ともに’90年代後半にデビューし、走り続けてきた窪塚洋介と降谷建志というふたりのカリスマが、20年の時を越え今、同じステージに立つ。
しかも往年のバディものを彷彿とさせる映画『アリーキャット』での共演。
誌面では語り尽くせなかったふたりの熱い思いを、「カバーインタビュー完全版」としてウェブで公開!
全3回、計6000文字に及ぶ超ロングインタビューをご堪能あれ。

 

 

――野良猫(alley cat)のように街の片隅でひっそりと生きる男たち(窪塚、降谷)が、ストーカーや闇社会からシングルマザーのヒロイン(市川由衣)を守るべく奮闘する『アリーキャット』。かつて夢中で観た’80~’90年代のバディ映画を彷彿とさせ、ワクワクしました。おふたりは最初、本作の世界観をどう捉えたのでしょう?

窪塚「おっしゃる通り、どこか“昭和の匂い”がすると思いましたね。設定ひとつ取っても、主人公の職業が〈元プロボクサーの警備員〉だったり。〈整備工〉だったり。住んでいる場所も〈線路脇のアパート〉だったり。昔の映画ではよく見受けられた、そういう生活感とか土着感も含めて。加えてバディもので、ロードムービーでサスペンス要素もある。これを建志くんとやったらおもしろくなるだろうなという予感がしました。結構、前のめりで台本を読みました」

降谷「男同士のバディではないですけど、(演じる)マルとリリィは(クエンティン・)タランティーノの『トゥルーロマンス』(’93年)のようなふたりなのかなと。やっていること自体も自分たちはロマンチックだと思っているけど、決してそうじゃない。逃げる方も追う方も正当じゃないし、合っていることはひとつもないんだけど、自分たちの信じる正義とかロマンに従って行動している。算盤勘定していないヤツらが勢ぞろいしているところなんかも、その時代(’90年代)の映画っぽいなと」

――あと国産の旧車を中心に据えたモノクロのポスターがめちゃくちゃカッコイイ。先の『トゥルーロマンス』しかり、名だたるバディものはポスターも秀逸です。

窪塚「ポスターにはもうひとつ案があって。俺らは(マル&リリィが)線路脇に座っているのと迷ったんですよ」

降谷「俺らは線路脇の方が好きだったよね? 結果、この車を舞台に、というシーンが多いからこのポスターの写真でよかったけど」

窪塚「何だかんだインパクトもあるし。建志くん自身の車もオールドスクールだから、しっくりきてた。現場でちょっと場所移動する時に乗せてもらっていたんですけど」

――差し支えなければ、何に乗られているんですか?

降谷「ポルシェです。もともとは964なんですけど、ガーニッシュ(装飾)とかバンパーとか全部930のものに作り替えて。世界に一台しかないティプトロニックの930みたいな。そういう仕様になっています」

窪塚「ティプトロニックって…何?」

降谷「セミオートマって言うんだけど、まあ要はオートマだね。オートマの930がなかったから、964をベースに930の見た目に作り替えた」

窪塚「ふ~ん(感心)。すごいね~」

――映画に出てくるグロリアをはじめ、美術・小道具・衣装も抜かりなく、それらを見るだけでも楽しいと思います。

窪塚「そのへんの作り込みからも空気が伝わりますよね。何度も観直して、いろんな発見をしてほしいです」

降谷「そうだね」

――そもそもおふたりの出会いは?

窪塚「建志くんとは、オファーをいただく1、2週間前に、たまたま知人の結婚式で出会って」

降谷「その時が初対面で。だから(オファーがきた時は)“まさか”と思いました」

窪塚「そこからして神懸かっているなと。撮影も2週間とタイトな短距離走だった中、かなり神懸かってたしね?」

降谷「雪のシーズンで、俺のクランクインから大雪で電車が止まり、撮影が中止になって。初日にして予備日を使い果たしたのに、何とか撮り終えたのはホント、奇跡としか」

窪塚「建志くんとも『これ3週間だったら死んでたかもね?』って言っていたくらい密度の濃いロードだったんで。体力的にも、集中力という意味でも研ぎ澄ましてやっていたから、時間、天候、いろんな制約やトラブルもあった中、撮り終えることができて本当によかった」

――そのぶん、何とも言えない疾走感が出ていました。

窪塚「うん。後半に向かってガーッと盛り上がるあたりは、その集中力の賜物だと思うし」

降谷「ライブでもダラダラやればいいってもんじゃないからね」

窪塚「俺なんか出番、6分とかザラにあるから(笑)。ホント、短距離走も短距離走で」

降谷「6分でワンバース(序奏部分)ずつ、2、3曲とか。その持ち時間でどれだけ放り込めるか? みたいな」

窪塚「そうそう。“ガッついてるな~俺”とか思いながら(笑)」

――しかも、卍LINEは曲間の語りも売りだから。

窪塚「そうなんスよ。6分で曲やってトークもやんなきゃなんないから、もう大変(笑)。だから“その一瞬に懸ける”みたいな」

――歌の話が出ましたが、本作での出会いをきっかけに、5月に発売された卍LINEの6枚目となるアルバム『真説~卍忍法帖~福流縁』ではKjこと降谷さんとの胸アツな競演が実現しました。

窪塚「『Soul Ship』っていう曲なんですけど」

――東京湾を行く船上で撮られたMVもすでに公開。その時の衣装と今日の(グラビアでの)衣装で、おふたりともカラーリングが同じなんですが(卍LINEは黄×赤、Kjは青×水色)、テーマカラー的なものだったりするんですか?

窪塚「(気付いて…)あ、ホントだ。でも、まったく意識してないですね」

降谷「偶然。『今日、何着てく?』とかないです」

窪塚「(笑)、もはや自然と合っちゃうんでしょうね」

 

『アリーキャット』

(C)2017「アリーキャット」製作委員会

監督:榊 英雄
出演:窪塚洋介、降谷建志、市川由衣、品川 祐ほか。
7月15日[土]より、テアトル新宿ほか全国ロードショー

Interview&Text:TATSUNORI HASHIMOTO
Photo:TAKASHI HIRANO

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