2017.07.12 Wed UPDATE CULTURE

「窪塚洋介×降谷建志」対談インタビュー②
卍LINEとして、Kjとして【動画あり】

ともに’90年代後半にデビューし、走り続けてきた窪塚洋介と降谷建志というふたりのカリスマが、20年の時を越え今、同じステージに立つ。
しかも往年のバディものを彷彿とさせる映画『アリーキャット』での共演。
誌面では語り尽くせなかったふたりの熱い思いを、「カバーインタビュー完全版」としてウェブで公開!
全3回、計6000文字に及ぶ超ロングインタビューをご堪能あれ。

 

 

――結婚式での出会いからすぐに意気投合された?

降谷「そうですね。俺からすれば“あっ、テレビでよく見る人だ。ウィ~ス、握手!”みたいな感じもあったけど(笑)」

窪塚「(笑)。お互い様だよ、それは」

――大丈夫でした? おふたりとも実は人見知りするタイプなのかな、と勝手ながら。

窪塚「大丈夫でしたよ~。ちゃんと挨拶もしましたし(笑)」

――大人ですからね。

窪塚「まあ、言っても“コドナ”なんですけど、ふたりとも。大人になる気もない。かと言って子供でいるつもりもない、みたいな。そんなふたりが初めて出会い、初めて仕事をしたのが『アリーキャット』で。建志くんなんか、そのコドナの代表選手だから(笑)」

降谷「まあね」

窪塚「まるで猫のようなリリィにピッタリだと思った」

降谷「どっちも(大人としても子供としても)ギリッギリのところに立ってる(笑)」

――野良猫のように自由で、気ままで、タフ。社会の底辺で生きながらも、横暴なヤツらには一矢を報いたい。骨物な魂を、決して熱くはない表情の裏に隠し持っている。本作のマルとリリィも、ある種“コドナ”ですよね。

窪塚「もしかしたら“キャラクター的には(配役が)逆なのかな?”と感じる人もいると思いますが、あえて別の方をやった時に出てくる色とか味があったと思うんですよ。俺だけの話をさせてもらうと」

降谷「今では、マル=窪塚洋介、リリィ=降谷建志でしかあり得ないけどね」

窪塚「仮に俺がリリィをやっていたらどこか想定内になっちゃってただろうなと。建志くんのマルは想定外だから見てみたかったけど、久しぶりの主演映画で、しかも建志くんとバディものをやれるとなった時に俺がチョイスさせてもらうんだったら、やはりマルだった」

――そんなふたりをはじめ、人生につまずいた人間の再生が描かれる物語。

窪塚「普遍的なテーマを描いてる。再生からネクストステージへ…という。そう思うと建志くんと一緒にやった『Soul Ship』って曲に流れるテーマも、それに近いものがあるんで、映画を観ながらこの曲を脳内再生していただくと、すごいハマり方をするんじゃないかなと思います」

降谷「残念ながらタイミング的にそれ(挿入歌)は叶わなかったけど」

窪塚「『アリーキャット』と『Soul Ship』は、どこか平行宇宙で繋がっているというか。同じテーマを描いているから、機会があれば、映画を観て、曲も聴いてほしいです」

――おふたりはパーソナルな部分も似ているんでしょうか?

窪塚「そうですね。大部分はシェアできていると思うし」

降谷「それはきっと、出会う前からずっと」

――窪塚さんが俳優デビュー21年目、Dragon Ashが今年20周年。同じ世界で、同じ時代を生き抜いてきたふたりだからこそわかる部分も多いのかと。

降谷「例えば、こうしたカバー(表紙)でも同じような種類の雑誌に載ることが多かったり、役者とバンドマンというカテゴリーの違いはありながらも、ずっと同じようなフィールドにはいたのかなと思いますね。お互い同じ時代に、別々な場所で闘ってきた人という認識はあったので、初対面でもスッと握手できた」

窪塚「うん。確かに。混沌とした’90~’00年代をサヴァイブしてきた者同士」

降谷「マル(窪塚)は後に続く役者はもちろん、あらゆるカルチャーに多大な影響を与えたひとりだと思うからずっと意識はしていたし、リスペクトしていた。いつか一緒に仕事をしてみたかったし」

窪塚「その言葉、そのまま建志くんにもお返ししたい。俺も共演できると聞いた時はホント、うれしかった」

――今、世の中では’90年代カルチャーがフィーチャーされていますが、その時代のおふたりは? 本誌はファッション誌なので、例えばファッションとか。

窪塚「俺はある時期から“もらいモノ生活者”なんですよ(笑)。雑誌とかの取材でも自前なんですけど、ほとんど友達とか知り合いで洋服作っている人からいただいていて。やっぱり作っている人の顔が見える、ライフスタイルを知っている人が作る洋服が着たいというのはありますしね。“じゃあ買えよ!”って話だけど(笑)」

降谷「俺もそうかな。マルより、さらに排他的なところで生きていると思うから。大体、同じようなバンド…客を呼べる、いいバンドとやってるし。何百人クラスの小さなハコでも何万人収容のハコでも。それと同じで洋服も大親友と呼べるヤツのブランドか、ガキのころからお世話になっている人のブランドか」

窪塚「だから新しいブランドに出会うとかいうのは、ここ20年、あんまりないんですよね。ただ、『Soul Ship』の中で俺が〈行こうKj〉って言ったら建志くんが〈次のステージへ〉と歌っているんですけど、俺の中で21年目…例えば映画『SILENCE~沈黙~』しかり、個人事務所の立ち上げしかり。次なるフェーズに向かって――という思いが強くあって。実は卍LINEという名前も変えようと思っているんです」

降谷「えっ!? そうなの?」

窪塚「卍LINEは11年目とか、いろんな理由があるんだけど、まあ…わかりやすく言うと出世魚みたいな感じで。“そろそろハマチになります!”的な(笑)」

降谷「(笑)、やっと少し脂乗りました、的な?」

窪塚「そう。で、最終的にブリになれればいいなと。え~、11年周期だとしたら…2028年くらいにもう一度、名前を変えて。でも〈バラと呼んでいる花を別な名前にしても美しい香りはそのまま〉って『GO』にあった言葉じゃないですけど、俺は俺だからってところで」

降谷「なるほどね~」

窪塚「そういう節目の年の、この『アリーキャット』、建志くんとの出会いはある意味、神の采配だと思ったし。今まですごく近しい場所で活動しながらも会えなかったのは、わざと20年じらされていたとしか思えない」

降谷「それが20年経ち、初めて会って握手して」

窪塚「すぐに仕事の話が“降って”きて。一緒に曲作り。すごいエモーショナルな時間を過ごした。だから今、ただならぬ転換期にあるんじゃないかなと」

 

『アリーキャット』

(C)2017「アリーキャット」製作委員会

監督:榊 英雄
出演:窪塚洋介、降谷建志、市川由衣、品川 祐ほか。
7月15日[土]より、テアトル新宿ほか全国ロードショー

Interview&Text:TATSUNORI HASHIMOTO
Photo:TAKASHI HIRANO

 

 

 

第1回の記事はコチラ>>>

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