2017.11.14 Tue UPDATE CULTURE

すべての曲がORANGE RANGEらしくなっていく、その訳は? NAOTOとYAMATOに直撃インタビュー!!

11/1 NEW EP『UNITY』をリリースしたORANGE RANGEのNAOTOとYAMATOに直撃!!


 
高音、中音、低音の3ヴォーカル。振り幅の広い楽曲etc. そう、ORANGE RANGEの魅力はつきやまない!! NEW EP『UNITY』、それぞれが活動する別ユニットでもNEWアルバムをリリースしたギターのNAOTOとヴォーカルのYAMATOに
それぞれの楽曲の魅力を語ってもらった。インタビュー第1回は、ORANGE RANGE NEW EP 『UNITY』に関して濃いお話を!
 
 

3人が歌うから、僕らはどんなことでもできるんです

--NEW EPの収録曲は全曲異なるテイストで、 この振り幅の広さに、「お帰り!!」 と叫んだ人も多いはず。

NAOTO 説明しますと、4曲までが僕で、5曲めはベースのYOH。歌詞は、ヴォーカルの3人が担当しました。

--楽曲作りの引き出しが非常に多くて、すごいなと感銘を受けました。

NAOTO 普通のアルバムの時も結構こういうバラエティ豊かな感じなんです。今回は5曲入りでも普段のバラエティ感をそのまましっかり出したかったので。

--前作『TEN』も、バラエティ豊かでしたね。

NAOTO そうですね。

--さらに今回は、UNITY=結束という言葉がテーマとなっていますが、その言葉を選んだ理由は?

NAOTO 実は、このUNITYっていう言葉は、すごく柄じゃなくて…。僕らわりとおちゃらけたキャラクターなので、ちょっとこう熱い思いは付けづらいし、避けてきたところではあるんですけど。15周年を経て、ツアーも成功して、16年目にまた新たな気持ちというか、あらたまって、なんというか、結束し直す……。みたいな感じです。

--もう一度原点に帰ろう的な。

NAOTO このタイミングでしか付けられない。普段だったら、こっ恥ずかしいっていうか。15周年終わったというような、理由がないと付けられないかなあと思って。

--メジャーデビュー当時は、あえてアイドル路線ということを、狙いでやっていたわけじゃないですか。

NAOTO 当初はそうですね。

--今回のEP『UNITY』でも、ここ最近の活動を見られても、今は自由にやり切れていますよね。

YAMATO そうですね。自由だと思いますし、もっともっと貪欲になってきたのかなと思います。

--どのあたりが貪欲に?

YAMATO ライヴ本数を増やしていたりとか、コンセプトツアーを行ったり。で、今年は自分たちの自主企画イベントを闘牛場でやってみたり。貪欲にいろんなことに挑戦していこうみたいな感じは出てきているかなと思います。

--歌詞作りの面でもそういうところはあります?
 

 
YAMATO もしかしたら、みんなが知っているORANGE RANGEは、意味の分からない歌詞を書いて、『何言ってんだあ。ばかだなハハハー』ぐらいの感じだったのかもと…。それは僕らが言葉の響きを重視してきたからで。以前は、歌詞に意味を持たせること自体意味がないという考え方だったので。そもそもそんな楽しみ方をしてたんですけど。年を重ねて、表現方法も少しずつ変わってきて。もちろん、今でも響きを大切にする面は残っていますが、意味合いも大切に、ストーリーを大切にっていう面が年々濃くなってきているのかも。

--1曲めの『アオイトリ』は、まさにそのストーリー重視なんじゃないのかなと感じました。

YAMATO そうですね。これは、ヴォーカルのHIROKIがほとんど書いたんですよ。映画『ありえなさ過ぎる女 〜被告人よしえ〜』のタイアップで。その台本を読んでからの、思った気持ちと言いますか。

--先に映画があって。台本を読んで、そこから曲を作られた。

YAMATO そうです。

--3拍→4拍→8拍とテンポが変化していく。ここにもストーリーを感じさせますよね。

NAOTO 映画の台本の段階から読んだんですけど、もうすごくて、展開が。

--なるほど。

NAOTO 映画自体が、ほんっとにスゴいことになるんだなと。こんなことになるんだ、とスリリングで結構攻めてる映画だなあって。曲もそれぐらいやったほうがリンクするのではと思ったんです。

--攻めているという点も、自分たちの今のスタンスとも一致していると。本当に共感して作られたんですね。そして4曲目の『Second Hand』は、低音、高音、中音という3ヴォーカルが際立つORANGE RANGEならではの楽曲です。3人のヴォーカルを持っているっていうのは、すごい財産だと思うのです。

NAOTO きれいに重なっていますよね。かなりの武器ですよ。個性あふれる3人が揃っているってことは。声を重ねることを考えるのも、ソロパートの構成を練っていくのもおもしろい。だから、いいよね。

--ヴォーカル隊としては、プレッシャーはないですか

NAOTO いや、全然、プレッシャーないよな。なっ、別に、そんな感じしないよな?

YAMATO ないですね。ただ、なんか独特ですよね。たぶん何を歌っても、振り切っても、全然違う対極にあるような曲を歌っても必ずORANGE RANGEになる気がしています。

--そこもすごく伺いたくて。もしかすると、ORANGE RANGEのアルバムって、最初にヴォーカルなしで、インストルメンタルで聴いたら、楽曲ごとの振り幅が広いので、ひと組のアーティストのアルバムに思えないかも、オムニバス? って。だけど、3人のヴォーカルが乗ると、「やっぱり、あ、ORANGE RANGEだ」って分かることがあるのかもと。そこも魅力なんですよね。それがあるから、逆に、NAOTOさんも振り幅、振り切れるんじゃないのかなと想像してしまうのです。
 

 
NAOTO だから、よく言ってるよね。3人が歌うから僕は何でもできるって。「大丈夫でしょ、3人が歌えば」みたいな。だから、曲作りに関して決めつけはしないんです。何はダメ、これはダメとかは。

YAMATO 制作に関しては、もう本当に信頼しています。ほかにはないものをNAOTOとYOHが作ってくるので。で、ライブでも、むしろもっとヴォーカル頑張れよって投げかけてくるので、ヴォーカル隊も応えなくてはと。もう、なんも言うことはないですね、いい意味で。

--歌詞から先に作るパターンはないのですか。

NAOTO ほとんどないですよ。

YAMATO ほとんどないです。

NAOTO ほとんどっていうか、ないかもしれない。

--ミキシングまでした状態で渡す?

NAOTO そうですね。もうほぼ完成型で。

--ヴォーカル帯から、ここアレンジしてよというやりとりは?

YAMATO いや、ないんですよね。もうその感覚でずーっとやってきているので。

--もうデビュー当時から。その前の友達同士でバンドを組んでいた状況の頃から、そのやり方で。

YAMATO そうですね。特に、ガーガー言わないもんね。

NAOTO そうですね。

YAMATO (笑)任せているっていうか。

--今回の制作過程でのエピソードは?

YAMATO NAOTOの家によく行くようになりました。

NAOTO 確かに、うちによく来た。そして、お菓子食べてるよね。

YAMATO お菓子食べながらやってるね(笑)。NAOTOは1日1曲ぐらいのペースなんです。YOHの場合は、1曲に時間をかけるんです。「もう一回、もう一回、もう一回」と。それはそれでやっていておもしろいなって思いますけど。ふたりとも極端過ぎますね。

--制作過程を含めて、ふたつの頭脳がどうやってくるか。

YAMATO 楽しんでやっています。

--逆手にそれを利用して、別のやり方をしてみるのは?

NAOTO いやいや(笑)。それはそれで、大変。何やってもみんなうまく乗ってくれるから、本当に「駄目だ、俺」っていうこともない、言われたこともないです。みんな、「OK」って、わりとヒョイヒョイ乗って、ハマるんです。だからめったなことがない限り、「やっぱりこれ、こうして」とは言わないです。

--振り出しに戻ることはほぼない?

NAOTO うん、ほぼないし。「ここの語尾だけ少し変えて」とか、「その接続の部分だけ気持ち変えて」ぐらいはありますけど。

YAMATO そう、めったにない。

NAOTO 本当に、「が」を「は」にとかくらい。

YAMATO そうそう。

NAOTO なんかそういう(笑)。

YAMATO 本当に最後の最後に、たとえば、息継ぎがもうちょいほしいとかは注文するんですけど、ほかはほとんど自由に。

NAOTO このサビをYAMATOにお願いするから「2、3パターン、作ってきて」みたいに。あとは、選ぶか混ぜるかです。

--骨組は変わらない。

NAOTO 大きな印象は変えない。本当に細かく、微調整ですね。録り終わったあとは。

--ライヴ音源からの制作は?

NAOTO あ、ライヴからは、まだ自信がない(笑)。

YAMATO (笑)

NAOTO やったことないですから(笑)。まだ想像がつかない。

--録ってから、いろいろと変えていくっていう実験的なものを。

NAOTO そうですね。ライヴは、事前に練習したり、リハーサルもするから、できているのかなぁっていう感じですね。そこから曲を録るってなると、まだ自信がない…。

--3曲めの『脳内ポップコーン』。この曲はキャッチーでポップなナンバー。ORANGE RANGEらしい。バンドのルーツ的なしずる感が凝縮されているなって。

NAOTO シンセの使い方ですかね?

--そうです、そうです。やっぱり少年時代とかに聴いていたルーツ的な音楽からの影響ってありますよね。

NAOTO やっぱりシンセサイザー好きなので。’80年代とか。YAMATOも好きだよね、ああいうのね。

YAMATO うん、好きですね。

--おふたりの音楽のルーツは?
 

 
NAOTO 僕はもう、バリバリ、電グルです。今も昔も。

--リアルタイムだったんですよね。

NAOTO リアルです、はい。小学生の時に、『なるほど!ザ・ワールド』でエンディングテーマになってまして、そこから好きで。

--衝撃を受けたんですね。

NAOTO そうですね。CD買いたい! って。

--自由な感じがします。音楽って自由なんだって。

NAOTO たとえば、当時、ラップなんて知らなかったから、「な、何? なん、これこれ、これ、ど、ど、何や、何これ」みたいな、分かります?

--はい、分かります。衝撃、伝わります。

NAOTO 当時ね、大衝撃ですよ。子供ながらに。あれ、何? 絶対、ちょっとほかと違うなっていう。音もね、一般的に流れていたテレビ番組中の音と違うなって。

--そうそうそう。これ楽器の音なんですか? みたいな。

NAOTO そうそう、そうそう。だからスゴくて。

--そこにルーツがある。

NAOTO はい。『Happy Birthday』とかスゴい!

--YAMATOさんは?
 

 
YAMATO 今、パーッと思ったのは…。今でも保育園とか幼稚園の頃に聴いていた曲が歌えるんです。本当に音楽が、その頃から好きだったから今でも歌詞がパッと出てくるし、メロも出てくるし、なんかそういった小さい頃に聴いていた音楽が、僕のルーツなのかなあって。その頃テレビとかで流れている曲だったり、CMだったり。たとえば、『みんなのうた』なのかな、当時は。

NAOTO 『ポンキッキ』とか?

YAMATO あ、『ポンキッキ』とか。ああいうのが、たぶんルーツかなって、今思いました。

--『ポンキッキ』は、いろんな名曲を世に送り出していましたよね。

YAMATO それこそ電グルも。

NAOTO あったな。あのお風呂の数え歌とか、あれ、ちょっとエレポップだもんな。

YAMATO そうそう。あれはもう名作ですよ。

--今は子供番組だと、『シャキーン!』って面白くないですか?

NAOTO あ、分かります。朝7時からの。

--『シャキーン!』やばいですよね。音楽もね、かなりスゴいところ、突いてきます。

NAOTO なんて言うか、かなりしゃれているっていうか、ちょっとひねっていて。

--子供番組なんだけど、「絶対これ、大人にも向けているだろ」って思うぐらい、クールでシニカルで。

NAOTO そうそう、そうそう。

--で、僕ら大人は、すごく理解できるネタだけど、子供たちはどうなんだろう? と思う時もあるんですけど、子供たちもちゃんと受け止めていてめちゃハマってるんですよ。幅が広いんです。子供から大人まで全部を夢中にさせちゃう。

NAOTO 『デザインあ』って番組もスゴくて、子供から大人まで全員ハマりますよね。

--そうそうそう。なんかそういうところに反応しちゃいますよね。

NAOTO いいのいっぱいあるんです。昔も今も。

YAMATO そうなんですよ。そういったことが音楽を好きになるきっかけになっていて。小学校、中学校、高校と、音楽の時間は夢中になってたんです。で、気づいたら、自分が音楽やっているし。バンドやってからのルーツは? って質問だったら「当時のミクスチャー世代のサウンド」からの影響が強いですって答えるだろうけど。一番根本的な部分は、小さい頃に聴いていた歌をいまだに覚えているぐらい好きっていうことは、そこがルーツなのかなって強く思いますね。

--そうです。だからこそ、ORANGE RANGEは、子供から、僕みたいなおじさんたちまで、幅広い年齢層の心を踊らせることができるんだなって思うんです。

YAMATO そうなんですか?

NAOTO だといいなあ。

YAMATO SUSHI食べたいって、みんな言ってくれるかな(笑)。

NAOTO えー、みんなで歌ってほしいなぁ。

--大人に向けて作ったけど、子供たちまでついてきてくれるっていうことは、たぶん簡単には起こらない現象なのでしょうけど、今のORANGE RANGEにはきっとできると思うんです。今回のEPでも振り切っていると思うし。お願いします! 振り切り続けてください、これからも。

YAMATO (笑)はい。

--絶対、振り切って、驚かせて、いい意味で僕らを裏切ってくださいね。

YAMATO 全力で!

NAOTO だけど、よく言ってますね。いい意味で裏切ってこれたかもねって。

YAMATO これはデビュー当初から、自分たちの、何て言うんだろう。売り文句?

NAOTO ずっと言い続けてきたよね。

YAMATO うん。しょっちゅう言ってますね。みなさんの期待を、いい意味で裏切っていけるようなバンドでありたいっていう。

--でも、どこかで立ち止まらないでくださいね。うっかりこう。

YAMATO そうですね。ずーっと16年走れているのも、休まず走れているのもね。意外と大変なことですけれども。

--たぶん、支えてくださっている方たちが、それを認めてくださっているというのは、非常に幸運というか…。

NAOTO そうですね。

--恵まれていると思うし。

YAMATO だから、なおさら、もっと貪欲にって。

--そうですね。

YAMATO そういう気持ちが出てくると思います。

--うれしい言葉を、今、頂きました。いつまでもそのような存在でいてくださいね。

YAMATO 本当に、ありがとうございます。
 
 
次回は、それぞれが参加する別プロジェクトについてインタビュー。明日11/15公開!
 
 
 
CHECK! NEW EP

『UNITY』


スピードスター レコーズ
1500円(CD)/発売中
 
前作『TEN』から約2年半ぶりとなるオリジナル作品5曲収録のEP盤。結成15周年を経て新たなフェイズへ向う“更なる結束”がタイトルに込められた傑作!
 
profile ORANGE RANGE
沖縄、米軍・嘉手納基地近くの「コザ」在住の5人組ロックバンド。メンバーはNAOTO(g)、YAMATO(vo)、RYO(vo)、HIROKI(vo)、YOH(b)。11月22日から来年の2月にかけて、全24公演のホールツアー「ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018〜UNITY〜」を開催。
https://orangerange.com/
 
 
 
 
Photo:Mutsuhiro Yukutake(S-14)

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