ORANGE RANGEインタビュー第2回となる今回は、それぞれが参加するプロジェクトでの楽曲制作にまつわる深イイ話をお届けします。
--では、おふたりの別の活動に関して聞かせてください。YAMATOさんが参加するNEENEE、NAOTOさんが参加するdelofamilia、おふたりとも別の音楽も表現していますよね。どことなく、ORANGE RANGEの方向性とは別なイメージを受けました。決して振り幅が狭いっていう話ではないのですが、アルバムを通して、ひとつの方向へと向かっているのかなと僕は感じました。
YAMATO そうだと思います。たぶん、部活の延長みたいな感じでORANGE RANGEが始まって。みんな、放課後、部活やってなかったんで、気づくと友達の家に集まって、楽器があって、バンドが始まったみたいな。同じようなノリでNEENEEも始まったので、なんか不思議な感じはしますけど。ただ、やっぱりひとりしかヴォーカルがいないんで、きついなっとも思いますけど(笑)。
--(笑)ORANGE RANGEでは……、
YAMATO 今までずっとRYOとHIROKI、ふたりが一緒にいたっていうのがあるので、改めてひとりでやったときに、「しんど」っていうことも感じています。
--責任感ということですかね。
YAMATO そうですね、それもあります。
--歩調を合わせていこうかと。
YAMATO そうですね。
--でも、NAOTOさんのお兄さんもメンバーにいらっしゃいますし。
YAMATO 振り切ってるもんね。
NAOTO 振り切ってますね。すごい先輩もいるもんね。
YAMATO ORANGE RANGEのほうでは自分は結構自由にさせてもらっていて。なんかちょっと頭おかしいキャラで通っているんですけど…。NEENEEのほうはみんなスゴくて。自分がまともに見えるぐらい。
NAOTO (笑)
--素敵なろくでなしってかっこいいですよね。
YAMATO 本当にロックバンドなんですよ、あの人たちは。そこは、いつも見習っていますけど。
--音楽性の面でも。
YAMATO そうですね。音楽性ももちろん…、(笑)おかしいですし、人間性もおかしいです。
--そこがまた魅力だったりする。そこで学ぶことも多い。
YAMATO そうなんですよ。おかしいっていうのが、褒め言葉っていうか。
--そうですね。
YAMATO そんな面が、かっこいいって思ってしまう僕らなんですよね。だから、変に気取って、「俺らさあ」っていうタイプじゃないんですよ。さっき言った、UNITYじゃないですけど、なんか、「ププ」って含み笑いになるぐらいがかっこいいっていうか、そういうスタンスでずっとやってきているので。
--そこの共通意識は、常にあるバンドで。
YAMATO ありますね。はい。
--となると、そちらのほうも、きちんとおもしろいことを突き抜けてやっていこうと。
YAMATO やっていきたいですね。
--歌詞の内容とリズムの関係にあえてギャップを作る。そんなスタイルがNEENEEの魅力でもありますよね
。
YAMATO そうですね。
--それがかっこよさっていう部分なのかなあと。
YAMATO リズム感を大事にする言葉選びだったりとか、あえて外したりとか。抜き差しはやっているつもりです。
--ORANGE RANGEとはまた別で、そこが非常に効果的なのかなと思うわけです。
YAMATO NEENEEでは、もっと取り込んでいきたい、巻き込んでいきたいって感じですね。だから、何て言うんですかね。ビースティ・ボーイズみたいにハメを外したみたいなこともしながら、もっともっと、え? AKBぐらい? 増えていきたいです。「何人いんねん、NEENEE」っていうぐらいの、それくらいなんか(笑)
--(笑)増殖したいところですね。
YAMATO 取り込んだり、巻き込んだり、表現としてはね、そういうふうに、なんかごちゃごちゃしていきたいです。ハチャメチャでいきたいですね、NEENEEは。
--ありがとうございます。では、NAOTOさんが参加されているdelofamiliaのお話を。ギターだけのインストの曲があったり、あと、3曲めのEnter The Mirror。朗読から入ってRie fuさんが英語で歌詞を重ねていく。あの朗読の声は、NAOTOさんですか?
NAOTO いえいえ。あれは、波多野さんという、People In The Boxというバンドのヴォーカルの方です。情感ありますよね。
--かなり実験的なことをされつつ、でも、やはり根幹にはチルウェイブを貫くといった姿勢を感じさせるチームなのかなって感じました。
NAOTO そうですね。delofamiliaに関しては、ORANGE RANGEとは違って、ミニマムな感じですかね。それは、自分の音楽性の中で、やっぱりもうひとつの部分でもあるので。
--Rie fuさんとの音楽対話で制作を進めているというボーダーレスなサウンドが魅力的ですよね。彼女から受け取るフィーリングはどんな感じなのですか?
NAOTO 彼女自身シンガーソングライターとあって、的確な意見が来ます。「おー、こう来るか」みたいな。本人はそんな気はないらしいんですけど、独特で個性的。やっぱり、今まで僕が知っている方とはかなり違うなと感じます。
--Rie fuさんはロンドン在住ですよね。実際に会って制作作業をするということは。
NAOTO ほぼないです。このアルバムに関しては、1~2時間、カレー屋でカレー食って、「じゃあ、あとは、私、帰るね」って。その後はネットでのやりとり。
--え、そうなんですか。
NAOTO 時代ですねぇ。そんな感じですねぇ。
--それで、そのやりとりっていうのは何回ぐらい?
NAOTO 結構多いですね。多いときで1日5回ぐらいとか。ま、長ーく、浅く緩くやっているので。このアルバムできるまでは、3年ぐらいはやりとりしました。
--なるほど、それぐらいのスパンでアルバムが出るというのは、そういったところが所以なのですね。
NAOTO お互いの活動があるので。僕はORANGE RANGEがあって、Rie fuはロンドンで活動しているから。
YAMATO 時間はかかりますよね。
NAOTO 一緒だよ、NEENEEと。
YAMATO 俺たち、2年だし。
NAOTO じゃ、2年だ。一緒だよ、一緒。
YAMATO そっか。
NAOTO 一緒だよ、一緒。
--話変わりますが、NAOTOさんポーティスヘッド好きなんですってね。
NAOTO はい。
--めちゃくちゃ好き?
NAOTO まさに!
--めちゃくちゃ、ハマってた頃も?
NAOTO ブリストルサウンドで、ヴォーカルはベス・ギボンズ。あの女性かっこいい!
--個性的なヴォーカルが好みなんですね。そういった点でもRie fuさんもそこに通じるのでは。
NAOTO そうです。全体的に雰囲気が、ベス・キボンズに似ている。
--え、そうなんですか? 素敵ですね。
NAOTO ちょっと気だるそうに。
--歌い方とか、声とかも、おふたりともすごく独特ですよね。
NAOTO うん。なんかシチュエーションに当ててくるというか…。
--シチュエーションに当ててくる?
NAOTO 曲のシチュエーションにキャラを当ててくるんです。
--歌い手としてのキャラを? 自分がそこの世界に入っていくってことですか?
NAOTO なんかそういうことをRie fuはしてるみたいです。彼女いくつかパターンを持っていて。それを選ぶ作業があるんです。どの感じの私がこの曲にいい? みたいな。
--Rie fuさんは引き出しを結構いっぱい持っている。つまり、ひとつの楽曲でも、3人のRie fuを送ってくる。
NAOTO 3、4人の別パターンという時もあるし、逆に「今回も3パターンぐらい送って」って僕からリクエストすると、「嫌です」って。「この曲はこれ、1パターンしかありえない」って。
--おお〜っ!
NAOTO これしか合いませんみたいな。僕からも「あ、あ、オーケー」みたいな(笑)。っていうのもありますし。
--だからこそ……、多少遠く離れていても逆にやりやすいと。
NAOTO うん、そうですね。たぶん会ったら、けんかしてます(笑)。でも、イエス、ノーがはっきりとしているんで。だから分かりやすいのでスムーズにいってます。
--delofamiliaで伝えたいことっていうのは?
NAOTO 聴き方に関する話なんですけど、わりと当たり前に歌詞を見たり、メロディーを追ったりとかっていうことが普通だと思うんですけど。でも、メロディの後ろでの音の響きとか、声の最後の切れ目とか、ギターのフェイドアウト後のところとか、ドラムを叩いている時の部屋の音とか、そういうのもぜひ感じとってほしいんです。聴きやすい楽曲にしているので、そんな部分までみなさまに楽しんでいただければ嬉しいです。
--レコードっぽい感覚でってことですよね。
NAOTO そうですね。
--なんか音の録り方がレコードっぽいなぁと思ったんです。周りの音も入っているって感じたんです。それ、ありますよね。伝わりますよね、やっぱり。
NAOTO そうそうそう。なるべくそういった音も最小限には。1つひとつの細かいディテールっていうか、そういうところを「聴く」のもありかな、みたいな。
--NEENEEでもライヴ盤とかで使えそうですよ、今のお話は。
YAMATO NEENEEはね、たぶんそこまで。もっとさばさばしているので。
--関係性が?
YAMATO はい。たぶんそこまでは行かないかもしれないですね。
--個々のプロジェクトも含めて、ほんとにUNITY=ファミリーという感じで、さまざまな音楽性を見つけ、表現していくっていうことをほかのメンバーも含めてみなさんやっているんですね。
NAOTO そうです。だって同じレーベルだからね、みんなね。
YAMATO そうそう。
--そうですよ。
NAOTO ファミリーだよね。
--そうですよ、そうですよ。
NAOTO 以前は、別々だったから。
YAMATO 今回、改めてファミリーになったからね。
--楽しみですね。
NAOTO はい。
--では、最後に、ツアーが控えていますが、僕らの世代(NAOTOさんYAMATOさんとほぼ同世代)、へのメッセージをお願いします。
YAMATO 30代になるといろんなものが、緩くなると言うか、考え方も優しくなるというか。「OK、何でもOK」みたいな部分が出てくるものなのかもしれませんが、緩くなり過ぎずに。というのも、僕は、今が青春だと思っているんです。今こそ本当にもっと貪欲になりたいと、夢中になっていられるってことこそ青春だって感じられる気がして。だから、いわゆる世間一般で言う、30代は緩くなるっていう言葉に惑わされず、まだ自分の時代なんだと感じながらやっていくのもいいんじゃないですか、っていう思いです。
NAOTO 今回のORANGE RANGEのEPは、5曲でもこんなにバラエティ感が出せました。ツアーは20曲ぐらいりたいですね。20曲もあったら、もっともっとバラエティ感っていうのは出せるよね。ぜひ、そういったところをみなさんに楽しんでいただけたらなと。だから、ちょうどお互い、今述べたメッセージをプラスして2で割れば、いい感じになるんじゃない?
YAMATO お前は編集者か(笑)!
一同(拍手)
--非常に良い締めを、ありがとうございます。
YAMATO 何のこと?
--一同(笑)。
NAOTO それを心配するなっていう話だよ。
YAMATO あー、そうそうそう。そうだった。
--お後がよろしいようで (笑)。
一同ありがとうございました。
(終了)
CHECK! NEW ALBUM
スピードスター レコーズ
2800円(CD)/発売中
NAOTOとシンガーソングライターRie fuを中心としたバンド。NAOTOのチルウェイブ的志向にRie fuのエッセンスが加わり完成したアートな音が心地よい!
スピードスター レコーズ/2800円(CD)/発売中
YAMATO、MONGOL800のTAKASHI、RYUKYUDISKOのTETSUSHI、バンドマネージャーも務めるSEIJIによるバンドの2ndアルバム。ロック、テクノ、エレクトロニカ。個性がぶつかり合う!
profile ORANGE RANGE
沖縄、米軍・嘉手納基地近くの「コザ」在住の5人組ロックバンド。メンバーはNAOTO(g)、YAMATO(vo)、RYO(vo)、HIROKI(vo)、YOH(b)。11月22日から来年の2月にかけて、全24公演のホールツアー「ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018〜UNITY〜」を開催。
https://orangerange.com/
Photo:Mutsuhiro Yukutake(S-14)