2017.12.05 Tue UPDATE CULTURE

ブランド10周年!人気ブランド〈レミ レリーフ〉デザイナーを直撃!

10周年を迎えた人気ブランド〈レミ レリーフ 〉のデザイナー・後藤氏に聞いた、ブランドの今までとこれから…

2007年の設立以来、リアルなヴィンテージ加工やオリジナリティあふれるパターンワークで人気を博しているドメスティックブランドの〈REMI RELIEF(=レミ レリーフ)〉。今年で10周年を迎えた同ブランドのデザイナーの後藤 豊氏とアポイントが取れたのは、2018年春夏の展示会場。100平米を超えるスペースに250型以上のアイテムが並ぶようすは、1ブランドの展示会の規模とは思えないほどバリエーション豊かだ。その尽きることなくあふれ出るクリエイティブに支えられた〈レミ レリーフ〉の10年について、話をうかがった。

 

Photo/TAKEHIRO HAYAKAWA  INTERVIEW/SYUNSUKE HIROTA

 

――まずは〈レミ レリーフ〉の10周年おめでとうございます。10年目を迎えていかがですか?

後藤氏 ずいぶん長かったなという気持ちもありますし、あっという間だった気もします。僕はどこかの有名なブランドから独立したわけでもなく、名古屋の量販系アパレル会社を経て東京に来たので、最初はお客さんも取引先もいない状態でとりあえずサンプルだけ作った感じでした。そんな状態で合同展に出てもどうせ見てくれないだろうと思ったので、イチかバチかで色々なセレクトショップに飛び込み営業をかけてメチャクチャ怒られたりもしました。立ち上げてから3年ぐらいずっとそんな感じでしたね。

――10年前とはいえ、まったくのアポなしキャラバンは珍しかったでしょうね?

後藤氏 いままでセレクトショップと取引をしたことなかったので業界のルールを知らなかったのが逆に良かったのかもですね。サンプルを持ってビームス本社に飛び込み営業に行って受付をしてエレベーターに乗ったら、偶然そこにビームスプラスのバイヤーさんがいらっしゃってキャラバンに対応してくれて…。それでアイテムを見て気に入ってくれて受注してくれたり、その日の帰り道で明治通りを歩いてて、〈L.H.P〉や〈B’2nd〉などを展開されている上野商会を見つけたので売り込みに行ったら、同じくその場で自身の予想を超える受注をしてくれたり、ホントにそういう“人”に助けられました。「モノが良ければ売れるだろう」ぐらいの感覚で能天気に独立したんですが、立ち上げて3年ぐらいはものすごい赤字でしたね。決算したら数千万の赤字になってて「まずいな…」みたいな。

――飛び込み営業での商談がまとまったのは、まさしく「モノがよければ売れる」を証明してみせたのではないですか?

後藤氏 東京のデザイナーさんは服飾系専門学校出身の人が多くて、ジャケットとかテーラリングは上手だし、人材の層も厚いんです。でもカットソーとかTシャツになると、じつはそうでもなかった。僕はサラリーマン時代に加工の知識も蓄えていたので、いわゆるカットソーに加工を施したアイテムなら勝負できると思ってたんです。ビームスや上野商会のバイヤーさんたちが面白がってくれたのも、やはり今でも定番でリリースしているヴィンテージ加工を施したスウェットやTシャツでした。

――それにしても、数千万の赤字を「まずいな」のひと言で済ませられるのは驚きです!

後藤氏 デビュー間もないブランドが30型ぐらいサンプルを作ったところで売り上げの天井は見えてますし、どうしても100~150型は作りたい。そうなるとサンプルを作る経費だけでかさんでしまうんです。サラリーマン時代に「お金さえ回っていれば会社ってなかなか潰れない」ものだと学んでましたので、不安はあまりなかったですね。ブランドを立ち上げる時に複数の商社から事業資金を調達していたので、決算をしたら赤字だとわかるんですが事業自体は続けられるんですよ。赤字になっても十分に返せると確信していましたし、3年かけて失敗したら自己責任かなって思ってました。

 

――3年がひとつの区切りと考えていらっしゃったんでしょうか?

後藤氏 展示会で受注してくれたバイヤーさんにショップでの消化率を見て「売れる」って思ってもらわないといけないので。アパレルってブランドとしてバイヤーさんに周知されるまで年2回の展示会ベースだと3年ぐらいかかるようなんですよ。年2回の展示会×3年で6回くらいは展示会をやってモノを知ってもらわないといけない。〈レミ レリーフ〉の場合も、3年目まで30社くらいの取引先だったのが、口コミというか、周囲からの評価も高まって4年目の終わりには100社くらいになっていました。

――ちょうどいま展示会の最中ですが、今シーズンもすごい型数ですね。この数のデザインを考えてサンプルをアップするだけでも大変ですよね?

後藤氏 今はシーズンごとに250型ぐらいサンプルを作っています。僕がファッションに目覚めた頃はパソコンも携帯もなくて、男は服とクルマにお金をかけて女の子にモテようとするのが当たり前な時代でした。ファッションがカルチャーの中心だったから、そこにお金を注ぎ込むのは普通だったし、アメカジからヴィンテージウェア、DCブランドとひと通りの経験もしましたし、自分のお金で買って自分で着てきたという経験が生きているように思います。ずいぶんヴィンテージウェアも買いましたが、古着ってアームホールが太くてモテなかったりするので、どんな高価なヴィンテージウェアでも自分でリメイクして着たりしてましたね。

 

 

Profile

後藤 豊(YUTAKA GOTO)

名古屋のアパレル系企業に勤務した後に独立し、間もなく自身のブランド〈レミ レリーフ〉を立ち上げる。デニムの聖地・岡山県の児島に自社工場を構え、徹底的に加工を追求。モノ作りに関するこだわりの姿勢には各方面からの評価も高い。

 

 

自社工場などについて話を伺ったインタビューの後編も乞うご期待!

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