2018.01.23 Tue UPDATE CULTURE

「自分らしくあればいい」と語る清水翔太の本音は!? そのメッセージを込めた「Good Life」を明日リリース!!

これまで多数のヒット曲を発表してきた清水翔太が、デビュー10年となるアニバーサリー・イヤーにシングル「Good Life」をリリース。これまで華やかに見えた活動のなかで、抱えてきた葛藤や不安を乗り越えて完成した楽曲。それが完成するまでの心の動きをMJに吐き出してくれた。

「歌ウマ」なイメージはもういらない。

──デビューから10年を迎えた2018年を飾るシングル「Good Life」が完成。この楽曲にはどんな思いを?

「2016年3月に発表したアルバム『PROUD』以降、周囲にどう思われようが自分の生き方、やり方、スタイルを誇れるような音作りをすることをテーマにしていて。今まで以上に暗闇の中を手探りで活動しているような状況だったんです。そこで同年10月にシングル『My Boo』をリリースしたところ、想像以上に大きな反響をいただくことができた。つまり、自分のやりたい音楽をちゃんと認めてもらえたんだなという自信がついたんです。以降、これまで経験した学生時代のいじめや、ミュージシャンとしてデビューしてから抱えてきた葛藤みたいな肯定し辛かった過去も、今につながる貴重な経験だったんだなって思えるようになった…。そういう経験を重ねた僕だからこそ、周囲の意見に惑わされることなく自分らしくあればいいというメッセージを伝えられれば、何かに迷っている人を勇気づけられるのでは?と思い完成したのが、この曲ですね」

──これまでも、デビュー曲の「HOME」をはじめ、清水さんのこれまでに思いを巡らせるような作品を多く発表されていますよね。それとは異なる感覚で、曲作りができた部分はありますか?

「異なるということはないですね。これまで通りナチュラルな流れの中で完成した楽曲だと思います。でも、10年前にこれを歌っても説得力がなかったはず。いろんな経験を積んだ今だからこそ、作ることのできたものじゃないかって思うんです」

──トラックも清水さん自身で制作。シンセとアコギの音色を心地よいバランス感覚で構築しているような気がしました。

「とにかく、聴いていて気持ちいいものを作ったつもり。僕は、最初の段階から細かく設計図を描くような人間ではないから、とりあえず心地よく歌えるようなビートを探して、そこから歌詞やメロディを肉付けしていくという流れの中で完成させたものです」

──またオートチューンも多用していますね。

「最近は、あんまり『歌ウマ』なイメージを持たれたくないというか。もう自分の中で『歌を聴かせたい』という感情が、だいぶ薄れているんです。昔は、歌が好きで、上手いという自負を持っていたけど、活動するにつれてトラック作りにも興味を持ち始めたし、歌うことばかりにフォーカスしなくてもいいんじゃないかって。また、自分は思うほど歌が上手くないと思うようにもなったし(苦笑)」

──そんなことはないでしょう!

「今は『歌い手』ではなく『表現者』になりたいんですよね。だから、ヴォーカルも自分の音楽を構築させるためのツールのひとつとしか考えていない。歌詞に関してもメッセージとか意味を考えるよりも、『韻』を大切にするようになったし。だから、この楽曲でオートチューンを多用して、歌が前面に出ないようにしているのかもしれないですね」

──確かに、よりヒップホップ的アプローチが強くなっていますね。

「好きなんで、それが。僕は日本の音楽で今一番イケてるのはヒップホップだと思っていますから。他のジャンルも、それはそれで素晴らしいものはあると思うのですが、最も日本語の良さを活かせるのは、この音楽じゃないかって。独自の世界観があるなって」

──なるほど。

「逆に、最も日本人に似合わないのはR&Bだと思った。ふざけられないし、真面目に歌おうとすると、面白味が欠けてしまう気がする。アメリカのシーンも同様なんですけど、そこを甘美さや過激さでカバーしている。でも、それは日本人には合わないのかなって、個人的には」

──確かに。日本人の美徳にはフィットしないトゥー・マッチ感はありますよね。

「そう。でもヒップホップは日本人の美徳にもフィットした独自の表現ができる気がするんですよ。他の国にはできないことを。だから追求したい気持ちが強いんですね」

──そんな攻めの楽曲のカップリングに収録の「I’m in love」はシンプルなバラード。

「これは楽曲制作の息抜きにと思って作った超ソウルマナーなフレーズを、スタッフに聞かせたところ『これ絶対に曲にしたほうがいい』と言われ、『あ、そう。なら作ってみようかな』という感覚で完成させたところ、『いいじゃん』って反応が出て、『じゃあカップリングに』ということで収録したものなんです(笑)」

──おそらく『PROUD』をリリースする前なら、確実にリード曲になっているものですよね。

「確かに。それを考えると、ゾッとする(笑)。10年前、いや4、5年前では考えられない流れに今はなっているんだなって」

実は、音楽活動を辞めようと考えた時期もあった

──音楽スタイルは常に変化していますが、10年日本の音楽シーンの第一線で活動し続けられたモチベーションって?

「ぶっちゃけ、モチベーションが途切れそうになったこともありましたよ。自分のやりたい音楽よりも周囲が求めている音楽を優先に作らなくてはいけない状況が続いて。次は何をすればいいのかわからず、もうミュージシャンを辞めて海外にでも旅立とうかとも考えた時期もありましたから。でも、音楽の道に立ち止まることができたのはファンの皆さんからの声があったおかげだと思います。デビュー直後の初ライヴで体感した、お客さんの反応が今でも忘れられなくて…。それまで、告白したとしても断られてしまうような人間が、アイドルみたいな歓声の中でパフォーマンスをできたことが本当に嬉しくて。緊張すら忘れてしまうほどだった。それ以降、ずっとファンの皆さんと最高の時間を築くために音楽を制作しているのだから、サポートしてくださる人がいる限りステージに立ち続けなくてはいけないなって。ファンのみなさんの声が、どんな困難も乗り越えて、今につなげてくれたんだと思います」

──最近はSNSも駆使してファンとのコミュニケーションを積極的にしていますよね。

「僕は小学生の頃からネットに親しんでいました。その経験からすると、ただ一方的にビジネスっぽく情報を発信しただけでは、何も伝わらないんです。きちんと友情的な感覚を持って、自分が今やっていることを発信していかないと思いが届かない。だから、そこはちゃんと意識してやりとりはしていますね」

──確かに。

「またライヴでも、自分の意見を通した楽曲は違うんですよね。『PROUD』以降発表した楽曲というのは、どれもパフォーマンスするたびに表情が変わっていくというか。表現の質が高まっているような気がしているので。周囲の声に惑わされず、自分が純粋にいいと思える音楽を、追求した方がいいんだなって思う」

見えてきた30代。生き方を磨きたい。

──2月には『SHOTA SHIMIZU 10th Anniversary Event for Family』が開催。そこでも、どんな表情を見せてくれるのか、楽しみなところ。

「もう何回10周年を祝わないといけないのか?って正直思いますけど(笑)。『Good Life』を聴いていただける絶好の機会なので、これを軸にした内容になると思います。今後の清水翔太を感じてもらえる内容になるかもしれないし、これで聴き納めになる曲もあるかもしれないので、ぜひ楽しみにしてほしい」

──ところで、清水さん『PROUD』以降の作品のジャケットは、ほぼサングラスですよね?そこに理由は?

「(苦笑)。実は、あんまり自分のビジュアルは好きじゃなくて、真っ黒のジャケにしてもいいと思うほどなんです。でも、デビュー以降僕の顔を見て喜んでくださる方もいらっしゃるので、その声に応えなくてはいけないから。ならば、せめてサングラスくらいはかけさせてください……という思いです。今後はもっと顔を隠す方向でいきたい(笑)」

──ファッションに関しては?

「そちらは、より派手になっているかも。実は以前も派手めな格好でTVの歌番組とかに出演したことがあったんですけど『似合わない』とか『着せられている感がすごい』といった意見が届いて『そうなんだよ!』って心の中で思っていたことがあり、黒で統一したコーディネイトをするようになったんです。でも、最近は自分の好きなものを自由に着こなしていけば、自然にフィットすると思えるようになって、ファッションをより楽しめるようになりましたね」

──30代に近づいていますが、今後はどんなミュージシャン・男性を目指したいですか?

「これからは、見た目よりもどういう生き方をしているのかが問われる年齢になっていく。だから、自信を持って自分がいいと思えるものを発信したいですね。それを、MJ世代の方々にも認めてもらえるようになれたらいいですね。そして純粋にカッコいいと思っていただける音楽を発信していきたいですね」

↓清水翔太さんからのメッセージ動画です

PROFILE
1989年大阪府生まれ。2007年秋、NYの音楽の殿堂『アポロシアター』のステージに平成生まれの日本人として初めて出演し、話題に。翌年にシングル「HOME」でメジャー進出。その後、卓越した歌声で多くのリスナーを魅了している。1月10日には、LIVE BD/DVD『LIVE TOUR 2017“FLY”』がリリース。2月20日〜ライヴツアー『SHOTA SHIMIZU 10th Anniversary Event for Family』がスタート。
オフィシャルサイト
http://www.shimizushota.com/

NEW SINGLE
「Good Life」

ソニー
1574円(初回生産限定盤)
1月24日発売

Photo:鬼澤礼門
Styling:戸倉祥仁(holy.)
Hair&Make:榎並孝介(ICY)
Text:松永尚久

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