2018.01.31 Wed UPDATE CULTURE

ドラマ“きみ棲み”で超ゲスな役を演じる「向井 理」が…ブータンへ!?

2017年は『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)や『アキラとあきら』(WOWOW)などのテレビドラマ、自身の企画を映画化した『いつまた、君と~何日君再来~』、舞台『髑髏城の七人』などジャンルを超えて幅広く活躍し、現在はドラマ『きみが心に棲みついた』に出演中。デビューから12年が経ち「ひと周りした」今、向井 理が新たなステージに向かおうとしている。「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」――。そのバランスを、舵を取りながら、まだ見ぬ海原へ出て行く。

 

――2017年は渡瀬恒彦さんの遺作となった『ドラマスペシャル アガサ・クリスティ そして誰もいなくなった』で幕を開け、倉本 聰さん脚本、石坂浩二さん主演のドラマ『やすらぎの郷』に出演。大ベテランの俳優さんとの共演があったかと思えば、池井戸潤さん原作の『アキラとあきら』では斎藤 工さんと、舞台『髑髏城の七人 Season風』では松山ケンイチさんという同世代とがっぷり四つに。現在放映中の『きみが心に棲みついた』では桐谷健太さんとご一緒しています。

桐谷くんは、10年近くぶりになるのかな?(’10年公開の『BECK』以来)昨年に引き続き同世代とガッツリやれるのは楽しみですね。20代のころは学園もので同じ世代と一緒になることは多かったですけど、30代になると、それが企業ものや職業ものになり。時を経て、また違う環境で顔を合わせられることでお互いの成長も確認できる。同世代だからこそ刺激し合えると思うし、励みにもなっています。また、『アキラとあきら』では池井戸さんの原作がなぜ人気があるのかを肌で感じましたし、『髑髏城の七人』では立ち回りや所作など、今の自分にできること、足りないことなど、いろんなことを再確認できた一年でしたね。

――弊誌『メンズジョーカー』の表紙には瑛太さんをはじめ玉山鉄二さん、小栗 旬さん、山田孝之さん、綾野 剛さんら向井さんと同じ’80年代前半生まれの俳優さんが数多く登場し、みなさん次なるフェーズへ向かおうとされている。そんな印象を、それぞれのインタビューから受けます。

その世代は10代からキャリアを積んだ人が多い中、僕はデビューが20代の半ばと遅く、今年で13年目。キャリアも経験もまだまだ足りませんが、いろんなお仕事をやらせてもらう中で自分なりに見えてきたものがあって。みんなもそういう年齢になってきたんじゃないかなと。

――向井さんが「見えてきたもの」とは?

自分のやりたいこと、自分にしかできないこと。あと求められていること、やらなきゃいけないこと…それは決してネガティブなものではなく、要は自分で獲りにいくものと、与えられるもの。それが何となく見えるようになってきて。今回の『きみが心に棲みついた』が与えていただいたお仕事であれば、昨年の『髑髏城の七人』は、僕が自分でゼロからやろうと思って挑戦したお仕事で。ほかにも自分で企画して実現に漕ぎつけた映画『いつまた、君と~何日君再来~』とか。同世代の俳優たちも、自分で企画したり、(山田)孝之であれば会社を起こしたり、それぞれ次のステージを見据えていることがわかる。「負けていられない」じゃないけど、一緒に切磋琢磨していきたいと背中を押される存在ですよね。

――12月で表紙を飾っていただいた瑛太さんも「(2017年は)スケジュールなど、いろんな部分で厳しくはありましたが、俳優として次の段階に行くタイミングなのかな…と思ったので、なんとか上を目指してみよう」とおっしゃっていました。

瑛太くんとは、僕がデビューした年に出演した『のだめカンタービレ』(’06年/フジテレビ系)で共演しましたが、お互いそういう年齢になって、俳優としてこれまでに得たものを次の10年に向けてどう活かすのか? それこそ渡瀬さんや石坂さんの年齢になるまで第一線に居続けるためには今、何をすればいいか、考える時期なんじゃないですかね。

――また「デビューして(瑛太さんの場合、16年間で)ようやく一周したんだなと思います。さまざまなご縁があって自分がいるんだなと、出会いの大切さに改めて感謝するようにもなりました」とも。

それはすごくわかります。僕自身も2016年はずっとご一緒したかった蓬莱竜太さんとの舞台(『星回帰線』)が実現したり、昨年は7年間、企画を温めてきた祖父母の物語を映画化(『いつまた、君と~何日君再来~』)することができて、またこの2018年には、制作から携わりドキュメンタリーをやれることになった。先の「自分のやりたいこと」を実現するための環境が整ってきたというか…環境を作ってくれる人たちが周りにいてくれることがありがたいなあって。12年で干支も一周して、これまでやってきたことがやっと実りつつある。今回の番組もそのひとつです。

――どんな番組なんでしょう?

2016年に放送され、ナビゲーターを務めさせてもらった『キューバが愛した日本人』(読売テレビ・日本テレビ系)から続くシリーズの第3弾で。海外で偉業を成し遂げ、その国の人々に愛され続ける日本人を掘り下げるドキュメンタリー番組の撮影のためブータンまで行ってきました。僕も本で調べていて初めて知ったのですが、国王から爵位をもらい、国葬されたほど有名な日本人――西岡京治さんという方がいらっしゃっるんですけど、どうしても、その人の足跡を辿りたくなったんです(※1964年にブータンに派遣され、以降28年間にわたって支援活動に従事。農業技術を伝授し、国王から“ダショー=最高に優れた人”の称号を与えられた)。ドキュメントはお芝居の仕事とはまた違う…レポートすることであったり、客観的でニュートラルな目線が必要とする難しさもありますが、そうした知られざる日本人を紹介できることは大変、意義があることだなと。

――『世界ウルルン滞在記』(TBS系)や映画『僕たちは世界を変えることができない。』(’11年)を機に「第2の故郷」と公言するようになったカンボジアに始まり、ここ数年はコンスタントにドキュメンタリー番組の取材で海外へ。今回のブータンで感じたものは何ですか?

カンボジアでもキューバでも感じたことなのですが、人の思想や努力はずっと残るんだと、今回の取材を通してより強く感じましたね。ブータンの人は日本人に対して好意的です。それは西岡さんのような人がいたおかげであって、日本人として大事にしたいと。普段あまり行くことができない国ではあるかもしれませんが、そういう場所で自分たちの国の先人たちがいるということを誇りに思ってほしい。グローバリズムが叫ばれる中で、改めて日本人のアイデンティティを感じていただけるんじゃないかなと思います。

――俳優の仕事もある種、その人の思想や努力が反映されると思います。

そうですね。たくさんお話できたわけではないのですが、渡瀬さんや『やすらぎの郷』を最後にお亡くなりになった野際さんの背中からは「俳優とはこうあるべき」という姿勢を教わって。その人となりと言いますか、生きざまが作品という形で後々まで残り、人々の記憶にも残るってすごいことだなと改めて。また、自分もそういう俳優でありたいと思いました。

――『いつまた、君と~何日君再来~』しかり。「自分のやりたいこと」とはいえ、自ら企画を通すには大変な時間と労力が必要だと想像しますが、向井さんを突き動かすものは何でしょう?

映画は実現に至るまで7年くらいかかっちゃったんですけど…自分が好きなもの、やりたいものを形にしたい。自分の中で、そういう欲求が生まれていることが大きいと思います。成長…と自分で言うのも何ですが、ここ数年の大きな変化のひとつかもしれない。あと小説でも漫画でもいいんですけど、何より自分が見たいものが作品として見られるって単純に楽しいじゃないですか? 別に企画やプロデュースの仕事を専門にしたいとは思いませんが(笑)、そのために行動できるようになったことは自分の中で自信にもなっている。また何かやりたいと思った時に、映画やドキュメントを形にできた経験で引き出しも増えたことも大きな収穫。それが本業である俳優の仕事に還元されればいいかなと思っています。

――そうした変化と成長の中、放送が始まったドラマ“きみ棲み”。自己評価が極めて低いために他人の前で挙動不審な姿を見せる“キョドコ”こと小川今日子(吉岡里帆)が、漫画編集者で人に対して厳しいが内面は優しく誠実な吉崎幸次郎(桐谷)と、大学時代の先輩で一見爽やかなイケメンだが、かつて彼女に度を越えた冷酷な命令を下していた裏の顔がある星名 漣(向井)との間で揺れ動く姿を描く、天堂きりん原作の人気コミックを実写化したラブストーリーです。

お話をいただいて、お受けして、人から求められるということは、その期待に応えることが最低ラインになってくる。同じラブストリーを演じるでも10年前にはできなかったものをお見せしなきゃいけないなと、改めて気を引き締め直しています。

――演じる星名についてはいかがですか? これまで向井さんが演じてきた役とはかけ離れた、かなり最低な男ですが。

謎多きとか、何を考えているのかわからない…というと聞こえはいいですが、まったく共感できない役ですね(笑)。でも原作ものはファンの方がいて、コミックには絵もあって、読む人それぞれの声や話し方、イメージもあり…と、ハードルが高い。共感できないほどブッ飛んだ男なだけに、人間的な弱さなどを見せるなど、どれだけリアリティを加えられるか。原作とのバランスを考えながら演じたいと思います。

――では、最後に2018年の目標を。

2017年はベテランの方、同世代の俳優と仕事をさせてもらう機会が多かったので、若い人たちともやってみたいです。僕らの世代とはドラマや映画をとりまく環境も違うし、そうなると考え方も当然、違うだろうし、いろんなものを吸収したい。監督をはじめ、スタッフさんも含めて新しい出会いに期待したいですね。
 
 
□向井 理 プロフィール
1982年2月7日生まれ。神奈川県出身。2006年に芸能界デビューし、数々の映画やテレビドラマ、CMに出演。2010年にはNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』に水木しげる役で出演し、大きな話題となった。2017年は『やすらぎの郷』やWOWOW『ドラマW アキラとあきら』などのドラマ、『いつまた、君と~何日君再来~』などの映画、舞台『髑髏城の七人 Season風』などに出演。1月にスタートしたドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系/毎週[火]午後10時~)に出演。ドキュメンタリー『ブータンが愛した日本人 向井理が見た、幸せの国のキセキ』(読売テレビ・日本テレビ系)が、2月4日[日]午後3時から放送される。

ドラマ『きみが心に棲みついた』公式サイト
http://www.tbs.co.jp/kimisumi/

ドキュメンタリー『ブータンが愛した日本人 向井理が見た、幸せの国のキセキ』公式サイト
http://www.ytv.co.jp/bhutan/
 
 

Interview&Text:TATSUNORI HASHIMOTO
Photo:KAZUKI NAGAYAMA[S-14] Styling:MASAHIRO HIRAMATSU[Y’s C] Hair&Make:SHINICHIRO[Roops]

 
 

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