2018.02.08 Thu UPDATE CULTURE

フランツ・フェルディナンドに緊急インタビュー! スリリングでダンサブルなNEWアルバムの制作秘話は?

明日2/9にNEWアルバム『オールウェイズ・アセンディング』をリリース! 必見の撮りおろしフォトと、アルバム制作秘話をお届けします!!

2004年にリリースしたデビュー盤『フランツ・フェルディナンド』で大ブレイク、思わずダンスしたくなるカラフルなポップ・サウンドで日本でも多くのリスナーをトリコにしている、フランツ・フェルディナンド。メンバー・チェンジを経て5人編成になった彼らが、4年半ぶりとなるアルバム『オールウェイズ・アセンディング』を完成!メンバー全員へのインタビュー、およびアレックスと新メンバーであるジュリアンのスペシャル・シューティングで、その魅力を伝えよう。


アレックス(Vo&G)


ジュリアン(Key)

「音楽制作は『仕事』ではなく『ゲーム』感覚で楽しんでいるんだ」

──5人編成になったけど、今のバンドの状態はどう?

アレックス 最高だよ。以前より25%増しで良くなった感じ(笑)。とても充実した環境だね。リスナーがこの雰囲気を楽しんでくれて、気に入ってもらえたらいいな。

ポール うん、ストレスフリーな状態だよね。と言って前の状態が最悪だった訳じゃないよ(笑)。

ボブ それが、今回のアルバムからも聴き取れると思うんだ。

──ジュリアンとディーノは、他バンドやプロジェクトの経験も多いけど、それらと比べて、このバンドの環境はどう?

ジュリアン 全然違うよね。これまでは、ひとりで音楽を制作する機会が多かったから、他の人と意見を出し合って、作品を完成させる作業は、とても新鮮だしワクワクする。また、日本を含む世界各地でツアーができるのも、楽しい。このバンドでしか体験できないことがたくさんあるんだ。

ディーノ 今までいろんなバンドをやってきたけど、一番ストレスのない環境だね。

──そして、完成したアルバム『オールウェイズ・アセンディング』は、どんな仕上がりに?

ポール 新しいメンバーが加入したことで、新しいことができたというか。デビュー版を作っていた頃の気持ちが蘇ってきたね。

アレックス 歳を重ねていくたびに、楽曲を細作する回数も増えてきた訳だけど。そのたびに思うのは、制作作業を「仕事」ではなく「ゲーム」をやっているような感覚で楽しまないといけないってことなんだ。今回も、遊びの延長みたいな状況で、気づいたらアルバムが完成していたって感じだ。

ボブ 意外と、作り続けていると徐々に「惰性」みたいなものが生まれてきちゃうこともあるけど。今回は、そんな気分になることはなかったし、とても楽しいレコーディングだったよ。

ジュリアン 僕が加入して驚いたのは、一度曲の構成が完成したとしてもそこで終わりにすることはせず、違う角度からもう一度構築させていく。出来上がったものをあえて一度壊すという作業をする。でも、それを勿体ないとは思っていないんだ。そういう姿勢がいい楽曲を生み出し続けているバンドでいられる秘訣なんだなって思ったよ。

ディーノ そこから、新メンバーは自分らしさをどう表現していくのか? 考えドコロなんだけどね。

──プロデューサーには、ダフト・パンクやフェニックスなどを手がけている、フィリップ・ズダールを起用。

アレックス 彼がこれまで手がけてきた音楽は、深みがありながらも、フレッシュ感が損なわれていないものばかりなんだ。つまり、温故知新なスピリットを持っているというか。また人間的にも素晴らしいと思ったし。今回のアルバムの雰囲気にピッタリだと思ったからお願いしたんだよね。

ジュリアン 彼は、僕らの意見を尊重してくれるんだよね。方向性がブレそうな時だけ、軌道修正してくれるけど。また、僕らの音楽の魅力をライヴ感ととらえていて、それが活かせるのならばミスタッチでもオッケーを出したりする。

──彼はエレクトロ・ユニットであるカシアスのメンバーでもあるのに、生な音を尊重するって何だか面白い。

アレックス 言われてみればね(笑)。でも、’70~’80年代のエレクトロ・ミュージックってシンセサイザーを駆使して人工的に作られていたから、偶発的に誕生した音をそのままレコードに収めていることも多いんだ。そういうことを彼は追求したいんだと思うよ。

ジュリアン 多分、あとで修正する行為が好きな人じゃないんだと思う。

アレックス 僕らもなんだけど、現代のパソコンの画面とにらめっこしながら完成しちゃうエレクトロ・ミュージックが嫌いな訳ではないんだ。それを駆使して、人間臭さを消した「完璧な」音楽が、あんまり好きじゃないってだけで。ミスタッチとか人間らしさを残した音楽に心が動かされるタイプなんだよね。

ボブ 僕らの音楽は、人間が演奏したもの。時には失敗だってある。それも楽しんでいる様子を伝えたいという気持ちはメンバー全員ずっと昔から持っているんだ。

ジュリアン でも、それを表現できるのって、ミュージシャンとプロデューサーのお互いがリスペクトし合えている状況だからだと思うよ。

「みんなの笑顔が見たいから、音楽を作り続けるのさ」

──だから、本作はとってもダンスしたくなる仕上がりに。

ポール 僕らはずっと自分たちの音楽で楽しそうに笑顔を浮かべてダンスする人たちをたくさん観てきたからね。それが嬉しくて、そんな光景をまた見たくなるから楽曲を制作し続けている部分があるね。

──フランツ・フェルディナンドはダンス・バンドってこと?

ポール 好きに呼んでいいよ(笑)。でも踊れる音楽の方が、ハッピーになれていいじゃない。

──でも、今回は今までとは異なるダンス感がある。タイトル曲「オールウェイズ・アセンディング」はデヴィッド・ボウイの影響を感じさせる、妖艶な雰囲気を放っているような。

ボブ 最近すっごく聴いているからね(笑)。

ポール 僕は常に聴いているから(笑)。でも、今のバンドって少なからず、彼からの影響があると思うよ。

──アルバムを通じて感じてほしいことは?

ポール 音楽は自由ってこと!

ジュリアン とっても楽しいアルバムなんだ。ここから、いかに僕らがエンジョイして音楽と向き合っているのかを感じてほしい。また、じっくり向き合えば味が出てくる深い楽曲ばかりなんだ。

ボブ 意味のない音楽は作りたくないんだ。僕らは伝えたいことがあるから、歌詞やアレンジにこだわって楽曲を発表し続けている。それを感じてもらえたら嬉しいよね。

ディーノ ツアーを通じてみんなに楽しさを届けたいと思っているよ。

アレックス 旅先で初めての場所にたどり着いた瞬間の感動ってあるでしょ? こんな風景が世界にはあったんだっていう。それと同じような感覚をこの作品を通じて体験してもらえるといいな。

PROFILE
メンバーは、アレクサンダー・カプラノス(アレックス、Vo&G)、ロバート・ハーディ(ボブ、B)、ポール・トムソン(Dr)、ジュリアン・コリー(Key)、ディーノ・バルドー(G)。英国グラスゴーにて2001年に結成。’04年にリリースしたデビュー盤で、たちまち大ブレイク。日本においても、楽曲がTVCMソングに起用されたり、フェスのヘッドライナーを飾るなど、熱狂的な支持を集める。今年1月には一夜限りの来日公演を敢行、満杯のオーディエンスをダンスさせたばかりだ。

NEWアルバム

『オールウェイズ・アセンディング』
ホステス
2490円
2/9発売

Photo:MUTSUHIRO YUKUTAKE(S-14)
Text:TAKAHISA MATSUNAGA

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