通算8枚目となるオリジナルアルバム『HONEY』をリリースするガールズバンド・SCANDAL。デビュー10周年を目前に控えた今の彼女たちを表現したような、甘くて、ちょっぴりスパイシーで、色気のある楽曲の詰め込まれたアルバムに仕上がった。今回はメンバー全員にアルバム『HONEY』について、またデビュー10周という年月を経たことで生まれたバンドとしての変化など、現在の心境についてインタビューを敢行。今回は後半の模様をお届け！

――インタビュー前半ではMAMIさんとTOMOMIさんにアルバム『HONEY』の収録曲の中から、メンズジョーカー読者へのおすすめ楽曲を教えていただきました。引き続き、RINAさんとHARUNAさんにもおすすめの楽曲をお伺いできればと思います。

RINA「私は『ふたり』にします。これはロックチューンなんですけれど、歌詞の内容がもうすぐ付き合うだろうな、という関係性の2人のストーリーで。やっぱり女性って相手の気持ちがある程度わかっていても、男性からのアクションが欲しいだろうなと思って書いたんです。でも男性も緊張するだろうしみんな傷付きたくないから、なかなかその一歩は踏み出しにくかったりするだろうけど居心地のいい2人でいられている間は、男性からアクションを起こして女性の気持ちをちゃんと動かしてほしいなと思うので。好きな女性がいる方に聴いてもらって、ちょっと勇気を持って一歩を踏み出してもらえたらなと思いますね」

――では、HARUNAさんお願いします。

HARUNA「『ショートショート』で。今回のアルバム全体を通して、すごく歌い方に変化をつけたのですがこの曲が特にわかりやすく歌い方を変化させた作品なんです。かなり優しく歌っています。最初にMAMIからデモが送られてきて、まずプリプロをしたときに歌ったテイクが、ほぼほぼ本番でも使われていて。そのときのテイクをメンバーも気に入ってくれていて。いつもだったら、楽器のレコーディングをして、最後に歌を入れて、1曲仕上げるというやり方をしていくんですけれど、ちょっと順番が違って。すごい面白いつくり方ができたのも思い出深いです」

――同じ方が歌っているのかな？って思うくらい、曲によって歌い方が違いますよね。

HARUNA「できるだけその曲のテンションというか、その曲の持っている雰囲気とか歌詞に合わせようと思って、変えています」

――それは、『HONEY』のために見つけたスタイルだったり？

HARUNA「それもありますが、どちらかというと去年1年を通して得たものという感覚です。デビュー10年を迎えるに当たって、今一度自分のボーカルスタイルを確立させたいなという個人的な思いもあって。うちはメンバー全員が作詞作曲をするバンドなので、それぞれの味があっていいなと思うんです。なので、それに合わせた歌い方をもっと模索してみたい。私が歌うからこういう歌詞にしないととか、私が歌うからこういうキーでとか、そういう制限をしたくなくて。メンバーの好きに書いてきてもらった楽曲を、できるだけ表現しようというモチベーションで歌いました。SCANDALというバンドはどんな変化もできる、柔軟にやっていけるようなスタイルであるべきだなと私は思っているので。それには、ボーカルも変化していくべきだな、と」

――そういう挑戦ができるのは、バンドとしての絆が深い証ですね。

RINA「HARUNAがそういうモチベーションでいてくれるから、作詞の自由度もかなり増しました。『ショートショート』はまさにそうで、歌詞の冒頭でお金のことを歌っているんですね。かなり毒のある残酷な表現をしているのですが、HARUNAのかわいい、優しい歌い方のおかげでまろやかになっていて。ストレートに歌いすぎるとメッセージ性が強くなりすぎちゃうので、そういうバランスを取れるようになってきたのはSCANDALにとっても大きな変化です」

――今作に収録されている楽曲は、ほとんどがアルバムのための書き下ろしなんですよね。

RINA「そうですね、シングル曲や配信限定曲も含まれていますが、あとはこのアルバムに向けて書き下ろしました。順番的には「プラットホームシンドローム」が一番最後の方に出来たのかな？」

TOMOMI「失恋後の方が聴いたらかなりグッと胸に響くと思います」

――楽曲の制作スタイルはどのような流れが多いですか？

RINA「その曲によって全然違うんですが、基本はMAMIがメロディーとアレンジを含めたデモを送ってくれて、私が詞を付けて行くか、私が先に歌詞を送ってMAMIがメロディを作ってくれるパターンもあります」

MAMI「曲とメロディーを考えている間に歌詞が浮かんできたりすることもあるので、そういう場合はそのまま私が歌詞を付けることもありますね」

RINA「メンバー全員が作詞作曲をするので、色々な作り方が出来るところがSCANDALの強みかなと思います」

――今回のアルバムも、大人の女性の魅力を増していくみなさんの変化に合わせて、SCANDALの“今”がギュッと濃縮されたような作品に仕上がっていますが、今後も変化を恐れずに新しいことにチャレンジしていかれるんでしょうか。

RINA「そうですね、変わらない部分がしっかりあるからこそ、変化していけると思っています。毎年新しいバンドがデビューして、新譜もどんどんリリースされていく中で、SCANDALだけを好きでいてもらうことってすごく難しいなと実感していて。なので現状に甘えず、私たちの方からどんどん新しい場所に打って出て、勝負をし続けて行きたいなと思っているんです。去年は47都道府県ツアーをして、フェスシーンで活躍しているバンドと対バンさせてもらったりと、かなりタフな1年だったんです。でも、なかなか行くことのできなかった都道府県や小規模なライブハウスをちゃんと周りきることができたことで、SCANDALに欠けていたものが少し埋められたような気がしていて。その経験をしたことで、バンド的にはすごく良い状態でデビュー10周年を迎えられそうです」

――近年、勢いのあるガールズバンドが次々とデビューしていて、また新たなガールズバンドシーンが広がりつつあることを感じますが、意識されたりすることもあるのでしょうか。

RINA「シーンが盛り上がっていることはとてもうれしいんですが、自分たちがどうにかしたい、盛り上げたい、みたいな意識はあまり持っていないかもしれません。すごいシンプルなんですけど、SCANDALが良いバンドであり続けることだけを考えているかも。今の自分たちが出来ることを120％で出し切って、自分たちも楽しくて、聴いてくれる人たちも楽しい気分になってもらえることが一番うれしい。やっぱりそれに尽きますね」

HARUNA「そうだね、そこだけは間違いなく」

――そこは気負いなく、シンプルな気持ちだからこそ、長く続けられるのかもしれませんね。

RINA「シーンに対しての気負いみたいなものはないけど、盛り上がっていることは単純にとてもうれしいです。男性でも女性でも、バンドは出来るし、かっこいい音が鳴らせるんだなって私たちも他のバンドを見て感じます」

――それこそSCANDALさんに憧れてバンドを始めたという方も多そうです。メンバーのみなさんで、5年後、10年後のヴィジョンについて話し合ったりすることもありますか？

HARUNA「しますけど、正直そこまで先のことは見えないので。今を一生懸命、出来ることをやって行くしかないな、とは思っています」

TOMOMI「考えられて、ギリ2年後って感じなので（笑）。先の話と言っても、それくらいかなあ」

RINA「ライブ会場を抑えなきゃいけない都合もあるしね（笑）」

――これから先のことはわからないですもんね。でも、やっぱり長く続けたいという思いは持っておられますよね。

RINA「出来るところまでは、続けたいですね。ガールズバンドのギネス登録されている最長記録が17年らしいんですよ。それって、結成30年の方とかもいらっしゃる男性のバンドに比べたらかなり短くて。だから私たちが、ガールズバンドの寿命を延ばしていけたらいいな、という思いもあります」

――何歳になってもかっこよくライブするみなさんを見続けられることを楽しみにしております！ 3月3日からアルバム『HONEY』を引っさげた全国ツアーもスタートしますね。

HARUNA「はい、今年も昨年と同じくライブを中心とした活動が多くなると思いますが、今年は海外でもライブをしたいです。毎年なんらかの形で向こうでライブをさせてもらっているので、またそういう機会を増やしていけたらうれしいですね」

――もう次回作の構想などはあるんでしょうか？

RINA「まだ全くなくて（笑）。曲も今から作ろうと思っているくらいで、まずは『HONEY』を聴いてもらったリスナーの反応や、ライブでの手応えを感じながら、また次回作のサウンドや雰囲気を考えたり、どんなビジュアルにするのか連想していけたらな、と考えています」

 

『HONEY』
エピックレコードジャパン
2018年2月14日（水）発売

記念すべきバンド結成10周年を祭囃子のように彩り、今やライブの定番曲になった「テイクミーアウト」や デジタルシングルとしてiTunesチャートでも堂々の1位を獲得し、ランキングを賑せた「恋するユニバース」 、ソリッドで疾走感あふれるモダンでモードなサウンド感を取り入れた「プラットホームシンドローム」など全曲メンバー作詞作曲で、恋の衝動や高揚と感傷的で切ないストーリーなど恋愛をテーマにした楽曲を多数収録。 色気や甘さなどガールズバンドだからこそできる表現を詰め込んだ8枚目のオリジナルアルバム。

▲完全生産限定版［CD＋Tシャツ］
ESCL4957〜ESCL4958
5700円（税込み）
※AMIAYAプロデュースのオリジナルフォトTシャツ付き

 

▲初回生産限定版［CD＋DVD］
ESCL4959〜ESCL4960
3700円（税込み）

 

▲通常版（初回仕様）［CD］
ESCL4961
3200円（税込み）

Profile
HARUNA（Vocal＆Guitar）、MAMI（Guitar＆Vocal）、TOMOMI（Bass＆Vocal）、RINA（Drums＆Vocal）からなるガールズバンド。2006年8月に結成。2008年10月にシングル「DOLL」でデビュー。これまでにリリースしたアルバムは7作連続でTOP5入りを記録し、ガールズバンドシーンを牽引。近年では日本のみならず、海外にも活動の場を広げ2015年には単独ワールドツアーを成功させるなど、実力派バンドとしてタフに活動中。

 

SCANDAL OFFICIALサイト
www.scandal-4.com

アルバム特設サイト
www.scandal-honey.com

 

写真／河田浩明　取材・文／加藤 蛍