2018.03.20 Tue UPDATE CULTURE

2011年~の客演曲のベスト盤を発表! 
SKY-HI インタビュー

日本語ラップ界屈指の高速ラップを武器に、ソロ名義「SKY-HI」でも活躍するAAAの日高光啓。3月21日には、これまでの客演曲を中心に集めたコラボレーションベストアルバム『ベストカタリスト -Collaboration Best Album-』が発売となる。同作と、現在開催中のツアー『SKY-HI TOUR 2018-Marble the World-』について話を聞いた。

 

――SKY-HIには膨大な数の客演曲がありますが、こういったベスト盤を作る構想は以前からあったのでしょうか。

SKY-HI(以下略)「2013年のソロメジャーデビューの時点で50曲くらい客演曲がありましたし、「まとめて聞いてもらう機会を作りたいな」とはずっと思っていました」

――アルバムには19曲が収録されていますが、一番時期が古いのはBRIGHTの「BAD GIRL!! feat. SKY-HIAAA)」(20111123日リリース)ですね。

あー、そんなに前になるんですね。ホント、いろんな客演をやってきたので、どの曲が何年の曲なのか、Wikipediaの参加作品リストを見ないと思い出せないんですよ(笑)。そのリストだと最初の客演が2010年ですけど、もっと前にもやっていた記憶があるんだよなぁ。はじめてのオフィシャルでの客演はKEN THE 390の「What’s Generation feat.RAUDEF, SHUN, KOPERU, 日高光啓 a.k.a.SKY-HI」(2011223日リリースの『ONE』に収録)で、自分でもメチャクチャ懐かしいです」

――その頃のラップを聞き返すと、自分のラップも変わったと感じますか。

「正直、もう聞きたくないですね。恥ずかしくてしょうがないから(笑)。今回のアルバムに収録した新曲の『One Night Boogie』や『何様』『ハリアッ!』でも、自分の恥ずかしい部分は出していますけど、そのレベルの恥ずかしいじゃないから」

――具体的にどんなところが恥ずかしいんですか?

「もう全部ですね。言葉の使い方も、些細なリズムのタメも、クリアじゃない発声の感じも。ピッチ感はまあギリギリ取れているけど、「何でこんな力んでるんだよ!」と思う曲もあるし、色んなことが気になってしょうがないんですよ。でも、今聞くと逆に面白いと感じた曲もありますね」

――今回のコラボベスト収録の曲だと、どれが特に面白く感じましたか。

「たとえばtofubeatsの『Fresh Salad』ですかね」

――この曲はtofubeatsのトラックも、日高さんのラップも抜群にカッコいいですよね。「やっかみだとしか思えない言葉じゃ俺は殺せません」っていうリリックも良かったです。

「『Fresh Salad』は自分でも面白かったです。あとKEITAくんの『Slide ‘n’ Step -Extended Mix-feat. SKY-HI(AAA)』もよかったし、「最近こういうイケイケで無敵感があるバース書いてないな」って思いましたね」

――KEN THE 390との共演曲『Turn Up feat. T-PABLOW,SKY-HI』も本作には収録されていますが、2人の共演作はとても多いですよね。

「KENさんとは、もう5万曲くらい一緒にやってるんじゃないですかね(笑)。最初に会ったのは俺が1819くらいの頃で。当時は、100人入ったらパンパンになる渋谷のFAMILYでライブをしていたんですけど、そこでKENさんがレギュラーで出ていたんです。それでデモCDを聞いてもらったり、俺のライブも見に来てくれてたりして。俺が日本のHIPHOP界隈で最初にバズッたときも、KENさんがフックアップしてくれました。最初にKENさんとやった「What’s Generation」は223日のリリースなんですけど、自分の誕生日の1212日にブートの曲を聴いて、1222日くらいにスタジオに呼んでもらったのも覚えてます」

――それが2010年~2011年頃なんですね。

「そうですね。「What’s Generation」のおかげで上手くキャリアをスタートできたし、KENさんにはその後もライブに呼んでもらってて。去年の年末に渋谷のVISIONでライブしたときも、一緒にできる曲がありすぎて、2人で1時間弱くらい普通にライブできましたね。このアルバムの初回盤に収録しているライブ(『SKY-HI Round A Ground 2017』の2017.12.12 at TOYOSU PIT- SKY-HI & HIPHOP STARS)でもKENさんとやった曲があるんですけど、KENさんとステージに立つと安心するし、メチャクチャ楽しいんですよ。ラップのかけあいでも、お互いが何を言うか超分かってるから、それをステージでできるのが面白くて。逆にSALUとやるときは「負けらんねえ!」って気持ちとか、いい緊張感があって気合も入るんですけど、KENさんとのライブは凄く楽しいです」

――今回のアルバムではHIPHOP界隈の様々な人達と共演をしていますが、サイプレス上野とロベルト吉野との『メリゴ』ではボーカリストとしてフィーチャーされていますよね。

「あれは衝撃的でしたね。それこそKENさんとかと同じ時期からクラブでかわいがってくれていた先輩で。その初のフューチャリング・オファーが「ラップ禁止」っていう(笑)」

――サビでは見事なボーカルを披露していますが、「あれ、ラップはしないの?」と思いました(笑)

「『日高、ラップしないで』って言われたんですよ。だから2番ではせめてもの抵抗で、「報われる時なんて来ないんじゃないかって」という部分に、できるだけ言葉を詰め込んで歌いました。でも俺を呼んでくれた理由も、何がやりたかったのかも分かるいい曲だったし、求められたものは出せた曲だと思います」

――今回は新曲が3曲入っていますが、まず「ハリアッ! -Fast Fly Ver.- feat. 尾崎裕哉 & KERENMI」では日高さんのファストラップが炸裂してますね。

「『ハリアッ!』も、『何様 feat. ぼくのりりっくのぼうよみ』もそうなんですけど、ボーカリストと組んだ曲では「たくさん刻んでほしい」「ファストラップをやってほしい」と最近よく言われるんです。特に『ハリアッ!』は、もともと速いラップに合うビートがあったから、とてもやりやすかったです」

――本作のリリースに合わせて『SKY-HI TOUR 2018-Marble the World-』も開催していて、今はツアーの真っ只中ですね。

「この2年はオリジナル・アルバムの発売に合わせたツアーをやっていたので、違う形のツアーをやりたかったんですよ。アルバム・ツアーは『原作漫画の実写版』みたいな感じで、アルバムで作ったストーリーを視覚化したり、そこに込めたメッセージをさらに磨いて見せたりできるのが面白いんですけど、今回は純粋なエンターテイメントとしてのライブを見せたくて。イメージの原点にあるのは、20分で7曲をやったのか、20分の曲を1曲だけやったのか分からない感覚で、ずっと踊っちゃうようなジェームス・ブラウンのライブ。あと、そこに視覚的な楽しさも足していったブルーノ・マーズとか、もっと言ったらマイケル・ジャクソンとか。そういったアーティストたちのような、エンターテインメントに特化したライブをやりたかったし、今回のライブは遊びも多いし、言っちゃうとマイケルを歌います」

――おお! ちなみにどんな曲をやるんですか?

「言っちゃうと『Beat It』を歌います(笑)。今回のアルバムに収録の新曲『One Night Boogie feat. THE SUPER FLYERS』をやりながら、その歌詞から『Beat It』につなげる……っていうのをどうしてもやりたくて」

――まさに息も付かせぬ展開で曲をつなげて、お客さんに踊ってもらうわけですね。

「その『Beat It』の部分は、1曲が20分くらいの長さになりますからね。今回のライブは2時間15分くらいで、セットリストは35曲あるんですけど、体感的には7曲です(笑)」

――いまお話のあがった『One Night Boogie feat. THE SUPER FLYERS』は本当にファンキーなナンバーで、10人以上のメンバーたちとライブで盛り上がっている絵が浮かぶ曲でした。

「僕はTHE SUPER FLYERSと1曲でも多く一緒に曲をやりたいんですよ。でも大所帯のバンドだし、そう頻繁には集まれないから、アルバムとツアーがある今の時期はいいタイミングだと思って。『One Night Boogie』は、サビのメロディもない状態から一緒にスタジオに入って曲を作りました」

――THE SUPER FLYERSDJもいる編成ですが、最初からステージを意識した編成だったんですか。

「それもありますけど、違う部分もありますね。僕は1819歳くらいの頃にはドラムでバンドをやっていて、その頃から気づくと8ビートを刻んでいるような人間なんですよ(笑)。あと、その頃に出ていたイベントでは、スナッチというジャズバンドと一緒に曲をやったこともありましたし、DJ HIROKINGがソウルやファンクのパーティをバンドでやるときも、立ち上げに誘ってくれて。そのパーティでは、バンドがどんどん交替していく中で自分だけステージに立ち続け、6時間立ちっぱなしでフリースタイルをしたこともありました(笑)」

――それは楽しいけどキツそうですね(笑)

「意味分かんないでしょ?(笑)。そのライブをやっていた当時は、音楽シーンのディスコ回帰のはじまった2013年頃。Daft Punk featuring Pharrell Williamsの『Get Lucky』もヒットしていたので、「何か時代と噛み合ったな」という感覚でライブをしていました。その頃に「バンドと一緒にツアーをできるように、頑張ってツアーを大きくしよう」と思って、実際に1年もたたずにツアーができて、「これだ!」って思ったんですよね」

――バンドと一緒にやる楽しさがより分かってきたと。

「そうですね。あと、自分の作った音楽をバンドと共有するのは、自分が裸になる感覚なんです。リハーサルのときには、自分で作ってきた曲を1回分解して、それが作られた構造を共有して、そこから再構築をしなきゃいけないから。恥ずかしさもあるし、生半可な神経じゃできないことなんですよ。僕も毎日ポジティブな人間じゃないし、後ろ向きの気持ちのときもあるんですけど、それを演奏で共有してくれるTHE SUPER FLYERSがいることは大きくて。彼らとならどこまででも行ける気持ちにいつもなるし、大体のことはリハを1回すればポジティブに転換できる。THE SUPER FLYERSはそういう存在ですね」

――ソロでラップをするときとはぜんぜん違う感覚なんですね。

「もちろんDJとも息を合わせますけど、バンドの生演奏と一緒のときとは感覚が全然違いますね。あと、バンドと一緒の時はリハで考えることも多いです。ドラム一つでも、原曲通りに叩いてもらわないと気持ち悪い曲もあれば、原曲にはないところでフィルを入れてもらった方が盛り上がるときもある。そういうのを1個1個丁寧にやるから、リハがいくらあっても時間が足りないんですよ(笑)。逆に言うと、それを一生やってられるくらい楽しいで。真面目に一緒に曲をやっていくと、全部のメロディ、全部のコード、全部のリズムにやっぱり意味があることが分かるし、それを共有するのは、どんな会話より濃厚で楽しくて終わりがないんですよね。居酒屋でオッサン同士が管を巻く会話が終わらないのと同じです(笑)」

――アルバムの初回盤のDVDBlu-rayにはライブの映像も入っていますね。特に注目してほしいのはどのあたりでしょうか。

「もう全部を見てほしいですけど、曲ごとのテンションの違いを見るのは面白いんじゃないですかね。先輩たちと一緒の『Lego!!』 (SKY-HI, KEN THE 390, TARO SOUL, サイプレス上野)は超楽しいし、SALUJP THE WAVYとの曲は友達と一緒のノリがある。RAU DEFT-Pablowといった後輩と一緒の曲もあるし、それぞれ違う面白さが自分でもありました」

――HIPHOPの上の世代から下の世代まで、ここまで多彩な面々が集まる作品も珍しいですよね。

「ありがたいですし、マジでみんな見たほうがいいですよ(笑)。出ている人は当たり前に凄いスキルがあるし、分かりやすく上手。ライブの映像を見るだけでも楽しいと思います」

――一方で現在開催中のツアー『SKY-HI TOUR 2018-Marble the World-』のほうは、踊って楽しめるライブなわけですね。

「あまり余計なことを考えないで楽しんでほしいですね。「頭カラッポの方が夢詰め込める」じゃないですけど、そのほうがメッセージも届くと思うんですよ。何も考えないでよくなるくらいエンターテインしてもらえるライブにしたいし、世界を探しても他で見れないようなライブにするので楽しみにしてほしいです」

 

SKY-HIのインタビュー後編は、明日3月21日(祝)公開!ソロデビュー前にバトルに出ていた時代を振り返るインタビューは必見です!

 

SKY-HI

『ベストカタリスト -Collaboration Best Album-

2018321日発売

Catalyst (触媒) = 語リスト= SKY-HIMICで引き起こす未知なる科学融合反応。SKY-HIがジャンルの垣根を越えて様々なアーティストとコラボレーションを行ない、創り上げられた楽曲と、自身のバンドTHE SUPER FLYERS、ぼくのりりっくのぼうよみ、尾崎裕哉&トラックメーカーKERENMIを迎え新たに制作されたコラボレーション楽曲3曲をコンパイルしたCollaboration Best Album

<商品形態>

mu-moショップ / AAA Party / AAA mobile専売商品 <初回生産限定>
CD+DVD(スマプラ対応) / 5,800(+TAX) / AVC1-93847/B
CD+Blu-ray(スマプラ対応) / 5,800(+TAX) / AVC1-93848/B
三方背ケース仕様 /ミニ写真集(4C / 52P) / 特製ステッカー付
CD+DVD(スマプラ対応) / 5,500(+TAX) / AVCD-93844/B
CD+Blu-ray(スマプラ対応) / 5,500(+TAX) / AVCD-93845/B
初回盤:JKTサイズステッカー封入
CD(スマプラ対応) / 2,800(+TAX) AVCD-93846
初回盤:JKTサイズステッカー封入

Text:SEIICHIRO FURUSAWA

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