商標登録から逃れる人生

―尾高産業の建築パズルだ。

東京タワーと城の2点セット。1960年代、日本が誇るふたつの象徴を一緒に楽しめるという贅沢な組み合わせだ。「メッキ付」という”売り”が当時のステータスを体現している。東京タワーはともかく石垣の上に不釣り合いなバランス感で描かれた城の絵が特徴的。しかも東京タワーというような固有名詞ではなく、あえて漠然と「城」というのもポイント高い。

さて、

そんなこのキットには耳慣れないワードがパッケージに大きく記されている。

-建築パズル-

これは一体どういう意味なのだろうか。実はこの当時、「プラモデル」という単語がマルサンによる登録商標だったためにその名称が使えず、尾高産業は「建築パズル・プラスチックパズル」と銘打った訳だ。言い得て妙、建築パズルとはよく言ったものだと感心する。言いたい事はよく判る。だが、いまいちピンとこない。他メーカーも同じように名称をいろいろ変えていたのだが、やはりプラモデルという完成されたネーミングが秀逸な訳で1975年日本プラモデル工業協同組合に移譲されてからは組合員は自由に使用できるようになった。

もし、商標登録がいまだにガチガチだったとしたら今頃「バンダイのプラモデル」も「バンダイのプラプラパズル」みたいなキャッチコピーだった可能性もあるのだ。

ちなみに「プラモデル」を商標登録していたマルサンから発売されていた

※ニッチプラモは以前この連載でも紹介しているので合わせてどうぞ。

第三十二回【邦題でキメる人生】http://mensjoker.jp/culture/8063

※ニッチプラモ
カテゴリー分けすら難しいニッチ(隙間市場)な需要を持つプラモデル。絶版・現行品問わず。

PROFILE
エンドケイプ
板野友美さんの唄う映画イマジネーションゲーム主題歌『イマジネーションゲーム』・りゅうちぇるさん×カネボウ化粧品suisaiCMソング『TRUE TRUE』やジョジョの奇妙な冒険4部オープニング曲『Great Days』等の作詞家でクリエイター
TV出演「笑っていいとも」「めざましテレビ」「モーニングバード！」「スッキリ!!」「Nスタ」「月曜から夜ふかし」他多数
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