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2017.01.24 Tue UPDATE CULTURE INTERVIEW

塩ノ谷 早耶香が語るNewALBUM『Mist-ic』の世界

塩ノ谷 早耶香が語るNewALBUM『Mist-ic』の世界

霧のような声が奏でるひとつの恋の物語

 1月25日(水)に塩ノ谷 早耶香のファン待望、2ndアルバム『Mist-ic』が発売される。1月27日(土)公開の映画『イタズラなKiss THE MOVIE 2~キャンパス編~』の主題歌『BELIEVING』を中心に、恋の始まりから終わりまでを歌で描いた、ストーリー性の高い1枚だ。
「私は90年代の音が大好きで、今回のサウンドにも反映させているんですけど、『イタキス』もちょうどその時期の漫画が原作。頑張ってるんだけどちょっと空回りしちゃうような女の子が主人公のラブコメだから、私が学生時代にしていたような妄想を詰め込んで製作しました(笑)。ただ、たとえそうしてドキドキするような楽しい恋愛が始まったとしても、油断するといつの間にかカタチが変わって、もしかしたら消えてなくなってしまうかもしれない…。という想いをもとに、このアルバムには楽しい新曲のほかにも、これまでに出した曲から恋愛の流れに合った曲を再収録して、1つの物語に仕立て上げたんです」
 2010年代の音楽よりも、トラックが薄めのシンプルなサウンドが、塩ノ谷のボーカル力を際立たせて逆に新鮮。と思えば、「恥ずかしがり屋的な?」といったかわいらしいモノローグがセリフとして挿入されるような、どこか懐かしい仕掛けの曲もある(M-3『YOU & ME』)。スタッフと話し合いながら、これらすべての方向性を決める彼女の自己プロデュース能力は毎度目を見張るものがあるが、その俯瞰の視線はどこから生まれるのだろう。
「“人は鏡”っていうけど、自分以外の人と話していると、『あ、自分ってこう考えてたんだ~』って再発見できるし、その人に自分がどう思われているかも分かりますよね。それで『似合う』と言われたものは、食わず嫌いせずに挑戦していきたいと思ってるんです」
『BELIEVING』では、彼女のライブではお馴染みのダンス・パフォーマンスもMV初披露。「ダンスがあることによって、より歌詞に耳が行く」ことをあらためて発見した。また、このDVDと連動したフォトブックでは、乙女心を持つ人間は初めてのデートの前夜に誰もが開催するであろうセルフ・ファッションショーをコンセプトに、さまざまなスタイルに挑戦。もちろん、アルバムのジャケット写真も彼女のセンスによるもの。ガーリーな衣装、憂いを秘めた表情、部屋の中というシチュエーション、背景の風船の色に至るまで、すべてに意味が込められているという。
「楽しいこともあれば、涙もあるし焦りもある、そんな恋愛の表情を風船のカラーで例えていて。その1つひとつを塩ノ谷 早耶香が束ねて一つの部屋の中に管理して、アルバムとして皆さんに届けたいなと思ってこういうパッケージにしました。ガーリーさも残しつつ、ハッピーなだけじゃない大人の憂い…つまり“Mist-ic”=ミステリアスな感じも出したくて、そのニュアンスにもちょっとこだわっています」
 ハイフンが気になるタイトルの『Mist-ic』は、塩ノ谷がオーディションで「自分の声はどういう声だと思う?」と聞かれて答えたという“じんわりと心に染み込んでいくように歌う声”=ミストボイスと、Music=音楽を合わせた造語だ。塩ノ谷にとって欠かせない、大事な言葉を掲げた渾身の1枚だと分かる。歌詞では敢えて核心を突かせないことで、さまざまな人々の共感を誘うミステリアスな彼女の世界観を、この機会にぜひ堪能してほしい。

 

経験と妄想が創る塩ノ谷 早耶香の世界

 プライベートでは、聴く音楽にも読む漫画にも「自分に経験できないもの」を求めるという塩ノ谷。現在ハマっているものについて尋ねると、意外なほどの熱で回答が返ってきた。
「少年漫画が大好きなんですよ。『ONE PIECE』(作・尾田栄一郎)が大好きで、あと『HUNTERXHUNTER』(作・冨樫義博)とか『トリコ』(作・島袋光年)とか『弱虫ペダル』(作・渡辺航)とか…。少女漫画もすごく読みます。ただ、女子モードになってるときは“いいな~♪”ってときめく展開も、冷めてるモードだと“行くとこ行っちゃってるな…”と思うから、調子のいいときだけ読んでいます(笑)。同じ“行くとこ行っちゃう”感じでも、冒険系には“もっと行ってほしい!”って思いますから、私、冒険に出たいんでしょうね…」
 読みながら「次元の違う冒険の中に、友情や愛とかがうまく含まれててすごい!」「作った人の頭はどうなってるんだろう!」と感動するという塩ノ谷。自分の中で“次元の違う物語”を創り出してみたことは?
「あー…、妄想が好きなので、例えば『ONE PIECE』の中に自分を登場させてみることもあります(笑)。といってもルフィの一味じゃなくて…ルフィたちが航海中に、あるはずのない島を見つけるんですよ。そこに住んでるのは、たった1人で森を管理して守ってる人間の私だけ。で、最初はルフィたちのことも『森を汚しに来たやつらだ』と思って森を操る能力で戦うけど、戦いの中でいいやつらだって気づくんです。それで仲良く宴とかして、最後には仲間に誘われるんですけど、私は森を守らなくちゃいけないからバイバイするっていう…」
 …なんて具体的で、肉付けたら映画にできそうなエピソード! そういえば『BELIEVING』の詞を学生時代の妄想の世界だと語っていたが、その妄想力の源は?
「一人っ子で、ちっちゃい頃から1人で遊んでることが多かったので、基本脳内で全部を完結させて妄想で遊ぶっていうか…一人芝居が好きだったみたいで。例えば、ある日お母さんがふと見たら『行かないで~!』って言いながらボロボロ泣いてたらしくて…どうしたのって聞いたら『ママが今飛行機で飛び立ったの!』って言い出したから、『怖いな』って思われたっていうエピソードが…(笑)。ちっちゃい頃からそういう妄想が好きなんですよね。妄想、本当に楽しいです」
 そんな彼女の健康や美の秘訣は?
「もちろん食べ物とかも気にしていますが、一番は心の状態を良くすることかなと思います。心が疲れていると肌にも表情にも出ちゃうし…私がいいなと思う女性って、観察するとずっと笑顔でキラキラ輝いていて、心に余裕があるんですよ。ライブや撮影に、そのコンディションをいかに合わせるかっていうのも大事だと思いますし、アーティストとして心にセーブを掛けず、悲しいときは悲しいし、楽しいときは楽しいし、ムカつくときはムカつくっていうのも自分の中では止めないようにするのも大事。それを言葉に出しちゃうのはまた違うと思うんですけど(笑)」
「言葉や態度に出しちゃう人もストレートで素敵だし憧れもあるけど、私は周りがつらくなることも逆にストレスになる性質だから、言わないで思っているくらいが一番ストレスフリー」と語る彼女。人には迷惑を掛けないその姿勢は、彼女の失恋ソングの傾向にも表れる。基本的に、終わってから相手の気遣いや優しさに気づいて悔やむシチュエーションが多いのだ。
「そうですね~。実際私は『理解し合えなかったのは、相手が悪いというより、自分に何かが足りなかったんだ』と思っちゃうんです。浮かれて分かんなくなっちゃって、別れるまで気づけなかったっていう切なさ! そういう思いに共感してくれる人も多いと思います」
 2016年は2月のフィンランドでの“うた修行”から始まり、多くのリリースとリリースイベントで着実に経験を重ねた彼女。ようやく実現した大緊張の単独ライブ(「塩ノ谷 早耶香LIVE 2016~always with you~」『Mist-ic』初回限定盤TYPE-AのDVDに収録)に続いて、2017年は単独ツアーも…と夢が広がる彼女だが、そのベースとなるその精神性は変わらない。
「私はどんなに大きくなっても、“私についてきて!”っていうより、みんなと一緒に発見して、一緒に挑戦して、涙も笑顔も一緒に経験しながら、一歩一歩進んでいきたいって思っています。ずっと応援してくださっている方も、今回初めましての方も、ここから一緒に歩いていっていただければいいなと思います」
 すべて彼女自身の妄想と経験、アイディアとこだわりから始まっているからこそ、高い発信力と共感性を持つアーティスト・塩ノ谷 早耶香の世界。たゆまぬ挑戦の続く彼女の2017年に期待だ。

 

※ALBUMに関する詳細は2月10日発売のメンズジョーカー3月号をチェック!

 

【プロフィール】
1994年3月12日生まれ、福岡県出身。2011年、「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3~For Girls~」で3万人の中からファイナリストに。2012年「KING RECORDS Presents Dream Vocal Audition」でグランプリ受賞。以降精力的に活動中。

 


『Mist-ic』

KING RECORDS/初回限定盤TYPE-A{CD+DVD} 4000円
1月25日発売
リード曲「BELIEVING」などの新曲に、シングル「魔法」「SMILEY DAYS」や2015-2016年に発表した楽曲を再収録。1篇の恋愛映画のような構成になった。初回限定盤TYPE-Aに2016年7月の初ワンマンライブ映像を、TYPE-BにはMV集と別冊フォトブックを封入。

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