レザーは新品の状態ではまだその本領を発揮していない、いわば未完成の状態だ。適切な手入れをしながら普段の生活のなかで着込み、ヤレやアジが出てからやっと完成する。自分のライフスタイルが刻まれたレザーは本当の意味での一点モノだ。
レザーシューズは使い込んで育てる、第一線で活躍し続けるファッショニスタがオススメする3足
フルベジタブルタンニンなめしのイタリアンカウハイドを使用した長財布。コバ磨きを丁寧に施しており、エイジング後もダーティにならないのも嬉しい。
新品価格3万4000円/モト(レザー&シルバー モト)
使用年数:約4年
使用頻度:毎日
手入れ:2ヶ月に1回乾拭きとオイルアップ
繊維が緻密で硬質な銀面とシボ感が特徴のゴートスキンを使用したサコッシュ。シボ感の異なる革をパッチワークすることによって、経年変化にもアクセントが産まれている。
丈夫で風合い豊かなイタリアンサドルレザーを使用した2つ折りウオレット。内装には名門タンナーであるテンペスティ社の革を使用し、表と裏でエイジングの違いを楽しめる。
革人形作家の本池秀夫を父に持つ兄弟が手がけるシルバー&レザーブランドの〈モト〉。そのアーティスティックなプロダクトには男女を問わず多くのファンが存在するが、その魅力のひとつが確かな素材選びとオリジナリティあふれる染めのテクニックによる美しくもトリッキーな経年変化。
丁寧な縫製とパターンワークによる繊細さすら感じる新品の状態から、使い続けるにしたがってどんどんと野性味を帯びた表情へと変化していくのが持ち味だ。
「シーズンごとに決まった数を製作するのではなく、アイテム作りに最適な革が手に入った時にのみ作っています。このロングウォレットはボタン部分にオリジナルのシルバーコンチョを使用しており、革のみならずパーツの風合いの変化も楽しめます」(本池氏)
その経年変化で驚かされるのが、色合いの変わりようだろう。イタリアンカウハイドを染料染めすることでトーンカラーを表現しており、革本来の色味を活かしたカブセ部分はアンティーク風合いへと変わり、本体部分のターコイズブルーはダークグリーンへと変化した。新品からは予想がつかない色合いへと変わるエイジングこそが〈モト〉の魅力だ。
革人形作家の家系に生まれ、幼少から革に親しんで育つ。弟の作人とともに97年に〈モト〉を立ち上げる。イタリアで学んだ彫金技術を駆使し独創性あふれる作品を製作する。