―― 長編映画デビュー作となった『渇き。』で一躍注目を浴び、その後も『バクマン。』や『黒崎くんの言いなりになんてならない』と立て続けに話題作へと出演し、スクリーンで圧倒的な存在感を放つ小松菜奈。これまでは小悪魔系やしっとりしたヒロインを演じることが多かった彼女が、今作では三つ編みのおさげに丸眼鏡、ジャージ姿の寺沢カオリ役を熱演。今までとはまた違う、新たな一面を披露している。
「カオリは普通の女子高生ですけど、観察眼に優れていて適応能力が高く、自分がどの位置にいればよく見えるのかが分かっている頭の良い女の子。一歩下がって仲間を見つめている母親的な部分もあれば、東出昌大さん演じる中津に恋心を抱く少女っぽいところもあって、いろいろな一面を持った女の子です。今まで演じたことのないようなぶっ飛んだキャラクターだったので、すごく新鮮でしたね。豊島圭介監督からは、『峰不二子みたいなポジションでいてほしい。味方なのか敵なのかよく分からない存在の方が、魅力的に見えるから』と言われていました。
決めポーズも多かったんですけど、私は事前に準備して狙って現場へ行くと、『考えてきたな…』というのが表情や仕草に出てしまうんです。なので、あまり考えすぎずに現場に入り、その場で感じるまま、自由に演じることを心掛けていました。物語の後半に、船越(英一郎)さんに蹴りを入れるシーンがあるんですけど、あのキャラだからこそ、蹴ることができたんだと思います(笑)。
撮影現場は和気あいあいとしていて、すごく楽しかったですね。みんなで買い物に行くシーンではいろいろなアイテムを持たされたんですけど、そこでどれだけアドリブできるか、みたいな感じで。キャストも天然の方が多く、会話してもふわふわした感じでまとまらず、自由だなあと思うことが多かったです(笑)。気を張る必要がなくて、とても居心地の良い現場でした。
この作品はいわゆるハリウッド映画みたいに、突出した能力を持ったヒーローが悪者を退治するわけではなく、下着泥棒だったりヘタレだったり、平凡でダメな人たちが集まって活躍する新しいヒーローものだと思います。みんなが持っている武器もガムテープだったり、トンカチだったり、ワイヤーだったりして、良い意味でくだらないというか(笑)。ひとりひとりのキャラクターが濃いですし、衣装や美術も凝っていて、また観たいと思える作品だと思うので、映画が公開された後の反響が楽しみですね。私自身、今回のカオリのように、みんなのイメージとは違う役をやりたいと考えているので、新たな一面を見ていただいて楽しんでもらえたらうれしいです」
【PROFILE】
1996年2月16日生まれ。東京都出身。2014年に『渇き。』で長編映画初出演を果たし、日本アカデミー賞 新人俳優賞など数々の賞を受賞。以来、『近キョリ恋愛』『予告犯』『バクマン。』『黒崎くんの言いなりになんてならない』などに出演し、目覚ましい活躍を続ける。『ディストラクション・ベイビーズ』が5月に、初主演を務める『溺れるナイフ』が秋に、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』が冬に公開予定。
『ヒーローマニア-生活-』
フリーターの中津は、謎の身体能力を誇るニートの土志田、情報収集力抜群の女子高生カオリ、“若者殴り魔”の顔を持つサラリーマンの日下と街の自警団を結成。次第に巨大組織化していくが、その力を私利私欲のために使う者も現れ、秩序は崩れていく…。
監督:豊島圭介、出演:東出昌大、窪田正孝、小松菜奈、片岡鶴太郎ほか。5月7日[土]より、新宿バルト9ほか全国ロードショー