長年ロシアの時計メーカー「ボストーク」が好きで集めている。
特に収集しているシリーズは1991年ソビエト連邦崩壊前のモデルで膨大な数が出荷され、とてもたくさんのデザインが世の中に出回った。
亜種も多く、その全てを把握するのは極めて難しい状態だ。しかも本家であるボストークが既に破産して所有権が分散しているためその全容を知る者は地球上に存在しない気がする。
海外の熱心なコレクターでさえ、WEBで公開していた僕の持っているボストークのひとつを「初めて見た」と言うくらいだ。
そんなボストーク、軍公式時計も多く生産しているのでミリタリーウォッチとしても有名であるが、その多くはミリタリー風お土産時計である。
一時期日本でもブームになり90年代に東急ハンズで専用コーナーが設けられていた時もあるくらいだ。
決して高級な訳でもなく、細部も雑なところがある。しかも手巻きだ。
〝だがそれがカッコいい〟
日本やアメリカではとても真似できない盤面デザインに色彩、適当な蓄光塗料、そしてキリル文字から漂う工業製品臭さにレッドスターがたまらなくクールである。
こうして集めていると時計というよりなんだか機械の部品を並べているようで非常にワクワクする。
同じデザインに見えても右の時計は文字盤下にЗАКАЗ МО СССРと記されている。これはソビエト連邦国防省発注品で、軍隊支給や海外大使館職員への配給等に用意された物で通常のモデルよりも価値が上がる。
正規デザインもあれば、ソ連崩壊のどさくさに紛れて文字盤やケース、ベゼルを勝手に組み合わせ流出したツギハギモデルも存在すると思われる。
先に述べたように種類も多く謎だらけである。そして部品の替えがない事など、マイノリティな理由で日本国内でオーバーホールを受け付けてくれる店はごくわずかだ。
そういう部分ひっくるめてボストークコレクションには終点がない。だから楽しい。
PROFILE
エンドケイプ
作詞家・クリエイター・バナナーティスト
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