MJ CULTURE

2017.05.23 Tue UPDATE CULTURE INTERVIEW

今月の音楽のハナシ。 サンボマスター

今月の音楽のハナシ。 サンボマスター

今を「生きる」人に捧げる
世界で最もヒップな作品

 魂に響く熱い愛あふれるメッセージを、疾走・グルーヴ感のあるバンド・サウンドで表現。「日本語ロック」の新しい道を提示し続ける、サンボマスター。2年ぶり9作目となるアルバム『YES』は、彼らのロック(音楽)への思いが、ストレートに伝わってくる仕上がりだ。
「現在だと、機材が進化して簡単に音を圧縮できたり伸ばしたりすることができるけど、今回はそういうのを使うのはやめようと。そうするとドーンと演奏したものがストレートにドーンと出るんですよ。ただ、ひたすらレコーディングを重ねなくてはいけなくなり、アルバム発売が予定から4ヶ月も遅れてしまったのですが、結果として納得のいくものを提示できたかなって」(山口)
「最近の作品に比べると、シンプルな音になっているのですが、楽曲をよりよくするための効果を探したりして、結果的には立体的かつ説得力のある音が詰まったアルバムになったと思いますね。ファッションに例えるなら、シンプルだけど、しっかりとした縫製で、良質な素材を使っているような。センスのいい音になっているのかなって」(近藤)
「特に3曲目に収録の『Sad Town, Hot Love』は、すげぇカッコいいバラードを、すげぇカッコよくしたいという気持ちで、どうしたら良くなるのか? 考えた結果、いろんな楽器を使い、パソコンの容量以上のトラックを重ね、また他の楽曲以上にドラムを激しく叩いて、完成させましたね。随所にこだわりがあって、スケールの大きな仕上がりになったと思います」(木内)
 他の収録曲にも、彼らのこだわりが随所に散りばめられている。
「僕らがいつも思っているのは『世界で一番ヒップな音にする』こと。現在も世界ではさまざまな新しい音楽が生まれているなか、僕らの音はどう新しくなれるのか? 新しくなっているのかを追求することが大切で。今回は(1930〜60年代に活躍したシンガー)ナット・キング・コールから、現代のビート・ミュージックやゲットー・ハウスまで、あらゆる時代を網羅した音になっていると思います」(山口)
 シンプルだけど、彼らの情熱が行き届いたサウンド。歌詞も同様に、彼らの熱いメッセージが伝わってくる。今回は特に「生きる」という言葉が多用されているような。
「生きてて思うこと『クソみたいな毎日だけど、ここだったら生きていける』とか、そういったことを歌ってみたい。音楽がミラクルを起こす瞬間を表現してみたかったんですよね。きっと30代のキッズだったら、すっごくわかってもらえる内容だと思いますよ」(山口)
「これから長い付き合いをしていただける作品だと思います」(近藤)
 また、彼らはいつも熱い心のままで、我々を暖かく迎え入れてくれる。そんな気分にもなれるはずだ。
「僕らを、いつ戻ってもらっても大丈夫な『実家』みたいな存在に思ってくれたらいいですね(笑)」(木内)

 

【プロフィール】
メンバーは、山口 隆(Vo&G)、近藤洋一(B&Cho)、木内泰史(Dr&Cho)。2000年結成、’03年メジャー進出。5月13日[土]〜怒涛の全国ツアーを敢行、12月3日[日]には初となる日本武道館単独公演が決定している。

 

CHECK!
NEW ALBUM


『YES』
ゲッティング・ベター/3800円
(CD+DVD)/発売中

先行シングルとなった『オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで』なども収録された全12曲。初回限定盤のDVDでは、ビートたけし、和田アキ子などが登場する貴重コラボ・ライヴ映像や、スタジオライヴセッションを観ることができる。

« 一覧