箱絵鑑賞が基本の※ニッチプラモの中でも群を抜いて素晴らしいヨーデルの「風船屋・お面屋」模型。
このプラモデルのまるでパッケージとは思えない絵の構図と躍動感、そしてタッチが100点満点。
左帯にかろうじて文字を入れて、あとは無駄な情報を入れず絵だけで伝えようとしている姿勢も素敵じゃないか。
模型のタイトルは「風船屋・お面屋」となっているが、2店舗ではなくひとつの屋台で風船とお面を売っている形式だ。もしかするとこの頃のお面屋台では風船も売っている店が多かったのかもしれない。
そんな箱の絵に描かれているお面を見てみると、ザボーガーや仮面ライダーXにゲッターロボ風のキャラがずらりと並んでいるのが判る。
この事から年代は1974年頃だと推測できる。オイルショックの年だ。物価は高騰し戦後初めてのマイナス成長を記録している。
そんな時代を吹き飛ばすようなこの女性の笑顔。
このリアルな表情からもおそらくモデルがいるに違いない。もし実在する人物ならば、今頃60代だ。
-説明書-
樹木やボンベなど情景のディテールもバッチリで、風船紐は針金で再現する細かさ。
地面は緑パウダーを振りかけジオラマ感を醸し出し、パイプ椅子は4パーツで構成したりとなかなか良く出来ている。
肝心のお面はプリントされた紙を切り抜き貼るだけでちょい物足りなさも感じるが1/25スケールでは仕方ないか。
この屋台プラモ、古典風俗縁日シリーズとして全4種類出ている。当時価格は500円でどれも絵に味わいがある。
さて、
再度パッケージの女性を見てほしい。
高度経済成長を抜け出した日本の未来を憂うことなく、むしろその先にある希望に満ち溢れた笑顔に見えてくるではないか。
この「風船屋・お面屋」はそんな日本のうねりを象徴するニッチプラモだ。
※ニッチプラモ
カテゴリー分けすら難しいニッチ(隙間市場)な需要を持つプラモデル。絶版・現行品問わず。
PROFILE
エンドケイプ
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