元TBSのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍する小林麻耶さん。インドア派で大の読書好き。2月には『福岡WEB小説ぴりから』プロジェクトで処女作を発表し、BOOKエンターテインメント『小林麻耶の本に会いたい』では司会を務めたこともある“本の虫”が紹介してくれる1冊とは?
「『幸せになる勇気』です。『嫌われる勇気』を読んで救われたので、続編の発売を待ち望んでいました」
ご存じ『嫌われる勇気』はフロイト、ユングと並び心理学の三大巨頭と称されるアドラーの思想を紹介したミリオンセラー。同著の反響は大きく著名人のファンも大勢いるが、小林さんもまたそのひとりだった。
「学生時代からジャンルを問わず読んでいて。社会人になったのちも仕事柄、書店で平積みされている新刊はチェックしていましたが、あるときふと『嫌われる勇気』という衝撃的なタイトルが目に留まったんです。哲人と青年による対話形式もわかりやすく、夢中になって読みました」
まさしく出会うべきタイミングで出会った1冊。幼いころから転校が多く「早く仲間に入れてもらいたくて、嫌われない自分を作り出そうとしたのですが、なぜか嫌われる(笑)」
アナウンサーになってからも「より不特定多数の人に嫌われる機会が多くなって…」悩みが頂点に達した、そんなとき手にした。
「中学生のときに隣のクラスの女子から『女子は全員、あなたのこと嫌いだから』と言われて以来、嫌われることが怖くなったのですが、嫌うことは他者の課題で、「課題の分離」を理解できたことで、気持ちが楽になりました。私の人生を変えてくれた1冊と呼んでも過言ではないくらい。『嫌われる勇気』に限らず本との出会い、言葉との出会いには感謝しています」
それこそ四六時中、本を読むため「入浴用と普段用、気に入った本は2冊買う」ほど。取り出した『幸せになる勇気』も1冊は、すでにそこかしこに折り目が付けられている。
「『嫌われる勇気』は合計で100回くらいは読みました(笑)何度も読むことで、人の評価を気にしない、いまの自分を受け入れる、など自分に必要なポイントが整理できるんです。『幸せになる勇気』は発売からまだ間もないので、4〜5回しか読めていませんが、それでも胸に刺さる言葉がたくさんありましたね」
「人の生き方」に疑問を投げた前作に対して、本作は「人との繋がり」をやさしく説いた1冊。
「本当の愛を知った時人生の主語が「私」から「私たち」変わると書かれていました。自分から愛する勇気をもち、主語が切り替わる日がくることを楽しみにしたいと思っています。結婚を考える年齢の読者にぜひ読んでいただきたい本です」
また未消化ではあるものの「人生の再選択とは何か」もポイントと。
「前作で〈人は誰でも、いまこの瞬間から幸せになれる〉と語った哲人が、本作では〈ただし、幸福とは留まっていて享受できるものではない。踏み出した道を歩み続けなければならない〉と。うーん…深い! もっともっと読み込まなきゃ、ですね」
5月には、『まや☆日記』(’09 年)以来待望のエッセイ集『まや道〜向かい風でも笑顔の理由〜(仮)』(小学館刊/1300円)も発売される。
「気がつくと30代も後半に差し掛かってきたいま現在の偽りない心境を綴った本です。29歳で会社を辞めてからこれまでのお話。ここ数年“結婚”という、それこそ選択が現実的になってきたなか、なぜご縁がないのか?(笑)そんな自分自身の心と正直に向き合いました。僭越ながらアドラーの本を読んで私なりに感じた笑顔でいられる生き方も。男性のみなさんも、どうぞご覧ください」
【PROFILE】
小林麻耶
1979年7月12日、新潟県生まれ。青山学院大学文学部英米文学学科卒業後、’03年TBSに入社。’09年にフリーとなった以降もニュースやバラエティとマルチに活躍する。現在は『バイキング』、『誰だって波乱爆笑』などに出演中。オフィシャルブログ「まや☆日記」も好評。