みんなが楽しむことで“音”が“音楽”になる
2014年にソロデビューしたEXILE SHOKICHIが待望のファーストアルバムを発表。「HIROさんのマシンガンになりたい」というソロへの意気込み、J‐POPへのプライドと夢。その思いをたっぷりと伺ってきた。
EXILEの強い
武器になりたい
これは最初にして そうレガシー。アルバムの幕開けを飾る曲『Machine Gun Funk』にあるフレーズだ。EXILE SHOKICHIの『THE FUTURE』は、その言葉通り、1stアルバムにして金字塔を打ち立てる、18曲入りの大作となった。
「ソロデビューから約2年、楽曲制作や構想まで含めると5年ほどの思いが詰まった集大成的な作品です。この作品には、自分がこれまで通ってきた様々な音楽が詰まっていて、ありのままの自分をさらけ出す内容にもなっています」
18曲の全曲を作詞し、半分以上の曲では作曲にも携わるなど、まさにミュージシャン・SHOKICHIのすべてが詰まった本作。タイトルの『THE FUTURE』や、彼らしい勢いとグルーヴ感にあふれた新曲『Machine Gun Funk』の歌詞には、ソロ活動の決意も込められている。
「もともとソロ活動は、個人としてレベルアップすることで、よりEXILEの力になれたら……という思いもあって、始めさせてもらったものなんです。この活動を、再始動するTHE SECONDにつなげ、それをまたEXILEにつなげたいという、未来への思いをアルバムタイトルには込めました。『Machine Gun Funk』は、その挨拶代わりの1曲。曲名には『HIROさんやEXILEのマシンガン(武器)になりたい』という意味もあります」
またSWAY、CrystalKayとコラボした新曲『Rock City』は、音数の極端に少ないトラックの上で、3人の声が見事なグルーヴを生み出している1曲。Crystal Kayの甘いヴォーカルとの邂逅で、SHOKICHIの声の持つセクシーさが際立っているのも印象的だ。
「こんなに音数の少ないJ‐POPは、なかなかないと思いますが、歌詞の内容や、言葉のはめ方でキャッチーな曲にできる自信があってトライしました。2人に参加してもらい想像以上に彩り鮮やかな曲にできたと思います」
一方で『You are Beautiful』は、春の空が浮かぶような明るい雰囲気のラブソング。R&Bの甘さとJ‐POPのキャッチーさが合わさり、歌詞は日本語と英語をミックスしている。
「歌詞については、言葉の意味だけじゃなく、耳に入ったときの音の心地よさが大事だと思っていて。自分も含めて日本人って本当に珍しい音楽ラバーズで、洋楽を聞くとき、歌詞の意味が分からなくても音で楽しめちゃうじゃないですか(笑)。それは歌詞の韻を踏むリズムだったり、言葉の音の持つ雰囲気が心地よかったりするからだと思うんです。だから韻を踏んでいくR&Bの歌詞の手法とか、言葉の並べ方は凄く研究していますし、日本語を知らない人でも楽しめるような言葉遊びも意識して取り入れています」
好きな音楽の魅力を
J‐POPで伝える
本作には三代目J Soul BrothersのELLYらと圧巻のマイクリレーを見せるサグいHIPHOPチューン『THE ANTHEM』なども収録。
「でも自分は特定ジャンルの音楽をやりたいわけじゃなくて、ファンの皆さんが楽しめて、自分も楽しめる音楽を作りたいだけ」と語る。
「聞いてくれる人達が『イェー!』って楽しんでくれた瞬間に、ただの〝音〞が〝音楽〞になると思っていますから。だから純粋に心の底から『あ、この曲めっちゃいいな』『ライブでやったら絶対楽しめるな』と感じる曲を作っているし、それが結果的にR&BやHIPHOPに聞こえるというだけで、この作品の曲は自分の中ではJ‐POPとして捉えています」
デビュー前から北海道のクラブでR&BやHIPHOPに取り組んできた経験を持ち、現在はJ‐POPシーンで活動。その音楽にプライドも持っている。そこには先輩たちへのリスペクトがある。
「R&BやHIPHOPは海外の音楽ですが、日本にはジャパニーズR&B、ジャパニーズHIPHOPという音楽が存在すると僕は信じていて。それは先人のみなさんが、日本に合った形で音楽を育ててきたからこそ、生まれたものだと思いますし、自分はJ‐POPというステージで、その魅力をみなさんにわかりやすく伝えたい。そして、その音楽が世界につながっていけばいいな……という夢とプライド持って活動しています」
また今年は橘ケンチ、黒木啓司、TETSUYA、NESMITHの4人と『THE SECOND from EXILE』としてアリーナツアーも行うことも決定。
「昨年でEXILEオリジナルメンバーのマツさん、USAさん、マキさんがパフォーマー引退となり、今度は自分たちTHE SECONDの世代が、よりEXILEを引っ張っていきたいと思っています。THE SECONDというステージで、より自分たちを磨き、その力をEXILEに還元していきたいですね」
誌面未公開のWEB版インタビュー
――今回のアルバムには、EXILE SHOKICHIがリリースしてきた全シングルの表題曲や、多くのカップリング曲が収められていますね。
「1stアルバムであり、これまでのソロ活動の集大成的な作品ですね。最初に新曲3曲が並んだことで、フレッシュな作品になりましたし、過去の曲もこの作品に入ることで、一つの流れが明確になったと思います」
――1曲目の『Machine Gun Funk』では「夢果てのゴール までまだ程遠く」「無謀な挑戦も しとかなきゃ損」という歌詞が印象的でした。それだけ集大成的な作品でありながら、ご自身としてはまだ「スタートしたばかり」という感覚があるんですね。
「本当そうですね。まさしくアルバムのタイトルの『THE FUTURE』じゃないですが、「この作品を未来に繋げていきたい」という思いで今も活動しています。本当にスタートしたばかりといか、超ゼロです(笑)」
――その『Machine Gun Funk』はSKY BEATZさんと2人で作曲したそうですが、どのような経緯で生まれた曲なんでしょうか。
「最初に自分の頭のなかで鳴っていた音楽があり、“この曲調だったらスカイと一緒にやりたいな”と思ったんです。SKY BEATZは僕と同い年で、けっこう前からセッションもして、いくつかの曲を形にしてきました。それで『アルバムの1曲目に、自分の名刺代わりになるような勢いのある曲を作りたいんだけど、スカイにお願いしていいかな』と直接連絡して、むこうも『やろうよ!』と言ってくれて。
――そうやって曲作りが始まったわけですね。
「そうですね。しかもスカイは、自分が出したオーダーに対して、『こういう感じの方がいいんじゃない?』と提案もしてくれて、それが自分の頭で鳴っていた音を上回る凄さだったんです。そういうふうに誰かと一緒に曲を作って、2人の力が単なる足し算ではなく、掛け算のようになり新しいものが生まれたときは、“うわ、キタ!”って嬉しくなりますね」
――このアルバムの中の曲だと、『THE ANTHEM feat. DOBERMAN INC, SWAY, ELLY (三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)』も、そうやって複数の人の力が掛け合わさって生まれた曲だと思います。EXILE SHOKICHIの歴代の曲の中でも一番サグい(ワルっぽい)曲ですよね。
「強烈なほうかもしれないですね。この曲は、もともとそのメンバーと飲みの席で『こういう曲やりたいね』『いいじゃん!やろうよ』と話したことから生まれた曲で。その流れで自分の家に集まって音を録り、『これ絶対いいよ!』『HIROさんにプレゼンしようよ』みたいな感じで形にしていったんです。だから思い入れが強い曲でもありますね。
――こういうマイクリレー(複数のMCがそれぞれの小節を担当し、マイクを繋いでいくこと)の曲というのは、J-POPではなかなかないですよね。
「そうですね。でも自分達はこういう曲を聞いて育ってきましたし、その魅力も知っている。だからこそ、自分達が夢中になった音楽を自分たちなりに組み替えて提示して、より多くの人に聞いてもらいたいと思ったんです」
――この曲には「俺はさんピン見て育った世代のラッパー 今打ち込む真実の弾丸」というリリックもでてきますよね。やっぱり、その頃の日本語ラップはよく聞いていたんですか?
※「さんピン」とは1996年に開催されたヒップホップイベント「さんピンCAMP」のこと。「真実の弾丸」はキングギドラの曲名。
「僕も含め、この曲に参加したみんなが強い影響を受けているでしょうね。HIPHOPは、先人たちをリスペクトしながら新しいものを発信していく音楽でもあるので、そういった美学もこの曲には入っていると思います」
――また今回のアルバムにはDVD、Blu-rayがセットのバージョンもあり、6曲のミュージックビデオやドキュメント・ムービーが収録されます。ドキュメント・ムービーはTHE SECONDメンバーや、多数のEXILE TRIBEメンバーもインタビューで参加しているそうですね。
「まだ全部は見られていないんですが、自分も照れるような部分もあるでしょうね(笑)。今回は自分の地元の北海道に行って撮影もしていますし、自分のルーツや、自分がいま考えていることも伝わる内容だと思います。音楽については全てアルバムの曲の中で表現したつもりなので、それ以外の部分を映像を通して伝えられればと思っています。思っています」
【プロフィール】
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