2018.04.14 Sat UPDATE INTERVIEW

香取慎吾が語った映画の事、そして《決断》の事…「僕が一番”クソ”かもしれない」

稲垣吾郎、草彅 剛、香取慎吾によって立ち上げられたファンサイト「新しい地図」の始動から半年余り――。昨年末Abema TVにて配信された『72時間ホンネテレビ』の興奮冷めやらぬ中、3人主演によるオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』が2週間の期間限定で公開されている。

 
 

 
 

初期衝動のようなものが焼き付けられていると思う

 稲垣吾郎、草彅 剛、香取慎吾が主演するオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』。本作は『ピアニストを撃つな!』(園 子温監督/稲垣)、『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』(山内ケンジ監督/香取)、『光へ、航る』(太田 光監督/草彅)という3つの物語が緻密なコンセプトの下でつながり、ラストを飾る『新しい詩(うた)』(児玉裕一監督/クソ野郎★ALL STARS)で1本の映画になる“仕掛け”に。3人が昨年9月に立ち上げたファンサイト「新しい地図」が初めて製作を手掛ける、この春、話題の一本だ。

「まず『新しい地図』の立ち上げから何ヵ月も経っていない中で、みなさんのお力添えもあって映画まで辿り着けたことが素直にうれしいですし、サイト自体もそうですが、“なんかやってやろう”という始まり方が嫌いじゃない。関わる人すべてが気概にあふれる中、結構カツカツのスケジュールでやっていますので、ファンのみなさんがツイッターで“そろそろクランクアップですか?”とか“完成、楽しみです”とかつぶやいて下さるのはありがたいんでけど、(取材した1月末の時点で)“果たして間に合うのか…?”という若干の心配もあり(笑)。でも、そんなハラハラも込みで嫌いじゃない。もともと僕ら3人“ここぞ”っていう瞬間の集中力でやってきましたから、そのよさ。しばらく忘れつつあった初期衝動のようなものがフィルムに焼き付けられているんじゃないかなと」

「なんかやってやろう」。熱い思いを胸に、監督・脚本には『愛のむきだし』の鬼才・園、岸田國士戯曲賞受賞作家の山内、文筆家としても活躍する爆笑問題・太田、カンヌ国際広告賞グランプリ受賞の映像監督・児玉という各分野のトップクリエイターが集結。企画には広告業界を代表するクリエイティブディレクターが、また浅野忠信、尾野真千子ら豪華俳優陣が駆け付けた。

「『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』の山内監督とは以前ショートフィルムでごいっしょさせていただいたんですが、前回も夢を題材にした僕好みのシュールな内容で。今回の脚本にも僕のいろんな思いが詰まっていましたし、完成が本当に楽しみ。第一“クソ野郎”で“慎吾ちゃん”ってタイトルからしてワクワクしません? ていうか『歌喰いって何だよ!?』って(笑)。監督の発想には驚かされっぱなしでしたね」

 演じるのは、なんと本人役。アクション&ファンタジー&ラブ&ミュージカルからなるオールジャンルムービーで、それぞれ恋に落ちたピアニスト、歌を喰われたアーティスト、息子を亡くした父親、彼らが迷い込んだ“美しき世界”が描かれていく。
「多くのクソ野郎が出てくる中で、僕が一番“クソ”かもしれないです(笑)、いろんな意味で。とはいえ、ただのクソ野郎というよりは、どこかカッコイイ存在。アンチヒーローじゃないけど、映画でもダメなヤツが案外ヒーローだったりするじゃないですか? クソ野郎が活躍して地球を救ったりして」

 新人の中島セナ演じる歌を食べて生きる少女“歌喰い”と、歌えなくなったアーティストの不思議な関係。実際に香取が描き貯めてきた絵も、劇中で重要な役割を持ってくるそうだ。

「ちょっと前も“歌を奪われた”みたいな感覚があって、振り返ると何ヵ月も音楽すら聴いてないなと。でも久しぶりに聴いて、歌ったらやっぱりいいんですよ。僕にとって音楽は絵と同じく、自分の心情を映し出すもの。そういう意味では、自分自身が投影された物語でもある。その物語がほかのふたつとどうリンクして、監督の個性も違えば画(え)の質感や照明も違うかもしれない物語がどんな風につながり、着地するのか――映画に詳しい吾郎ちゃんによれば、ひとりの監督によるオムニバスはあるけど、複数人の監督がいて、それでいて物語はリンクしつつ、なおかつ最後はミュージカルに…という映画は世界的にも類を見ないとのことなので、もはや期待しかないですね」

40代に入り、またひとつ新たな地図が描かれた今、その視線は次なる未開の土地を求めて輝きを増している。

「40代で決断を下した僕らから見れば、30代のメンズジョーカー読者世代は“まだ悩んでもいい時期なんじゃない?”って思います。今は自分のことだけで決断することが多いと思うんですけど、本当に重要な決断は周りのことも考えられるようになってから下すべきかなと。逆に言えば“自分のことだけで精一杯のうちはまだ平気だよ”って言いたい。僕も30代の時はそうでしたが、悩めるうちは多いに悩んで、その迷える時期が、いずれやってくるであろう、本当の決断を下す時に役に立つ。ファッションも同じじゃないですか? 20、30代でいろんなものに挑戦して、失敗して。40代で好みが決まり落ち着いてくるわけで。だから無理に焦らなくてもいい。否応なしに焦る時は必ずくるから(笑)。で、もし悩んで悩んで、どうしようもない時は『クソ野郎と美しき世界』を観てもらって。40代で悩みに悩んだ僕らの姿から何か感じ取って下さい」
 
 
※このインタビュー記事は、現在発売中の『メンズジョーカー』5月号に掲載中。そちらもCHECK!
 
 
□香取慎吾 プロフィール
1977年1月31日生まれ。神奈川県出身。現在、bay-fm『ShinTsuyo POWER SPLASH』(毎週日曜日午後7:00~)、AbemaSPECIAL2チャンネル『新しい別の窓』(毎月第1日曜日午後5:00~)に出演中。映画『クソ野郎と美しき世界』のポップアップショップが、4月20日[金]まで、東京・帝国ホテルプラザ東京の1階にオープン。また、パラスポーツ応援ソング「雨あがりのステップ」をiTunes Store、レコチョク限定で、売上金額が全額寄付となるチャリティ販売中。(※チャリティ販売は6月30日[土]に終了し、チャリティ期間終了後は通常販売に切り替わります)
 
 
映画『クソ野郎と美しき世界』 絶賛公開中

全力で走るフジコ。彼女を追う不気味なマスクをした極悪人「マッドドッグ」。向かう先には天才ピアニスト。歌を食べて生きる少女「歌喰い」と歌えなくなったアーティストの不思議な関係。失った息子の右腕を探す旅を続ける夫婦が沖縄の海で出会ったのは…夜な夜なクソ野郎たちが集まる、ダンスフロアで繰り広げられるショーを刮目せよ!

監督:園 子温/山内ケンジ/太田 光/児玉裕一、出演:浅野忠信、満島真之介、馬場ふみか、でんでん、神楽坂恵、野崎萌香、冨手麻妙、スプツニ子!、稲垣吾郎/中島セナ、古舘寛治、香取慎吾/尾野真千子、新井浩文、健太郎、草彅 剛/クソ野郎★ALL STARS。4月6日より2週間限定で全国公開中!

(C)2018 ATARASHIICHIZU MOVIE

公式サイト http://kusoyaro.net/

 
 
<衣装>
ブルゾン5万2000円、シャツ2万7000円/ともにヨシオクボ(同 03-3794-4037

 
 
Interview&Tex:TATSUNORI HASHIMOTO
Photo:DAISHI SAITO
Styling:HIROSHI WATANABE
Hair&Make:TATSUYA ISHIZAKI

 

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