2019.01.29 Tue UPDATE INTERVIEW

【家入レオ インタビュー】「いつか形にしたいと思っていた”断片”を形に」自身初の映画主題歌『この世界で』

家入レオ

ミュージシャン、女性としての魅力倍増!
家入レオが新曲「この世界で」を通じて見いだした、
新たな音楽との向き合い方。

時代がはらむせつなさやもどかしさをリアルな言葉と、多彩なサウンドで表現し、世代を超えて支持されている、家入レオ。最新シングル「この世界で」は、ミュージシャンとして女性としてさらに進化した姿を響かせ、新たな魅力の扉を開いた仕上がりになった。

 

新曲は自身初の映画主題歌

──2019年の幕開けとともに、最新シングル「この世界で」が完成しました。この楽曲は尾崎雄貴(ex Galileo Galilei、現Bird Bear Hare and Fish)さんが、ソングライティングすべてに関わっていますね。

「尾崎さんには以前にも楽曲を提供していただいたことがあって、その後お互いのライヴを行き来したり、楽曲のアイデアをいただいたりしていたんです。そんななかで、アニメーション映画『コードギアス 復活のルルーシュ』のオープニング主題歌のお話をいただき、作品の世界観にもぴったりあい、私としてもいつか形にしたいと思っていた『断片』があったので、尾崎さんにブラッシュアップして頂き『この世界で』が生まれました。」

 

──今回はアニメ映画の主題歌ということで、他の楽曲制作と異なる部分はありましたか?

「すでに絶大な人気のあるアニメーション作品で、そこからお話をいただけるなんて想像もしていなかったから驚きましたね。また実は私にとっては初の映画主題歌にもなるんです。なので、二重に気合を入れて考えて作った部分はありますね」

 

──プレッシャーかも(笑)。

「作品を拝見させていただいたんですけど、登場人物たちのセリフを文字におこしてみると扱っているテーマの奥行きがすごいなって改めて感動したんです。生身の人間が口にするとダイレクトに響きすぎてしまうセリフも、アニメーション映像にすることで少しマイルドになるというか。スッと心に入り込んでくる不思議さがある。この楽曲に関しても、人を信じることとは・愛することとは、とテーマが壮大で。でも聴き終わったあと、澄み切った気持ちになれる仕上がりになったなって。そこは映画の世界とリンクしているなって思いましたね」

 

──アレンジも、これまでの家入さんのサウンドとはひと味異なるものですよね。メランコリックというか、北欧っぽい雰囲気のするサウンドに。

「実は私はサム・スミスやアデル、シーアなどの洋楽が好きで、そういうテイストを日本らしいやり方で表現したいと思っていたんです。それを尾崎さんにお話したら、見事にそのイメージを表現してくださいました」

 

──確かに、英語のフレーズないですしね。メロディも明瞭。洋楽と邦楽の感覚をバランスよく融合されていますよね。

「そうですよね」

 

あるひと言が、自分の歌い方の姿勢を変えた

──また、家入さんのヴォーカルも今までとは異なる雰囲気が。

「ヴォーカルに関しても、念願叶って尾崎さんにディレクションしていただいたんです。これまでは、楽曲ができたらどれだけ自分の身を捧げられるか?説得力を与えられるか?と曲のバックボーンや人格をインストールして歌っていたんです。尾崎さんから『ただ寒いことだけを感じて歌ってみてください』と言われた時、ハッとして。曲を構築することも大切だけど、『感覚』を研ぎ澄ませ心のままに歌うこともまた大切だと、気づかされました。とても大きなものを教えていただいたレコーディングになりましたね」

 

──また、この楽曲のミュージック・ビデオも、今までにはない表情も垣間見られる仕上がりになっていますよね。

 

「この世界で」ミュージック・ビデオはこちら(完全版はCDに付属のDVDでチェックを)

 

「尾崎さんの作品のミュージック・ビデオも手がけている監督さんとご一緒しました。お互いのことを知ったうえで制作しようと、監督さんといろんなことを話して、交流を深めたうえで撮影したんです。『仕事』を超えた部分で、お互いが歩み寄った結果、より良い作品に仕上がったのかなと思います。また真剣に音楽と『遊んでいる』気分にもなれました。真面目と深刻は、決してイコールではないんだなって」

音楽賞を獲得したあの曲をピアノで再構築

──カップリング曲「Spark」は、こちらはパラスポーツアニメ「車いすテニス編」のテーマ曲として、家入さんが作詞・作曲を手がけたものに。

「この楽曲を制作するにあたり、車いすテニス選手である国枝慎吾さんのドキュメント映像を拝見したんです。ハンディがあるとかないとか、男性であるとか女性であるとか関係なく、テニスにすべての情熱をかけている姿に感動したんです。ひとりの人間として誰しもが魅力を持っていて、その喜びを噛みしめようという思いを伝えたいと思って完成させました」

 

──また昨年発表され、年末の「第60回 輝く!日本レコード大賞」では編曲賞を獲得したヒット曲「もし君を許せたら」の ピアノ・ヴァージョンも収録。

「以前に音楽番組でピアニストの清塚信也さんと共演させていただいて、もう一度コラボレーションできないかと思い、お願いして実現したものです。清塚さんと私二人きりで向き合いながら一発録りでレコーディングしたんですけど、良い緊張感の中でパフォーマンスができたなって。とてもいい刺激になりました」

 

──3曲それぞれカラーが異なり、聴きごたえのある作品に。この楽曲を皮切りに、2019年はどんな音楽を発信していきたいですか?

「楽曲制作は常におこなっていて、常に自分が歌いたいと思うものを発表させていただいているんですけど。今年は、さらに視野を広げて、その時々の私を届けることができたら」

 

30代で、これまでの努力が報われる気がする

──2月には、「7th Anniversary Live at 大阪城ホール ~Premium Symphonic Night~」が開催されます。どんな内容になるのでしょう?

「普段のバンド編成で楽曲を披露するのはもちろん、今回はフル・オーケストラでもパフォーマンスをする、2部構成になっています。なかなかオーケストラの方々と共演する機会もないので、特別なステージになると思います。ぜひ足を運んでください」

 

──5月からは全国ツアー「7th Live Tour 2019」がスタート。

「ライヴは、自分の最先端をお見せできる場所だと思っています。ツアーを通して皆さんと気持ちを共有したり交換することによって、その瞬間の、より正直な自分の表現を届けられたら」

 

──ライヴを挟んで、平成から新年号に変わる訳ですね。

「確かに!」

 

──平成のうちにやりたいこと、また新年号で取り組みたいことはありますか?

「今年はもっと日常を大切にしたいですね。普段の生活を大事にすることで、人生はもちろん音楽がより豊かになっていくような気がするので」

 

──メンズジョーカーは30代の読者が多いのですが。家入さんにとって30代とは?

「実は私、30代になるのが楽しみなんですよね。10代、20代と本当に好きなものに対して情熱を傾け続けてきた人の結果がここで現れるというか。認めてもらえる年代のような気がします」

 

 

PROFILE
福岡県出身。2012年2月にメジャー進出。2月24日には、オーケストラとのセッションも披露する「家入レオ 7th Anniversary Live at 大阪城ホール ~Premium Symphonic Night~」を開催。5月からは「家入レオ 7th Live Tour 2019」がスタートする。7月27日には幕張メッセ国際展示場9.10ホールにて公演。
ツアー詳細はhttp://leo-ieiri.comにて

 

「この世界で」
Colourful Records/初回限定盤1700円(CD+DVD)

DVDには「この世界で」のミュージック・ビデオとメイキング映像を収録。また、これまでリリースした 14 枚のシングルのカップリング曲のうち、アルバムに収録されていない楽曲を 集めた B-Side Collection が付属した2枚組CDとなる完全生産限定盤(2900円)も発売中。

 

TEXT&COMPOSITION:TAKAHISA MATSUNAGA

« 一覧